2017年7月12日(水)
中野サンプラザホールで鬼束ちひろ。
まずバンドの演奏とライブアレンジが素晴らしく、音に聴き惚れた。そして鬼束ちひろの歌唱はというと……出力的にはよかったが、ピッチの不安定さを感じる場面が去年11月のサンプラ公演よりも多かった。決して最高のコンディションというわけではなかったと思う。だがしかし、それでも自分は激しく胸を揺さぶられた。
それは全身全霊としか言いようのない歌唱っぷりであったし、手と足の(いつもよりも)大きな動かし方でも歌に込めた思いを表現していたからだろうか。またも観たことのない鬼束ちひろを観たという感じ。そして最後、彼女の口から「ツアー、ありがとうございました」という言葉が発せられたことにも驚いた。いつもMCは一切なし。アンコールもなし。だが彼女はこの日、最後に笑顔で「ありがとうございました」と言ったのだ!
完璧でも完全でもなかったけれど、心底観に来てよかったと思った。そういうアーティストはそうそういない。不安定さのリアル…なんて書くとアレだけど、でもそういうところに惹かれている自分がいるのも確かだったりする。
いや、もちろん完璧に近いほうがいいには決まってるけどさ。さて来週火曜日、アコースティックセットでの公演となるゼップダイバーシティはどうだろう?
