2016年9月9日(金)
ブルーノート東京で、キャンディス・スプリングス。
大学を卒業したばかりだというベーシストとドラマー(ふたりとも見かけからしていかにも若い!)を引き連れての単独初公演。晩年のプリンスがよくしてたようなサングラスを見せつけながらの登場シーンからしてなんとも明るく、元気溌剌キャラ全開。ボリューミーな鳥の巣ヘアも含めて実にステージ映えするルックの人だ。取材時もそうだが、彼女はステージでもよく笑い、とても楽しそう。この華やいだ感覚こそが彼女の魅力だよなと、まずは思わせる。
だがしかし、持ち前のその明るさが深みのあるバラードへの入り込みを邪魔してる感もあり。元気なMCから、しっとり聴かせる歌への移行が粗くて雑なのだ。例えば「ソウル・アイズ」のような深いパラードを聴かせるにはMCから少しの間を置いて集中してから歌世界に入りこむべきなのだが、彼女は明るいMCからそのまま歌い始めてしまう。実に勿体ないところだが、恐らくナッシュビルのホテルラウンジで雑多な客を相手に歌っていた頃のやり方がぬけていないのだろう。
その点、デビューEPに収録されていたファンキーな「Love Got In The Way」はライブ映えするし、彼女のキャラにも合っていた。インタビューではEPよりもアルバムのジャジーな世界観のほうが自分らしいというような発言をしていたが、ライブにおいてはあのEPのノリをもっと多めに混ぜ込んだほうがいいものになるんじゃないか。今後はジャジー路線一辺倒で突き進むより、EPにあったファンキー成分をうまくミックスさせていく方法をとったほうが面白くなるんじゃないかとも僕は思ってるんだが、どうだろう。
ゲストのジェシー・ハリスは2~3曲のみの共演かと思っていたら、大半の曲でギターを。「トーク・トゥ・ミー」はやはり作者のジェシーあってこそ。主張はせず、引いたところで主役を際立たせる演奏は、さすがだなと。
ほかに印象に残った曲は「プレイス・トゥ・ハイド」。ナマで聴くと、改めていい曲。で、今後はいかにいい楽曲と出会っていけるかにかかってるなと思ったりも。
あと、ロバータ・フラックの「The First Time Ever I Saw Your Face」は味わいあってよかったが、サム・スミスの「ステイ・ウィズ・ミー」はやはりゲイの人が歌ってこそ泣ける&沁みる曲であることを再確認。
まあ、何しろ彼女のキャリアはまだ始まったばかり。これからライブ経験を積み、この魅力的な原石がどう磨かれ、どう変わっていくのかが、とても楽しみだ。
