まずは、ずっと気になっててようやく初めてナマで観ることのできたヒグチアイさん。表現がとても強い。真摯で、堂々としている。歌の強度とか切迫感の部分で例えば昔の鬼束ちひろを想起させるところもチラとあったりしたが、MCなど聴く限りひととしての不安定さなどは微塵もなく、ほどよい天然要素がライブの楽しい雰囲気にも繋がっていく。歌に切迫感があれども、ちゃんと地に足がついてて、バランスのとれた頼もしい表現者だなと感じた。10代の頃からライブでたたきあげてきただけのことはあるな、と。
曲名はわからないが、最後のほうで歌われた140字以内でどうのという歌、ツイッターをやりながら僕もそんなことを思うことがよくあって、共感すると共に突き刺さった。
続いてGOOD BYE APRIL。クリスマス曲の幕開けに、ああ、もうそんな季節なんだなぁ…と。そこから次々に演奏される曲はしかし、同じトーンでベタっと続いていくのではなく、1曲1曲でムードをどんどん変化させていく。旧曲にも新しいアレンジが施され、それによって1曲1曲の個性がより強まった印象だ。よって曲ごとに異なる風景を見せ、異なる温度を感じさせてくれる。パーンと明るいサウンドの曲の次はミッドテンポがきて、次はマイナーコードの曲がきて、ロックな行き方をしたかと思えばバラードがきて…といったふうに、いつものことながら構成の練られ方に唸らされる。「太陽」のアンセム感はコールドプレイのヴィヴァ・ラ・ヴィダ級とか言いたくなるものだし、僕の大好きな「さまよい森のリンゴ」は聴いてて胸の奥のほうがクッとなった。新曲もよかった。
倉品くんの歌とギターは、最近弾き語りライブをたくさんやっているからというのもあるのか、ずいぶん強くなったように感じられた。それからえんちゃん。MCでの笑かし担当でありながら、名バラード「50才のロングヘアー」の前には両親のことを話しながら泣いちゃったりして、まったくもー、女のコなんだからぁー。んなこともあって尚更沁みちゃったじゃないか、ロングヘアー。
で、アンコールではヒグチアイさんとの共演も。彼女が低い声で歌うAPRILの「ブルー・ライト・ブルー」はまるでもとより彼女の曲のようであり、それに続く彼女の曲「ツンデレ」はといえばもとよりAPRILの曲のようだった。つまりそのくらい両者の相性はよく、表現の根っこに通じ合うものがあるということだろう。
そして最後は倉品くんとヒグチアイさんふたりだけで、照明を暗くしたなか「リンドウ」という共作曲を。長野の田園風景が浮かんでくるような郷愁成分たっぷりのスロー曲。とてもとてもいい曲。継続的にデュオでライブやってほしいなとか思ったりもしたくらい。
観に行けてよかった。
