恵比寿リキッドルームで、チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン。「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカンツアー2015 チャラン穂 秋の大収穫祭」。その千秋楽。
ツアー・ファイナルとあってか、リキッド初日に比べていろんな意味でずっとよくなっていた。この日が今回のツアーの、ひとつの完成形だったんじゃないかと、2日間しか観てない僕ではあるがそう思った。
まず15日と比べて音響バランスが遥かによくなっていた。15日の音響をよくなかったと感じたわけではなかったのだが、16日の各楽器の音の鳴りはとてもクリアで、1曲目「ワーカホリック」の始まりから「わっ、昨日と全然違うや」と吃驚した。とりわけそれはウッドベースとドラム、そしてアコーディオンの響きに顕著に現れていた。
観客の盛り上がり方も動員に比例して15日のそれを遥かに上回り、「オイ!オイ!」のコールや腕の振り上げ、アンコールを求める800人だか900人だかのドーっという声の波はもの凄いものがあった。ああいうのは間違いなく演者たちの力になるし、喜びにもなるだろう。
余力を残すことなく、自分たちもめいっぱい楽しんで最終日をやりきろう。そんな思いからか小春ちゃんはいつにも増して表情豊かに演奏し、いつにも増して自身がライブを楽しんでいるように見えた。とりわけ「親知らずのタンゴ」のCDに合わせてももちゃんの歌真似しているときの、あの楽しそうな顔といったら!
そして、ももちゃんだが、その集中力は前日の比じゃなかった。今回のショーはOLに始まり、エセ・フランス人になったりアイドルになったりと、彼女のキャラ化けがひとつの要になっていて、その暴走っぷりがショーを弾けたものにする、そういう作りになっていたのだが、15日は文字通り暴走しすぎてたまに帰ってこれなくなったりしていた場面もあった。が、16日はというと、暴走しているように見せつつも実は見事にコントールされた歌唱表現で、アッパー曲からしっとり曲まで緩急自在に聴かせていた。「貴方の国のメリーゴーランド」のように感情の向きがどんどん変わっていく曲は、だから引き込む力が初日とはずいぶん違ったのだった。
というわけで、つくづくライブは生き物だな、と、2日間観て僕は強く思ったものだ。
いつもいろんな形で驚かせポイントを作りながらショーを組み立てていくチャランポ・チームだが、今回のそれはまず初っ端。まさか1曲目に「ワーカホリック」をもってくるなんて誰一人予測してなかったことだろう。しかも意外性に加えて、アレンジが最高だった。CDに収録されているのは打ち込みによるチャランポ流・勘違いファンクみたいなヘンテコなものだったが、オール生楽器による今回のそれはかなり堂々たる真正面からの生ファンクで、ウッドベースの始まりから引き込まれ、ホーン隊の鳴りで一気に昂揚させられた。とりわけ間奏のオカピのサックスのかっこよさよ。因みにももちゃんはマントをつけて登場したのだが、それ、ファンクと言えばJ.B.、J.B.と言えばマントショーという発想からきてることを、どのくらいのひとが気づいたことだろう…w
そして「NANDE-NANDE」、からの久しぶり「ただ、それだけ。」。僕的にはこの開幕早々の3曲の流れのかっこよさに、昨日は特に興奮させられた。ある意味、カンカンバルカンのかっこよさがこのオープニングの3曲に凝縮されているようにも感じられたのだった。
2日間で内容を変えていたのは中盤の2曲で、まず15日に小春ちゃんとふーちんがセッションしたところを、16日はももちゃんとさくらんちゃんによる「季節は巡る」にチェンジ。15日の小春ちゃんとふーちんのセッションは、ある意味その日最大の見どころとも言えたもので、全体的には現在進行形のチャランポの形を見せきる今回のショーのなかにあのような基盤とも根っことも言えるふたりのインプロを入れ込んだことに意義を感じたし、小春ちゃんなりの意地というか矜持というか、とにかくこういうところからこのバンドは始まっているんだぜと言いたい気持ちがズンと伝わってきてグッときた。ふーちんとの信頼感もあの場面に確かに凝縮されていたように思う。
一方、2日目のももちゃんとさくらんちゃんによる「季節は巡る」もまた、とても聴き応えがあった。さくらんちゃんのウッドベースにはジャジーとも言えるような味わいがあり、このアレンジで再レコーディングしてほしいと思ったほど。そしてももちゃん。コントロールされた歌唱表現と先にも書いたが、この曲の丁寧かつ繊細な感情表現は本当に素晴らしかった。
ショー全体を今回はひたすら楽しませるモードで組み立てていただけに、「泣き顔ピエロ」とこの「季節は巡る」の切なさは特に深い印象を残したのだった。
また、15日にはももちゃんが16歳のときに録音した旧曲「親知らずのタンゴ」のカップリング曲「好きです かわさき 愛の街」を聴かせたが、16日は表題曲「親知らずのタンゴ」のほうを。その2015バージョンを聴き、これ、再レコーディングしてアルバムに入れてもいいんじゃないかと思ったりもした。
そのほか、「フランスかぶれ」は女子ウケする曲らしいけど、オレ、大好きなんだよなーとか。「シェリーに口づけ」のカンカンバルカンのコーラスがいいなぁ、あとこの曲のオカピの動きがオモロかったなぁ、彼女はどの曲でも動き方・見せ方に注意をはらってるなー、とか。「この先のシナリオはあなた次第」は気が付いたら重要な位置に置かれる曲になったんだなー、とか。完成度の高いアカペラ・イントロをシリアスめの曲につけるんじゃなくて「ムスタファ」につけるあたりがまさにチャランポらしさだよな、とか。そんなあれこれを感じていたら、あっという間に終わってしまった2時間20分。
新曲やカバー曲などメジャー移籍以降の曲を中心にしながら「ただ、それだけ。」などド初期曲を混ぜ、その間のインディーズ期の曲はほとんど(「Oppai Boogie」1曲のみだったかな)やらないという曲目構成もだいぶ思いきったものだが、そこからはどんどん変化してどんどん前へと進みながら「いまこのとき」のモードを正直にしっかり表そうとする彼女たちらしさが見て取れた。私たちはいまが一番面白い。そういう自信もそこから感じられ、やっぱ頼もしいなと僕は思ったのだった。
それにしても、ももちゃんのフロントマンとしての成長ぶりはすごいよなぁ。確かまだ2年前くらいまではショーを仕切って喋りで進めるのは小春ちゃんの役目で、歌と歌の合間はおとなしかったももちゃんだったが、それがいまやあんなだもんな。いつのまにやら本当にたいしたエンターテイナーっぷりだわなぁ。と、改めてそんなことも思った「大収穫祭」でした。
