海浜幕張にて、サマーソニック2015。
今年も早くに宿をおさえて、当然のように2日間参戦。
初日は11過ぎから、ホステスクラブオールナイターのトム・ヨーク終わりまで、約15時間たっぷり楽しんだ。
この日観たのは以下の通り。
ウルフ・アリス(ソニック)→Nao Yoshioka(ガーデン)→プリティ・ヴィシャス(レインボー)→マーモゼッツ(マウンテン)→サーカ・ウェーブス(ソニック)→BOMI(ガーデン)→マデオン(マリン)→パーマ・ヴァイオレッツ(ソニック)→ダーリア(レインボー)→ベビーメタル(マウンテン)→ベスト・コースト(ソニック)→タキシード(ビーチ)→アリアナ・グランデ(マリン)→ケミカルブラザーズ(マリン)→バイオ(ソニック)→トム・ヨーク(ソニック)。
酷暑のなか、同じステージに留まることなく、とにかくよく動いた。溶けそうなほど陽が照りつける真昼間からメッセとガーデン間を歩きで2往復し、自分でも“少しはどっかに留まって体力温存すればいいのに”とも思ったが、フェスだと特別なアドレナリンが放出される人間なので疲れもしない。
まずはソニックステージでウルフ・アリス。楽しみにしていたバンドのひとつだが、これがいきなり大当たり。90年代的なオルタナ・サウンド(シューゲーザーっぽいもの)を鳴らしながらもメロディはキャッチーでフレンドリー。なんといっても女性ヴォーカリストのエリー・ローゼルが声もルックも魅力的で、ずっと彼女ばかりを目で追いかけてしまった。
もともとは彼女とギタリストがアコースティックで始めたのが結成のきっかけらしく、故にメロディ構成がしっかりしている。これならアコースティック・ライブもさぞかしいいに違いない。エリーの歌声はキュートさと妖艶さが交互に顔を出すもので、こう言っちゃなんだがソロになってもやっていけるであろう魅力があった。この日は若いロックバンドをいろいろ観て回ったのだが、このウルフ・アリスが最も僕の好みであり、可能性も感じた。
続いてガーデンステージでNao Yoshioka。開放的なソウル歌唱が思った以上に野外に映える。実に堂々としていて、しかも自身が楽しんでいるのがよくわかる歌いっぷりだった。先頃のブルーノート東京単独公演よりも表情が明るく生き生きしていたし、バンドも少人数の編成ながら彼女と息がピッタリ合ってて、あの単独公演よりもよかったという印象。この数ヶ月でさらにパフォーマンス力が増したんじゃないかと感じたほどだ。ライブを数多くやったことで、押すだけでなくいい意味で抜くことを覚えたのだろう。うん、彼女は間違いなく進化している。
同じくガーデンステージの出演だったBOMI。彼女のライブを観るのは久しぶりで、いまのバンドになってからは初めて観た。1stアルバムを出した頃のバンドが非常にかっこよくて、音のみならずメンバーそれぞれの個性が伝わるところも好きだったのだが、現在のバンドはお面で顔を隠すなどしていて、つまりあくまでもBOMIを引き立てることに徹した匿名性の強いバック・バンドのあり方だ。音もロックではなくエレポップよりのもので、そうなるとBOMI自身の動きと歌の膨らみに全てがかかってくる。ピョコンピョコンと跳ねながら歌う彼女はとてもキュートだし、楽曲はどれもオリジナリティが高くて大好きなんだが、全体の大きな動きがないだけにライブとしてのインパクトにはやや欠けるかなというのが正直な印象。「iYo-Yo」が聴けたのは嬉しかった。いや、それにしてもこの時間は暑さが厳しかったー。
メッセ内では先のウルフ・アリスのほかに、プリティ・ヴィシャス、マーモゼッツ、サーカ・ウェーブス、パーマ・ヴァイオレッツ、ダーリア、ベスト・コーストと、新しめのバンドをいろいろ観た。フジのレッドマーキーでこの手の若いバンドを観ることはあまりない僕なのだが(それは単純に奥地で観たいバンドと時間が重なるからだ)、サマソニでは毎年けっこう観ている。1曲~2曲であっても今のシーンの動向・傾向が大雑把ながらも把握できるからだ。で、今回観たどのバンドもそれぞれ勢いが感じられてよかったといえばよかったのだが、しかしいくつかのバンドの曲には既聴感があり、ガツンとやられるほどの個性や新しさはないように思った。それなりには面白いのだが、あくまでも“それなりに”であって、3年後なり5年後なりにスタジアムでやってる絵までは浮かばないというか。ゼッドやマデオンのEDMがあれだけ大勢のオーディエンスを熱狂させているのを目の当たりにしてしまうと尚更、やっぱりロックバンドにとっては厳しい時代なんだなと思わざるをえなかった。
因みにマリンでマデオン観たときは灼熱地獄。はしゃぐぞぉと、はりきってアリーナまで行ったのだが、このままいたら溶けて死んじゃうかもと早々に退散。
マウンテンで観たベビーメタル。あれはまず発明の勝利でありコンセプトの勝利なんだろうけど、それはそれとして3人のキリッとした表情(特に目)にグッとくるところあり。笑顔ふりまくだけのコたちはたくさんいるけど、あんなにも真剣な…戦士のような目を揃って見せるコたちはたぶんなかなかいないわけで、多くのひとがやられるのもそこなんじゃないか。あとやっぱり構成が練られてて、よく知らなくてもいつまでも飽きずに観てられるっていうのは凄いよね。そりゃあ国内外であれだけビッグになるわけだ、と。
ビーチで観たタキシードは、これもまさしくコンセプト勝ちだと思ったな。メイヤー・ホーソーンにとってこういうモダン・ファンク~ディスコ的なものは、いろいろやりたい音楽があるうちのあくまでもひとつなんだろうけど、そこを切り取ってジェイク・ワンのアイディアと一緒にミキサーにかけて膨らませたらこんなに面白いものになっちゃった、というような。で、バンドつけてのライブなんだけど、DJの感覚で曲間あけずにノンストップで次々に聴かせるっていうのも勝因のひとつ。しかも、ちょいちょいリスペクト含んだ小ネタ挿んで湧かせたりもするからちっとも飽きがこない。ロジャー「Do It Roger」使いのあの曲やら、ベル・ビブ・デヴォー「ポイズン」挿みやら、そりゃあタキシード初聴きのひとだって、大人だったら遊んでたあの頃のことも思い出して楽しくなっちゃうよね。しかも夕方のビーチだし。90年代の香りが浜の風に混ざってふんわり郷愁…みたいな。いやぁ、楽しかった。ひたすら楽しかった。
マリンで観たアリアナ・グランデは、予想してたよりも「やりよるな」という感じ。おお、こんなに歌えるコだったんだねと、しばらくはけっこう惹きつけられて観てました。ホイットニー「エヴリ・ウーマン」やマドンナ「ヴォーグ」などのカヴァーをメドレーで聴かせるあたりも、こういう巨大な会場なら効果ありだなと思ったし。露出多めの衣装もよかったし。ただ、ずっと聴いてるとやっぱりちょっと歌の一本調子なところが気になってきたりもして。そして僕は頭の片隅でこんなふうに思ったりもしてたのだった。ああ、全盛期のクリスティーナ・アギレラをこのスタジアムで観てみたかったものだな、恐らく観客たちの驚きと盛り上がりはこんなもんじゃなかっただろうな、と。
そのあとマリンのアリーナに移動して、はりきってケミカルブラザーズ。Hey Boy Hey Girlからぶちあがって、そのまま最後までヨメとふたりでうひゃ~っと踊りながら観きった……のだけど。ちょっと出音が小さく感じられんだよな。それ、ひとつにはバウスシアターで爆音『ドント・シンク』を3回体感したからっていうのもあるんだけど。でも、これは記憶としての聴覚だけど、やっぱり苗場で聴いたほうが音に奥行きと広がりがあったように思う。因みにエドの不在による支障があったかどうかは、よくわからず。出音に関しては単純にスタジアムの作り(とPA)によるものだと思うので。それとあと、新作が最高に素晴らしくてちゃんと2015年の新しい音だったりもしたので、心のなかで“もっと新しい何か”を期待しちゃってたってところも正直あったかな。思ってたより過去に観た映像が多くて、そんなに新味はないんだなと。いや、がっかりしたわけではなくて、それでも「最高だー」なんて言っちゃうくらいにはアガりながら楽しんだんだけど。さらにアップトゥデイトな攻めのステージを観たかったというのもまた正直な気持ちではあるのでした。
ともあれ花火と共にサマソニ本編が終わって、会場内でもっともくつろげる場所=美浜茶房でしばしまったり。そしてメッセに戻り、溢れるほどのひとの多さのなかでバイオ、からのトム・ヨーク。
DJセットということだったが、彼は自分でビートを打ち込み、ハンドマイクで歌って、ふにゃふにゃと踊って、ギターも弾いた。つまり、ライブ。所謂DJという概念からまったく外れたものだということは、サウンドチェックの段階で出てきた音からすぐに伝わった(その前のバイオのDJがお洒落でスマートなものだったので、尚更トム・ヨークの出す音に異物感みたいなやばさを感じたのだ)。あの音の連なりをどう言葉で表現していいかわからないが、なんというかこう墨絵を書いているのを見てるみたいな感覚があった。静と動、曖昧さと明確な暴力性が不定期に来て、大きな世界観が徐々に立ち現われてくるというような。あの体験がなんだったのか、自分のなかで定着させるにはちょっと時間を要しそうなパフォーマンスだった。
そんなこんなで2時をまわってさすがに疲れ、軽く飲んでから会場をあとにして車でホテルへ。同じ15時間でもフジとは種類の異なる疲れ。暑さが厳しかったら無理もないか。

