8月17日(日)

海浜幕張で、サマーソニック2014。2日目。

ホテルを10時にチェックアウトし、千葉駅近くのジョナサンでゆっくりとモーニング。やはりホテルをとっとくとラクだ。
家と会場とを2往復するのは単純に距離的なめんどくささもあるが、帰るとついテレビつけたりあれしたりこれしたりで睡眠時間が少なくなり、翌日はカラダが重くて早くから幕張に向かう気力がなくなる。その点、ホテル泊は無駄な時間が省けていい。

というわけで、サマソニ2日目。
この日観たのは以下の通り。

ア・グレイト・ビッグ・ワールド(マリン)→リトル・ミックス(マリン)→アゼリア・バンクス(マウンテン。終盤2曲)→ロバート・グラスパー・エクスペリメント(マウンテン)→BANKS(マウンテン)→メトロノミー(マウンテン。中盤3曲)→エリー・ゴールディング(マウンテン。前半4曲)→ベン・ワット with バーナード・バトラー(ソニック)→クイーン+アダム・ランバート(マリン。前半4曲)→ピクシーズ(ソニック)→クラフトワーク(マウンテン。1曲のみ)。

まずはマリンで2組。かなりの酷暑だったが、どちらもなんとしても観たかったので、暑さに耐えつつ、噴き出す汗を何度もハンカチで拭きながら。

ア・グレイト・ビッグ・ワールド。輸入盤の段階でレビューを書いて気に入ってたデュオだったんだが、ライブではサポートメンバーたちと一体となったひとつのバンドと言っていい形で、想像してたよりもバンド感が強く前に出ていた。ライブの考え方というものがはっきりあるのだろう。だから盛り上げ方もうまい。
アルバムはもろにベン・フォールズを想起させるピアノ・ポップあり、この日の出演バンドでもあるクイーンを想起させる曲もありと、けっこう既聴感を伴うものが多いのだが、それが嫌味にはならず、フレンドリーさのフックになっているのが面白いところ。ライブもそうで、だからこの日初めて彼らの音楽を聴いた人たちも素直に楽しめたことだろう。
グッときたのは、やはり出世曲「セイ・サムシング」。クリスティーナ・アギレラをデュエット相手に迎えて大ヒットしたバラードだが、この日はMay.Jをゲストに迎えて一部日本語詞を混ぜながら歌われた。暑くて緩みがちな天候であるにも関わらず、ピアノでこの曲のイントロが奏でられた瞬間、空気が変わった。
僕は元来ベタなバラードというものに抵抗を感じることがよくあるほうなのだが、この曲はそうならず、切なさが胸の深くに染み入ってきた。実に揺さぶられる。やはり名曲だと思う。

続いてリトル・ミックス。彼女たちのアルバムは2枚とも実にハイクオリティで(特に2nd『サルート』の急激な進化には驚かされた)、何を隠そう、この日最も楽しみにしてたアクトのひとつだった。3度目の来日だが、僕が観るのはこれが初めて。
というわけで、近くでかぶりつきで観るべく、アリーナの中央の前のほうへ。と、さすがに前のほうは若い女子ばっか。ちょっと僕、浮いてたかしら。

しかし、始まったらあまりのかっこよさに我を忘れましたね。10代くらいの女の子たちに混ざって、おっさん(←オレ)ノリノリ。うひょーっていう。
何しろダンスのキレもさることながら、4人とも歌唱の実力がハンパない。だから観ていて(聴いていて)昂揚しまくり。デスチャとスパイスガールズのいいとこをミックスしつつ、フレッシュさと同時に最早ある種の貫禄(まだ21~23歳なのにね)も備わっている。ガール・パワー!!
アグレッシブなビートを主としたサウンドとハードめの振り付け及び衣装もよくマッチしてて、だから「かわいい」というより「かっこいい」と言わざるをえないのね。
スパイスガールズもガールズアラウドも来日公演は結局叶わなかったけど、2014年にスタジアムで旬のリトル・ミックスを観ることができたというのは、僕的にはこの20年くらいのモヤモヤがパアッと晴れた気分ですらありました。

というわけで、リトル・ミックスのライブの興奮が冷めやらず、水分補給とかもしていたら、マウンテンのアゼリア・バンクスに遅れて最後の2曲しか観れず。
前回観てかなり気に入ってたんだけど(あれは2年前だったっけ?)、今回観たところすっかり大人っぽくなってたし、スキルもグンとアップして、音的にもずいぶんハードになった印象。
かっこよかった!  単独での再来日を望みたいところです。

で、ロバート・グラスパー・エクスペリメント。ビルボードのようなジャズクラブではなく、サマソニの、しかもマウンテンという巨大な空間であの音がちゃんと活きるのかどうか観るまでは心配だったのだが、全然OKでしたね。ああいうでかいところでもインティメイトな空気感を醸し出すことができていたのがさすがというか。
当たり前だけどロックファンに媚びることなどなくオレたち流にクールに通し、でもダフトパンク「ゲット・ラッキー」やらニルヴァーナ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」やらを涼しげに混ぜてくるあたりのセンスもいいっていう。
ツイッターとか見るとドラムのマーク・コレンバーグが凄い!という感想が多く、確かに彼の独壇場的な場面もあったけど、でもそれぞれの押しと引きをわきまえた、要するに大人のバンドだよなという印象。
それにしても集まった観客は男性ばっかだったな。ビルボードライブとかで観るのもいいけど、こういうフェスの場でグラスパーを観るのも新鮮でした。
思うに、グラスパーがこうして「あり」だということが証明できたからには、例えばホセ・ジェイムズなんかもサマソニで「あり」ってことだよね。そういう可能性が広がった感もありましたな。

そのままマウンテンで少し座って休憩し、続いては去年デビューしたBANKS。フルアルバムもまだ出てない今の段階でもう彼女のライブを観れるのはありがたい。
ライブ、よかった。まだそんなにライブ慣れしてないのだろうけど、そういう初々しさと、私のやり方を貫かさせてもらうわといった頑固さのようなものが合わさってて、へんに萌えた。
歌そのものもいいが、それ以上に(とか言ったらアレだけど)歌っているときの表情がたまらなくいい。なんかこう、「憂鬱な歌姫」とキャッチつけたくなる感じ。
で、ダークめな歌世界に反して、喋るときは小声で照れ気味にニコッとしたりしてて、そのギャップにまた萌え。こういう不器用そうなシンガー・ソングライターは信頼できますね。

そのあとソニックで少しメトロノミーを観て、再びマウンテンに戻り遂に初来日となったエリー・ゴールディング。
かなり好きだった1stアルバムの面影は最早なく、ファッションもパフォーマンスもイケイケドンドン。
これが今の彼女のやりたいことなのだろうし、マウンテンという巨大な空間にその大柄なパフォーマンスは映えていたのでケチをつけようとは思わないけど、やはり1stがヒットしてる頃のライブも観てみたかったなと思ったり。
最後まで観たかったのだが、ベン・ワットが始まるタイミングで移動。エリーさんにはまた単独で来てもらえることを願いつつ。

で、ソニックでベン・ワット。ギターにバーナード・バトラーを迎えてはいるが、基本的には弾き語りと言うのが相応しいスタイルで、100人以下しか入らない小さなライブハウスがしっくりきそうな非常に親密感のあるもの。バーナードも一切我を出さず、ベン・ワットに寄り添うように繊細かつ枯れたギターを聴かせていた。
今年の春に出た31年ぶりの2ndソロ作『ヘンドラ』からの曲が中心なのは当然だが、名作『ノース・マリン・ドライヴ』の曲もいくつかそこに混ぜる。
31年前に擦り切れるほど聴いたレコードの曲……わけても大好きだった「ノース・マリン・ドライヴ」を2014年になって初めてナマで聴くというのは、懐かしさとは異なる奇妙な時間のねじれ感があり、なんとも不思議な感慨があった。しかもラストはEBTGのベン歌唱曲「12月25日」。真夏に聴くクリスマス曲が胸に沁みた。

マリンに動いてアダム・ランバートをヴォーカルに迎えたクイーンを4曲ほど。絶賛ツイートをたくさん見たが、う~む。歌の迫力がフレディに比べて……みたいなことは「それを言っちゃあ」ってなものなんだろうけど……。ヴォーカリストがカリスマ性を持ってたバンドほど、その新編成ライブって評価の仕方が難しいですよね。
10数年前にサマソニで観たイアン・アストベリーをヴォーカルに迎えたドアーズのライブはよかったな……とか、関係ないけどそんなこと思い出したりしながら観てました。
まあ全部ちゃんと観てみたくもあったんだが、裏がピクシーズなのでしょうがない。4曲ほどで移動。

ソニックでピクシーズ。前のほうでかぶりつき。いや、もう、最高だった。
昔、自分が音を出す立場の人間ならばこのバンドのような音を出したいとよく思っていた、その音がまさにそこで鳴っていた。
そりゃあベースはキム・ディールでもう一度観たかったという気持ちがないと言ったら嘘になるけど、パズはステキだったし、バンドにしっくり溶け込んでた。
それにしてもなんて名曲だらけのバンドなんだろう。とりわけ後半の畳みかけはどうかなりそうなほど。
観客もピクシーズのことが大好きな人たちばかり集まっていて、みんなイントロ聴いただけで「おおおおっ」と声あげたり、シンガロングしたり。そうした一体感もあって、本当に素晴らしいライブとなった。
ずいぶん前にフジで観たときも震えたが、それとはまた異なる感動。この日のベストアクトです。

で、隣のマウンテンではまだクラフトワークがやってたので動いてはみたのだが、自分のなかでピクシーズの感動が強すぎたため、まったく入り込めず。
1曲だけ聴いて会場をあとにした。

といった感じで、2日間で観ることができたのは(数曲のみのものも合わせると)20アクト。
2日間のチケット代にホテル代合わせても約4万円。
それでこれだけ楽しめるんだから、大満足の大充実ですよ。
ああ、フェスはいいなぁ。
「ライブを観ながらオレは生きている」って、純粋にそう思えるんだよなぁ。

来年こそはミッドナイトソニックまでしっかり観るべく、なるべく早くに近くのホテルをおさえるぞ。