3月25日(火)

新宿ピットインで、「2014春 梅津和時・プチ大仕事@新宿PIT INN Time After Time」。

6日間連続で行なわれる「梅津和時プチ大仕事」。
去年は、石橋凌JAZZY SOULの日とチャボの日を観に行ったが、今年ぼくが観に行くのは3日間。チャボと小室等さんの25日と、七尾旅人さん・青葉市子さんの27日と、木村充揮さん・三宅伸治さんの28日だ。
(いま思えばやはり頑張って全日通しで観たかったところだ…)

初日となるこの日の出演は、梅津和時さん、仲井戸“CHABO”麗市さん、小室等さん、こむろゆいさん、谷川賢作さん。

前半は梅津さんとチャボで1時間以上たっぷりと。
休憩挿み、後半は梅津さんと小室さん親子で。
といってもカッチリ分かれているわけじゃなく、前半でも谷川さんや小室さんが加わる曲があったり。後半もわりと早目にチャボが再登場して(小室さん曰く「資源は使わなくちゃ」)、最後まで全員でセッションしたり。

梅津さんとチャボ。
サックスまたはクラリネットと、ギターと歌。
それだけなのにとても熱かったり、しっとりしてたり、滋味深かったり。総じてとても豊かで、景色がそこに立ち現われたり。

奏でられる音楽はもちろんだが、曲と曲の間のふたりのやりとりがまたたまらなくいい。チャボの言葉を梅津さんが受け、それにまたチャボが軽いつっこみを入れ……そんなところからふたりのステキな信頼関係が伝わってくる。面白くて、優しくて、温かくて。なんか見ていて笑いながらほっこりしてしまう。ふたりで奏でる音楽を聴きたいというのももちろんあるけど、そうしたふたりの喋りのやりとりに惹かれて観に来てるというひとも、恐らくけっこう多いはずだ(ぼくも何パーセントかは確実にそう)。

梅津さんとチャボにピアノで谷川賢作さんが加わった場面もとてもよかったな。谷川さんのピアノをチャボがすごく気に入っていることが観ていてよくわかった。「オレのバンドに欲しい」みたいなことを冗談っぽくチャボが言ってたけど、あれはけっこう本心に近いんじゃないか。

楽しい場面が楽しいだけに(この日はストーンズやビートルズ曲の日本語詞カヴァーなんかもあった)、胸に来る曲は本当に深く沁み入ってくる。とりわけこの日、ぼくがやられたのは「リンゴの唄」だ。
去年のプチ大仕事のチャボ出演の日にもこれを聴いたけど、この日、梅津さんのクラリネットとチャボのポエトリー・リーディングが一層胸に響いて思わず目が潤んでしまったのは、梅津さんが話したお母様のあのエピソードに近いことをぼくも去年体験したゆえなのだが…。

それにしても梅津さんのクラリネットの音色はたまらなく胸に沁みる。自分が歳をとるほどに、その沁みる度合いが増していってるのをハッキリと感じる。

こうした「梅津さんとチャボの音」をまた聴くのを楽しみにしてぼくはチケットを買ったわけだけど。一方、そこに小室等さんが加わるとどうなるのかというのはまるでイメージがわかなかったところだ。

チャボは先輩の小室さんと共演できることをとても嬉しく感じているようで、それを何度も言葉にしていたし、表情や態度にもそれが表れていた。
ぼくはと言えば、正直これまで小室等さんの音楽をほとんど通ってなくて(中学の頃に「お早うの朝」のドーナツ盤を買ったりはしたけど)、曲もあまり知らないのだけど、それでもこの日歌われたなかで1曲好きな歌があった。チャボが「絶対この曲をやってください」とリクエストしたというその曲、「雨が空から降れば」。
小室さんと一緒にチャボがこの曲を歌っているのを聴きながら、ぼくはちょっとこの曲の世界観が古井戸のそれに近いようにも感じたのだが、どうだろう。「しょうがな~い、雨の日はしょうがない」と歌っているその感じが、なんだかすごくチャボっぽいと思えたのだ。

そんなことも含めて、チャボと小室さんと梅津さんという組み合わせがずいぶん新鮮に感じられるものであったことは間違いない。とりわけ後半の全員のセッション場面でグッときたのは、チャボの曲「ガルシアの風」だった。「リンゴの唄」に続いて、またもぼくの涙腺が……。前日にやることを決めたそうだけど、これは素晴らしいセッションだったと思う。

あとあれだ、「十二階建てのバスがやってくる」!。あれもやけにかっこいいことになってたな。

それにしても小室等さんというひとは風貌と印象の変わらないひとだ。ぼくが中学の頃に抱いていたイメージのまま、という感じがした。こんなこと言うと失礼かもしれないが、30~40年前からずっと髭を蓄えた長老のような印象で、そのままいまもそこにいるといった感じだ。
声の印象も昔と変わらない(つまりよく出ている)。どこまでも真面目そうな印象も変わらない(いや、それはむしろ増していた)。

ライブが終わったのは22時40分過ぎ。ずっと立ちで観ていたのでさすがにちょっと疲れたが、満たされた気持ちでぼくと友人のSちゃんは久々に池林房で麦焼酎。