1月19日(土)


新宿バルト9で『フラッシュバックメモリーズ 3D』。


松江哲明監督


恣意的な解釈がただのひとつも足されてない誠実な音楽ドキュメンタリー。
一般的に言われるドキュメンタリーとは少し違うけど、でも紛れもなくこれもドキュメンタリーだ。
構成要素はライブと日記及び写真。それだけ。
松江監督はインタビューをしてGOMAさんに回想を迫るような、そんな野暮で失礼なことはしていない。
闘病ものにして観る者の涙を誘おうなどという気など監督には始めから1ミリもない。
そういう作りをキッパリ拒否する明確な創作姿勢が伝わってくる。
GOMAさんの音楽の力そのものに打たれ、そしてGOMAさんの人間力に打たれてこの映画を撮ることを決めたのだろうということがよくわかる。


GOMAさんのライブは素晴らしい。
いつも素晴らしい。
僕はもちろん事故前からフェスなどで度々観ていたし、復帰後は一昨年のリキッドルームのワンマン、それから昨年はライジングサンと朝霧ジャムで観た。
一昨年のフジロックでのライブは観られなかったがあとから映像で観た。
フジのそれは涙なしでは観れないものだったし、生で観たリキッドの復帰後初ワンマンはそれ以上だった。
リキッドのワンマンでGOMAさんは「事故に遭ったとき、もう人生おしまいだと思ったけど、こうしてみんなに支えられて、いまは事故に遭ったのが自分でよかったと思っている」と泣きながら話し、その究極の言葉に僕も泣き、そこにいる誰もが泣いていた。


このドキュメンタリーを感動の復帰ドラマとして伝えたいなら、例えばそういうライブ中のGOMAさんの喋り部分をそのまま挿めばいい。
それを観たら誰もがもらい泣きせずにはいられないだろう。
けれども松江監督はそれもしない。

なぜかといえば、監督は音楽家としてのGOMAさんに最大限の敬意を払っているから。
監督が伝えたいのはその音楽の昂揚と、圧倒的にポジティブなエネルギーであるからだろう。


だから極めてシンプルで、シャープで、ある意味ではクールな作りのドキュメンタリーだった。
余分なものが何もないから、その分、音楽そのものの熱量がダイレクトに伝わってきた。


そして3Dであることの必然が、これまで観たどの3D映画よりも明確にある作品だった。
音が飛びだし、ディジュリドゥが飛びだし、GOMAさんのいろんな思いが飛びだしてきた。

それはまさしくLIVEだった。
LIVE(生演奏)であり、LIVE(「生きる」こと)だった。


“現在”を生きるということ。
メッセージというものがあるとしたら、それに尽きる。
そしてそれを言葉や説明ではなく、日時のカウントで伝えていたとき、その意味が頭のなかにグルグルまわるのを感じながら僕は感動した。

何かがわかったような気がした。


尺の短さも大事なところだろう。
これは72分の映画だが、例えばもう10分長かったら、映画館という条件を考えると、音楽の昂揚がキープできなかったかもしれない。

物語的に考えるなら、事故のあとに絵を描き始めたところとか、再び音楽を始めるようになったところとかに、もっと時間をさいて盛り上げてもいいんじゃないかという見方もあるかもしれない。
けど、音楽の昂揚を第一に考え、その音楽のグルーヴの波がどのように映像とシンクロするかを考えれば、あれがただひとつの正解だったことがわかる。


ある意味では、己の生き方をも問われたように思えた作品。
僕ももっとしっかり生きなきゃ。と、そう思いながら席を立った。


因みに一緒に観に行ったヨメは、なんといってもGOMAさんを支えている奥さんが立派。一番感じたのはそのことだと言っていた。
うん。そうだよなぁ。うん。


東京(新宿バルト9)・神奈川(横浜ブルク13)は2月1日まで公開中。
絶対に“映画館で”観るべき。
あと、パンフレットも買ったほうがいいですよ。


公式サイトはこちら。

http://flashbackmemories.jp/