間があいてしまったが、最近観たライブについて備忘録的に書き留めておこう。
まずはこれから。
2月29日(水)
赤坂ブリッツで、原田芳雄・追悼ライブ「18th×4Birthday Live~風来去~」。
昨年7月に死去された原田芳雄さんの追悼ライブ。
原田芳雄さんは1940年2月29日生まれ。
閏年のため、(生きていたら)この日が18回目の誕生日ということで、そのタイトルに。
“追悼”というよりも、集まったみんなで芳雄さんの誕生日を盛大に祝おう…といったあり方が粋でステキだった。
ご長男であるギタリストの原田喧太さんが中心になって仕切ったライブだ。
常にステージにいるのは、喧太さんと、芳雄さんのバックバンドだったフラワートップのメンバーたち。
そこに芳雄さんと親交の深かったさまざまなゲストが入り、芳雄さんに縁のある歌をうたうという形式。
また、スクリーンには芳雄さんのライブ映像が映され、その歌に合わせて喧太さんとフラワートップが演奏する場面も度々。
スクリーン上の芳雄さんの歌と、フラワートップ+喧太さんの生演奏の融合。
その合わさりは完璧で、まるで生きている芳雄さんがそこで歌っているようだった。
というのも、そこに映されていたのは4年前の芳雄さんのライブ映像で、フラワートップのメンバーは全員そのときと同じ衣装を着て演奏していたから。
何よりフラワートップのメンバーたちが、ステージに芳雄さんが「いる」のを感じながら演奏していたからで、つまり生前の芳雄さんのライブがそのまま再現された形だ。
順を追うと、まずライブが始まる前にあった注意事項のアナウンスからして粋だった。
例えば撮影禁止を伝えるにあたって、「撮影されると芳雄さんのビックリした顔が映り込まれるかもしれません」。
またこの日が大雪だったことに触れ、「それにしても今日の雪。芳雄さん、やりすぎでしょ」。
因みにそのウグイス嬢は松たか子さんだった。
そしてライブが始まり、最初のゲストは松田龍平!
この日が「人生初ライブ」だそうな。
喧太さんがギターを弾くその横で、初めてのライブに緊張しながらも彼が気持ちを込めて歌ったのは「YOKOHAMAホンキートンクブルース」!
そのとき後ろのスクリーンには芳雄さんと優作さんの抱き合う写真が。
龍平&喧太がいて、その後ろに優作&芳雄。
早くも僕は胸が熱くなる。
演奏後、喧太さんは「ウイ・ラブ・優作」と言い、加えてこうも言った。
「ウイ・ラブ・ジョー山中さん」。
続いてのゲストは江口洋介で、歌われたのは「Don't Worry」。
芳雄さん出演作『どついたるねん』の主題歌だ。
(但し、江口さんのうたいっぷりはちょっと軽かったけど…)
次が、仲野茂と内藤幸也。
(因みに僕がこのライブに行くことを決めたのは、茂と凌さんが出演することを知ったからだった)
幸也のギターにのせて茂が歌ったのは、なんと「プカプカ」。
ロック曲ではなくこういう曲を歌う茂がやけに新鮮であり、しかもそれは意外とハマっていた。
それを聴きながら僕が考えていたのは次のようなことだ。
茂ももうキャリア長いんだし、ソロ・アルバムとか出さないかな。
そこでこういう曲のカヴァーなんかも聴いてみたいものだよな。
というか、最近のレコード会社にはそういう盤を企画する人がどうしていないんだろうか。
もしも僕がレコード会社でディレクターとかやってたら、絶対そういう企画を通そうと頑張るけどな…。
次のゲストは佐藤浩市で、「Only my song」を。
ずいぶん緊張していたようで、歌い始める前にはその場で屈伸したりもしていたが、しかし歌には気持ちが入っていてよかった。
続いて喧太さんが「僕の憧れの人です」と言ってステージに呼び込んだのは、待ってましたの石橋凌。
喧太さんのギター1本で歌われたのは、アニマルズでよく知られる「朝日のあたる家」の日本語カヴァーだ。
それはもうさすがの説得力。
1曲だけでもズシンと重みがあり、別格の存在感を印象付けた。
続くゲストは桑名正博。
喧太さん曰く、「本当に家族です」。
桑名さんはブルーズをアドリブ混ぜつつ歌ったのだが、いやもう、さすがと言うほかない歌いっぷりで、その上、話も面白い。
さらには桑名晴子も加わって兄妹の掛け合いなんかもあったのだが、数十年ぶりかでこのお二人をナマで観た僕には、これがけっこう鳥肌もの。
承知のことだが、やはりとてつもなく歌がうまいし、運びもうまい。
改めてベテランの底力を見せつけられた思いだった。
そこでまた、今こそこういうベテランにレコードを出してもらいたいものだよな、自分がディレクターだったらそういうの企画するけどな、とか思ったりも。
そのあとはバンドのフラワートップがフィーチャーされる場面があり、ギターの内海利勝さん(元キャロルですね。喧太さんにギターを教えたのも内海さんだとか)が1曲歌ったりも。
味があって、実にかっこよかった!
また、芳雄さんの声でメンバー紹介されたときには、その内海さんやサックスの早坂紗知さんがグッと涙をこらえるような表情をされていて、それは今も目に焼き付いている。
そして、芳雄さんの歌で「赤坂・一ツ木・どん底周辺」。
この曲は、僕は中学の頃にダウンタウンブギウギバンドの2枚組ライブに入ってたのをよく聴いていて大好きだったのだが(今でも歌詞を覚えててソラで歌えた!)、芳雄さんもこの曲をとても好きで、それで宇崎さんにカヴァーさせてほしいと頼んだらしい。
で、この曲の途中からその宇崎竜童さんが登場。
この曲に続いて、宇崎さんは芳雄さんへの提供曲でセルフカヴァーもした「ブルースで死にな」を熱唱。
さらには『われに撃つ用意あり』の主題歌だった「新宿心中」も。
そのとき、スクリーンには『われに撃つ用意あり』(若松孝二監督の90年公開作品で、主演は原田芳雄と桃井かおり。公開時に観たが、これってDVD化はされてないのだろうか。また観たくなったんだが…)の映像が流れてて、僕はあの頃のことを思い出したりもした。
そのあとは、芳雄さんの歌で(ジミー・クリフの)「メニー・リバース・トゥ・クロス」、さらには喧太さんのギターも素晴らしかった「リンゴ追分」があって本編終了。
アンコールではこの日のゲスト全員がステージに再登場し、さらには山崎ハコさん(!)も加わって、「生きてるうちが花なんだぜ」が歌われた。
(ここでは仲野茂が遠慮気味の松田龍平を気遣い、彼にも歌わせようと何度も背中を押していたのが印象的だった。こういう優しさは茂さんらしいところだ)
ところで、宇崎さんが「芳雄さんは声量もあったし、高いところから低いところまで恐らく3オクターブくらい出せる凄いシンガーだったと思います」と話していたが、この日、芳雄さんの歌を聴きながら僕が改めて感じ入っていたのもそのこと。
本当に歌声がでかくて通りがよく、しかも広い音域を歌えるシンガーだったということだ。
あの声量、表現力、個性…。
歌が本業の人でもあれを持てる人はそうはいないんじゃないか。
それと、もうひとつ。
ゲストには上記の通り俳優さんも多く出演されて味のある歌を聴かせてくれたわけだが、歌唱そのものでしびれさせたのは、やはり石橋凌、仲野茂、桑名正博、桑名晴子、宇崎竜童ら、歌を本職とする方々(あるいは歌からキャリアを始められた方々)。
だからこうも思ったりも。
茂さんや桑名兄妹のような素晴らしい歌い手が今もう一度広く正当に評価される状況が作られないのはなんともったいないことか。と。
今の世の中には、いい歳のオヤジが気持ちよく酔って歌える歌があまりにも少なすぎるのだから。
ねえ。
そうは思いませんかい、ご同輩。
「ひとり呑む酒~~、わびし~くて~」
優作さんも好んで歌ってた「YOKOHAMAホンキートンクブルース」。
http://www.youtube.com/watch?v=1yOpj7L3GRo&feature=related
「赤坂・一ツ木・どん底周辺」。
僕はDTBWBのオリジナルでよく聴いたもんです。
http://www.youtube.com/watch?v=aROJasjiYR4&feature=results_main&playnext=1&list=PL4034FEECA975EA0B
