ジョージ・ハリスンのことをよく知らない。
彼の書いた曲も声も好きだけど、
どういう人なのかはよく知らない。


昨日観に行った『ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』。
自分はジョージのことをほとんど何も知らなかったというそのことがよくわかる映画だった。


故にとても楽しめた。
勉強になったとも言える。
そうか、ジョージ・ハリスンはこんなときにこういうふうに考えていたのか。
こんなことがあって、こういうふうに悩んで、こういうふうに動いたのか。
そうやって、とても興味深く観ることができた。
1部・2部合わせて3時間半に及ぶ映画だったが、だから僕にはそんなに長く感じられなかった。


ざっくり言うなら、観終わって僕はジョージ・ハリスンのことが好きになった。
親しみを覚えた。
ジョージという人間のことが少しわかった気がしたのだ。


映画のなかでかかっていた彼の書いた曲がとても新鮮に聴こえてきた。
そうだったのか、この曲はこういうときにこういう思いで作られたものだったのか。
そういうことが少しでもわかったから、改めて歌詞を見ながら彼の作った曲を聴き直してみようという気持ちになった。


ポールのことはウイングスの頃からずっと好きで、
ジョンには若かったある時期のぼせたけど、
正直、ビートルズに対してはそこまで特別な思い入れがない。
そういう僕なので、この映画のどの程度がよく知られたことで、どの程度がファンも知らないようなことだったのか、そのへんはわからない。
また、どの程度が監督のスコセッシによる見方で、ほかの人からすると「そこはそういうことじゃないだろう…」というところがどの程度あったりするのか、ないのか、そのへんも僕にはわからない。
わからない故、この映画で描かれたひとつひとつを純粋に、新鮮に受け取ることができて、
ファンが観たら「あそこはああいう描き方じゃ薄いだろ」とか「そういうことじゃないだろ」と思うのかもしれないようなところも、僕はずいぶんグッときたりなんかしながら観ていた。


スコセッシはビートルズ初期からジョージの死まで順を追って、わりと淡々と構成している。

もっとエモーショナルに描くことができただろう場面も(実際はもっとドラマチックであったであろう逸話も)、そうならない程度にけっこうさらりとまとめられている。
だから映画としての盛り上がりに欠けると言う人もいるだろうけど、へんにドラマチックにしなかったからこそジョージの考えや奥深さをいろいろ想像することができて、僕にはちょうどよかった。
スコセッシはジョージ・ハリスンという人間に過剰な思い入れを持っているようには思えなかったりもするが、興味と同じくらい愛もあるのだろうことはジワっと伝わってきて、僕にはそのくらいの温度だったからこそよかったのだ。


主にいろんな人たちの証言によって話は進んでいくのだが、
ジョージのことを語っているその人の考え方や人間性みたいなものがけっこう浮き彫りになるのがまた面白い。


もっとも興味深かったのは、やはり家族(と元家族)による話。
ジョージの最初の妻パティ・ボイドと、死ぬまで付き添った妻のオリヴィア、このふたりの女性の違いが特に印象に残った。
オリヴィアさん、なんてステキな女性なんだ、めちゃめちゃいい奥さんじゃないか、ジョージはこの人といることができて幸せだっただろうな、とか。
パティは、なんというか女だよなぁ、とか。


友人たちのなかでは、トム・ペティの話になんだかジワっときたな。

そしてリンゴにとってのジョージも、もちろん。
最後のリンゴの話にゃ、思わずもらい泣き。
するでしょ、そりゃ。
いい人なんだね、リンゴ。


ジョンの言葉は残念ながら残ってなかったが、でもジョージのことをああいうふうにいつも気遣っていたということを僕なんかは初めて知ったので(よく知られてることなのかな?)、グッときた。


クラプトンはなんかちょっといやらしい感じがしたね。
で、フィル・スペクターは話よりも容姿がなんとも奇怪でした。


あと、喋るのがどちからという苦手めで、けど女性は大好きっていう、ジョージのそういうとこには親近感を覚えたりも(笑)
でもあれだね、ジョージは真っ先にパーティを抜け出してひとりになりたがったり、静かな場所を好んだりして、どんどん内に入っていくようなところがあったわりには、
友達がとても多かったんだね。
たくさんの友達に愛されていたんだね。
僕も友達作んなきゃな。ハハ。



ビデオで観てたら、淡々としてるからたぶん眠くなって何度かに分けて細切れに観てたかもしれない。
そう思ったので映画館に観に行ったのだけど、それ、正解でした。
音がいいので曲もよく聴こえるし、長いけど映画館で観るのがおススメです!


トレーラーはこちら。

http://gh-movie.jp/