Superflyのニュー・シングル『Wildflower & Cover Songs; Complete Best 'TRACK 3'』が、オリコン・ウィークリーで1位獲得!


ということで、そのお祝いの意味も込めまして。
今回はプレスリリース用に書かせていただいたその作品の原稿を、ここに全文掲載します。
業界の方だけでなく、せっかくならファンのみなさまにも読んでいただきたいのでね。


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Superflyの過去(ルーツ)と現在と未来。
その全てを線上に見てとれる、記念すべき10 thシングル、
『Wildflower&Cover Songs:Complete Best’TRACK3’』



オリジナルの新曲4曲と洋楽カヴァー15曲(新録3曲を含む)を併せた2枚組の超豪華シングル盤、『Wildflower&Cover Songs:Complete Best’TRACK3’』。
記念すべき10枚目のシングルということで、このような特別仕様となった。


表題曲「Wildflower」はまた別の話だが、そのほかの新曲を聴いて筆者が感じたのは、今の彼女がとても開放された状態にあるということだ。


振り返れば08年発表作『Superfly』には、初アルバムであることと、デュオからソロへという体制の変化に伴っての気負いがあった。
09年発表の2ndアルバム『Box Emotions』には、ロック・アーティストであることの表明という大命題があった。
そうした負荷をパワーに換えて、志帆は大きく前進してきたのだ。


が、今作からはそうしたギリギリの切迫感のようなものは感じられない。
負荷のかかっていない状態で、彼女はのびのびと自らの歌を開放している。
今の勢いを完全に味方につけている。
ロックを自分のものにして、“乗りこなして”いるのだ。


『Box Emotions』を携えての全国ツアーや初の武道館公演の手応えが大きな自信となり、“気持ちよくロックする”術を身に付けたのだろう。
それゆえ「タマシイレボリューション」からの3曲にはダイナミズムがあり、空へと広がっていくような開放感がある。


「うん。ホント、“のびのび”なんですよ。年が明けて1ヵ月くらい休みをとったのも大きかったのかもしれないけど、心境的には2ndアルバムの頃よりも穏やかというか、ちょっと肩の力が抜けたような感じが自分でもあって。例えば“タマシイレボリューション”とかは、戦ってる私を出してもいるんですけど、でも前みたいに神経張り詰めた状態で戦ってるんじゃなくて、すごくのびのびとやってるんですよね。あと、今までは言葉をメロディにハメこんでいくようなやり方だったのが、今回は言葉を響かせたいからメロディを変えるとか、そういう遊びもするようになって。作る上での自由度も高まってるんです。そういった制限のなさが、歌の“のびのび感”に繋がっていってるんでしょうね、きっと」


NHKサッカーテーマソングとして大反響を呼び、今やSuperfly楽曲のなかで最も広く知られる1曲となった「タマシイレボリューション」(今夏の各フェスで最も盛り上がりを見せた曲でもある)。
「今までで一番ハードで速い曲」であり、「あのソロの部分はぜひともギター・キッズにコピーしてもらいたい」とも言うハード・ロック・ナンバー「Free Planet」。
「夏ソングがほしいと思って」遊び心全開で作ったと言う「Roll Over The Rainbow」。
いずれも彼女自身が心底楽しみながら歌っていることがわかる。
余裕が感じられるのだ。


そんななかにあって、ひとつだけ感触の異なるのが、表題曲の「Wildflower」である。
このシングルの顔でありながら、ほかの曲とは明らかに向きが違う。
いや、今までのSuperfly楽曲のなかにもなかったタイプの、まさに新境地と言っていい曲だろう。


バラードではなくロックの昂揚感を持ちながら、しかし心の深いところに沁み入ってもくる。
なぜかと言えば、志帆が今現在のリアルな心情を、恐れず、丁寧に歌って表現しているからだ。


なぜ自分は歌うのか。
なぜ歌うことを生業としているのか。
誰のために歌い、誰のために生きるのか。
どこに向かって歩いているのか。
歌うことは夢だったはずだが、それは運命だったのか、あるいは使命だったのか……。
陽炎のように揺らめいて見えるこの道の上に立ち、ときには目を開けていられなくなったりもしている自分がいることを志帆は認めながら、しかしそれでも果ての見えないこの荒野のなかに根を張って、野生の花のように咲き誇るのだと自らを奮い立たせている。


「My Best Of My Life」の“砂漠”とこの曲の“荒野”は同意であるが、しかし目に映る景色と心情とを重ね合わせた歌詞表現のレベルは明らかにアップした。
前半のマイナー調のメロディから決意感を表わしたサビへと転換する様も鮮やかで、何よりこの曲、志帆のヴォーカル表現に陰影と含みがある。


「歌詞を書いているときから今までの感覚とは明らかに違ってましたね。ハッキリ自分の意志を表すというよりは、心の奥底でひっそりと誓うというような気持ちだったんです。だから歌も今までのように始めから声を張るんじゃなくて、一歩引くというか、どこか俯瞰して自分を見てる感覚で歌えればいいなと思って」


「結局、(理由や意味を)ずっと探し続けてるんですよね。答えは出るもんじゃないんだろうし、だから悩むんだし。でも人は生まれた瞬間から死に向かって歩いてるわけだから、だったら意味のある悩みを持ちながら、ひたむきに前を向いていられるような人生であればいいなって。26歳、そんなことを考えたりしてましたね」


先述したような開放感と勢いのあるロック・ナンバーではなく、派手さよりも表現の深みを求めたこのような曲を今のこのタイミングでシングルの顔にする意義はとても大きい。
そしてそこからは次の章……そう、来たるべき3rdアルバムを彼女がしっかり見据えていることも感じ取れる。
Superflyのネクスト・ステージを予感させる、「Wildflower」とはそんな1曲でもある。


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さて、ディスク2に収められた洋楽カヴァーの15曲だが、こちらはこちらでまたいろんな意義を感じさせるものでもある。


これまでのシングルなどに収録してきたカヴァーを全て揃えたものであることから、まず志帆の声質と歌唱法の変化(または深化)の過程を見通すことができるのがいい。
例えばデビュー・シングルに収められていたハンブル・パイの「Hot’N’ Nasty」や、2ndシングルに収められていたロジャー・マッギンの「(Please Not)One More Time」などは、最近の曲に比べると声が若々しく弾けている。
そういう意味で、まさに成長の記録と言える盤になっている。


また、「カヴァーはいろんなことを試せる場でもあり、そこでの手触りがオリジナルに返ってくることがよくある」とも志帆は言う。


「例えば“Rock And Roll Hoochie Koo”で(中村)達也さんたちと一緒にやれたことで、自分でもそれまで出したことのないような声を発見することができた。ああいうゴリゴリのサウンドで歌うことを経験できたから、今では“Free Planet”みたいな曲も歌えるわけなんです」。


そういう意味ではThe Birthdayのクハラカズユキらを迎えて新たに録音されたローリング・ストーンズの「Bitch」におけるハイテンションのヴォーカルも同様だろう。
また、やはり新録曲であるエルヴィン・ビショップの「Fooled Around and Fell In Love」ではソウル・ミュージックのニュアンスを持った豊かな歌唱方も体得していて、これからの表現にこれが大いに活きてくるであろう予感もする。
それからラストを飾る新録曲、カーラ・ボノフの「Water is Wide」。
それこそカーラ・ボノフのように清楚で透明感を湛えた表現も元来、志帆は有しているわけで、これまでにも「Last Love Song」や「Perfect Lie」といった曲でそれを垣間見せてはいたが、今後こうした柔らかな歌表現がより持ち味として活かされていくのではないかという期待も持てる。


Superflyの過去(ルーツ)と現在と未来。
その全部を線上に見てとることのできる盤である。



文●内本順一



Wildflower & Cover Songs;Complete Best ’TRACK 3.../Superfly

尚、9月15日からは「Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3' 」の、iTunes LPの配信が始まります。
PVやドキュメンタリー映像なども収めた特別仕様で、志帆ちゃん自身による全曲解説も!
既に盤を持っているという方も、ぜひチェックしてみてください。
http://superfly-web.com/news/2010/09/wildflower-cover-songscomplete-best-track-3-itunes-lp.php

↓洋楽カヴァー集「Complete Best 'TRACK 3' 」についてのインタビューは、こちらから読めますよ!

http://musicshelf.jp/blog/selector/2010/09/superfly-special-interview.html