今日は早起きして、昨日届いたシェリル・クロウの新作『100マイルズ・フロム・メンフィス』を聴いた。

いやぁ~、シングル「サマー・デイ」を聴いたときから期待で胸が高鳴っていたのだが、思ってた以上に素晴らしいじゃないですか。


100 マイルズ・フロム・メンフィス/シェリル・クロウ

今回は解説書いてないし、レコード会社での試聴会も開かれなかったし(案内が来なかったから、たぶん)、音も先に送られてこなかったので、ネットで聴いていた「サマー・デイ」以外の曲を聴いたのは今朝が初めて。
ああ、どこかの雑誌でばーんと大々的に取り上げたかったなぁ。
と、今更ながらそう思ってしまうぐらい心をつかまれてしまっている。

そりゃ、シェリルは僕にとって特別な存在だからってところもあるけど、それにしても今回はとっても外に開かれた作品で、こういう言い方もなんだけどレコード会社的にも“しっかり売っていける”“いいところをアピールしやすい”アルバムであるがゆえ。尚更ね。


この開かれ方は、4thの『カモン・カモン』以来となるもので。
実に風通しのいい新作であり、今のシェリルが心身ともに非常に健康的な状態にあることがよくわかる。


ただ、オープンなアルバムといえども『カモン・カモン』を始めとする今までの盤の音とはサウンド・コンセプトに明確な違いがあって。
「サマー・デイ」を聴いた段階でこのブログにも予測して書いたように、今回の音はズバリ、ソウルよりのもの。
それも「メンフィス~」とついたタイトルからもわかる通り、南部ソウルの香りがプンプン匂ってくるもので、ライナーからのシェリルの言葉を引用するなら、アル・グリーンやスタックスの面々からの影響を反映させたかった、と。
まさにそういう音になっているのだ。


今作の最重要人物であり、プロデュースを務めているのは、それこそ『カモン・カモン』あたりからシェリルとは縁の深いドイル・ブラムホールⅡなのだが、赤尾美香さんの書かれたライナーノーツのなかにあるシェリルの言葉によれば、「君はまるでソウル・シンガーのように歌うから、ソウル・アルバムを一緒に作ろうよ」と言って彼女の背中を押した人物こそがドイル・ブラムホールⅡだったそうな。
これは意外というか、面白い事実でしたね。


で、今のシェリルがとっても開かれたモードにあるってことは、著名なゲスト陣を迎えていることからも伝わってくる。
シェリルってそのへん、わかりやすい女性で、『カモン・カモン』のときもそうだったけど、楽しいものを作りたいっていうモードのときはゲストもどんどん呼んじゃうのね。
逆にシリアスでパーソナルな盤を作るときは、ゲストなんか呼ばないから。


今作でもっとも話題になりそうなのはキース・リチャーズですかね、やっぱ。
シェリルの憧れの人。
2曲目「アイ・トゥ・アイ」っていうダルなレゲエ曲をキースが弾いとります。
これはキース版「ハーダー・ゼイ・カム」のイメージがシェリルにあったんじゃないかなぁ。


そういや、以前キースにインタビューしたときにシェリルの話をふってみたんだけど、こう言ってましたよ。
「ありゃあ、いい女だねぇ~」と。


それからこの人の参加も話題になりそうね、ジャスティン・ティンバーレイク。
テレンス・トレント・ダービー(この人、一度サナンダ・マイトレイヤって改名して、確かまたそのあとテレンス・トレント・ダービーに戻してたよねぇ。違ったっけ?)の一番売れたデビュー作に入ってた「恋愛契約/サイン・ユア・ネーム」(懐かしい~。僕も大好きだったなぁ)のカヴァーをシェリルと一緒に歌ってます。


まあこのふたりの参加が一般的には話題になりそうだけど。
実は僕的に、もっと「うわぁ、まじ?!」と驚きながら喜んでしまったゲストがいて、誰かというとシティズン・コープ!


日本では2005年に『ザ・クラレンス・グリーンウッド・レコーディングス』というアルバムが1枚出ただけでその後の作品は日本発売がなく、来日も確か2005年のサマーソニックに出たきりなので、ほとんど無名に近い存在かもしれないけど。
大好きなんです、僕。
2005年か2006年だったかにニューヨークで観た彼のライヴの素晴らしさは一生忘れられない。
あんなに渋いのにと思うかもしれないけど、お客さんは始めから終わりまでずっと彼の歌を一緒にうたってましたからね。


そのシティズン・コープの唯一の日本盤にして大傑作である『ザ・クラレンス・クリーンウッド・レコーディングス』に収められてた、まさにシティズン・コープ節な1曲「サイドウェイズ」(サンタナも取り上げてた曲ですが、サンタナの曲ではなくてシティズン・コープが書いた曲ですからね。そこ間違われないよう))をここで取り上げ、なんとシェリルと彼とでデュエットもしてるんだけど、このふたりの声の相性が抜群にいいのだ。
疲れた男と女が互いにすがるように想いを言葉にする、その感じにグッときまくりです。


Clarence Greenwood Recordings/Citizen Cope



と、そんなゲストも参加してるこのシェリルのアルバム。


幕開け曲の「アワ・ラヴ・イズ・フェイディング」からしてまず気持ちを昂らせてくれるホーンの効いたもので、聴けばわかるがイントロはサム&デイヴ「ホールド・オン」への敬意だろね、これは。


「サマー・デイ」はシングルにするだけのことはありっていう曲で、僕も何十回と聴いたがまったく飽きない。
何年かして振り返ったとき、2010年の夏にはこの曲が流れてたなぁ、って思えるものになりそう。


5曲目「ロング・ロード・ホーム」はソウルというよりシェリルのカントリー・ルーツのほうを表した曲だけど(それでも中盤のホーンがソウルっぽくもある)、これを聴いてて、こういうのをSuperfly・志帆ちゃんに次のアルバムとかで歌ってほしい、こういう方向に進んでほしい、とか思ったな。
いいインスピレーションを志帆ちゃんに与えそう。


6曲目「セイ・ホワット・ユー・ウォント」は「ここがアメリカだろうと知ったこっちゃないわ」とアメリカ社会に対する愛憎をズバッと歌ってるあたりが気持ちよくもあり、前作『ディトアーズ』からの流れがまたわかりやすく濃くなって出てるとも言えますな。


で、風通しのいい今作のなかでも、とりわけ風通しのいいポップ・ソウルが7曲目「ピースフル・フィーリング」。


次の「ストップ」はメロディと間の取り方がまさにサザンソウル的なスロー。


10曲目に置かれた表題曲は、カーティス・メイフィールドの匂いがプンプンする曲で。
間奏のギターなどはストーンズ「タイム・ウェイツ・フォー・ノー・ワン」っぽい。
歌詞もまた素晴らしいね。
この曲には「朝日が昇るわ」とあったり、「ピースフル・フィーリング」には「この曲に合わせて踊りましょう、ベイビー」とあったりと、非常にこうわかりやすくポジティヴで明快な言葉があちこちに見られるのもこのアルバムの特徴と言えますな。


そして本編ラストの「ローゼズ・アンド・ムーンライト」は、シェリル好きには「マイ・フェイヴァリット・ミステイク」を想起させるメロディ展開だけど、やはりソウルのグルーヴが強調されてて、後半に至っちゃだんだんPファンクみたいになってきて、終盤のホーンとキーボードの絡みなんかファンカデリックかじゃがたらか、っていう。
ここ、一番興奮しました。


で、さらにボーナストラックが1曲入ってるんだけど、これが何かというと、ジャクソン5「帰ってほしいの」のカヴァー。
ビックリよ、だってシェリルの声と歌い方がマイケルのそれにそっくりなんだもの!
思わず笑っちゃうくらいに。
ごっきげーん。


シェリルがデビュー前にマイケル・ジャクソンの「バッド・ツアー」に抜擢され、「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」のデュエットのお相手を務めてたってのはそこそこ知られた話だと思うけど(バッド・ツアーの日本公演にももちろん彼女は帯同。日テレで放映した「バッド・ツアー」を録画したビデオを久しぶりに正月に観返したら、そのときのシェリル、かなりケバいメイクしてましたね)、まあ、そういったことのマイケルへのお礼みたいな気持ちも、もしかしたらここには含まれてるのかも。


いやぁ、まだ今朝1回通して聴いただけなんだけど、こりゃあいいアルバム、楽しい気持ちになるアルバムですよ、本当に。


でもって、今僕はシェリルと猛烈に話がしたい。
聴いて感じたこと、ここに書いたようなことを確かめたい。
シェリルにインタビューしてて何が嬉しいかって、彼女はこのようにいろんなところに散りばめた好きな音楽の影響についても包み隠さず嬉しそうに話してくれるところだったりするからね。


今すぐ会いたいよ、シェリル姉さん。
今作を携えての公演も少しでも早く観たいよ。


本当にシェリルが好きでいてよかったと、そう思わせてくれるこのアルバム。

ストーンズやRCが好きじゃない人とは友達になれない、なんてことをよく言ってみたりする僕だけど、シェリルを好きじゃない人とも友達になれないよ。
ってなこと言ったりしたくなる夏の日の朝でした。


ふぅ。
シェリルの新作聴いて気持ちが昂って一気にこんなに書いちった。
やべっ、仕事しなきゃ。




↓マイスペはこちら。

http://www.myspace.com/sherylcrow


↓ニューシングル「サマー・デイ」のビデオです。

http://www.youtube.com/watch?v=gcezoElKwc0


↓新作のEPK。

http://www.youtube.com/watch?v=7Y_G5QPFMfs&feature=channel


http://www.youtube.com/watch?v=fIWmsToMlgk&feature=channel