音楽専門誌「ADLIB」の休刊のしらせが届いた。
僕は長きに亘って、CDレビューを始めとするいろんな音楽紹介記事を毎月書かせていただいていた。
特にここ数年はインタビューや特集記事の執筆の量も増えていた。
例えば今書店に並んでいる3月号(久保田利伸の表紙の号)なら、シャーデーなど新譜のレビューのほかに、デビット・タマオカ、ママズ・ガン、中山うりと、3本のインタビュー記事を担当し、「女性ジャジー・ポップ・シンガーの系譜」という特集記事の一項目も書き、ライヴレポートのひとつも書かせていただいた。
なんというか、音楽ライターという仕事をしている僕にとってはホームのような意味を持ってもいる大事な媒体だったわけだ。
それだけにとても残念だ。
ADLIBは1973年に創刊された。
扱われる音楽のジャンルは多岐に亘っていたが、とりわけ70年代から90年代にかけてクロスオーヴァー、AOR、ブラコン、フュージョン、ディスコやソウルといった音楽が時代の潮流に乗っていく際や、それらが発展していくその際に、ミュージック・ラヴァーたちの欲する有意義かつ新しい情報を届けていた。
AORの情報を知りたければまずADLIBであり、ブラコンの情報を知りたければ、クロスオーヴァーものの情報を知りたければまずADLIBであった。
僕はライターという仕事を始める前から一読者として親しみ、レコードを買う際によく参考にしていたものだった。
ロックの専門誌はいくつかあったが、ブラックやAORやシンガー・ソングライターものの新譜情報を載せる音楽誌はほかにそれほどなく、ADLIBは圧倒的に役立った。
そういう時代が確かにあったのだ。
そうやって読者として親しんでいた雑誌に自分が原稿を書けるようになったときは、だからとても嬉しかった。
エンタメ情報誌の編集の仕事をやめ、音楽ライターとして独立した僕がADLIBで毎月新譜のレビューを書くようになったのは、確か92年とか93年あたり。
音楽ライターになって2年目くらいだった。
僕がエンタメ誌(「any」~「apo」)で音楽ページを担当していた頃によくプロモーションに来られていたアルファ・レコードのあらおさんから紹介していただき(あらおさん、感謝してます!)、ADLIB誌で原稿が書けるようになった。
ハッキリ言って原稿料は安かったけど(笑)、ADLIBで書いているライターということでレコード会社の方々から信頼を得られるようにもなり、その頃から仕事が広がっていった。
ある時期からCDのライナーノーツを書いたりすることができるようになったのも、ADLIBで記事を書くようになったことが大きかったんじゃないかと思っている。
だからある意味では、音楽ライターとしての僕を育ててくれた雑誌だと言うこともできる。
創刊から37年。
僕が毎月原稿を書かせていただくことになって16~17年(うっわー、まじかよ?! そんなに長く書いてたのかぁー)。
これまで出た号のおよそ半分にライターとして関われたことになる。
そう思うと、さすがに感慨深い。
休刊の大きな理由はふたつあるようで、ひとつはレコード業界の業績悪化に伴う広告収入の激減。
もうひとつは、本格的にネットの時代になったことによる雑誌の持つ役割の変化。
ブログだツイッターだでサクサクと同時間的に情報が得られるようになった今、わざわざ月に一度の音楽雑誌を待って買う人は、そりゃ減って当然ですからね。
まあ、このあたりのことは書きたいことがたくさんあるけど、書きだすと果てしなくなりそうなので、やめときますが。
音楽紹介業というそれ自体がなかなか成立しにくくなってきたような感覚は確かにある今日この頃。
どういうふうにそれを続けていくのか、自分の歩き方も前向いてしっかり考えていかにゃあ。
5月発売号をもってADLIBは休刊となるそうで、つまり原稿を書くのは次が最後。
10数年間毎月聞いてきた、「今月もディスクレビューのお願いです」という編集の八田くんの電話の声を聞くのもあと1回かぁー。
うーむ。
松下編集長、八田くん、諏訪くん、本当にお世話になりました&ありがとうございました。
と、手紙を書くのも照れくさいので、この場で失礼しますが。
取材時のいろんな思い出とか学んだこととか、僕は大事にしていきますよ。
力もちゃんとつきましたよ。
みなさんのおかげです。
感謝フォー・ユー。
誰がどう言おうと、ADLIB誌が音楽の世界で担ってきた役割の大きさを僕は知っているし、忘れませんぜ。

