「5月2日」という日から、5ヵ月と2週間が過ぎた。
まったく考えないでいる日はそんなになかった。
さすがに毎日とは言わないが、それでもほとんどの日、一度は清志郎のことを思ったり考えたりしていた気がする。
フジテレビNEXTやNHKなどで続けて放映されたいくつかの追悼番組を始め、録画した過去のライヴ映像やドキュメンタリーを寝る前によく観返しながらお酒を呑んだ。
今でもそれをよくする。
そして、そこで歌っている清志郎がもういないということが、未だに信じられないというか、どうもピンとこない。
好きな音楽家が亡くなってショックを受けたことは、さすがに40年以上も生きているので一度や二度というわけではない。
あの人が亡くなったときもこの人が亡くなったときもショックを受けたり哀しみに暮れたりした。
葬儀にまで行った歌手もいた。
けれども、清志郎のそれによって自分の心の中にわきおこった感情、沈澱した感情は、自分自身、初めて知るものだった。
ここまでの喪失感を過去に味わったことがなく、その感情をうまく対処できずに困ってしまっている自分がいた。
そこまで熱狂的な大ファンで、いつもずっと聴き続けていたというわけではなかったし、ライヴをまったく観てない時期もあった。
買ってないCDだってある。
清志郎の新しい曲にいつも必ずワクワクしていたかと言えば、そんなこともなかった。
だから、ここまで大きな喪失感を持ってしまった自分に動揺した。
こんなことは初めてだった。
先週も呑んでいて、ある人とそんな話をした。
その人も同じように言っていた。
こんなに喪失感というものを強く持ったのは生まれて初めてだと。
好きだった歌手が亡くなってショックを受けたことは何度かあるけれど、今までのそういうのとは種類の違う経験であり、感情であり、ここまで対処できない自分に自分で驚いたと。
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けれども、僕はある作業に打ち込むことで、そうした喪失感とか動揺とかあれこれのグラグラした感情や思いを、ずいぶん落ち着かせることができた気がする。
いや、落ち着かせるというのとは違うが、その仕事に集中することによってポジティヴな方向に気持ちの向きをグッと傾けさせることができた。
大袈裟に聞こえるかもしれないけど、何らかの使命感みたいものがあった。
これを作り終えたら、自分の中でひとつ何かが昇華されるような感覚になるだろうし、清志郎を好きだった人たちの多くにもそれに近い感覚を持ってもらえるんじゃないか。
そんな思いで集中して作った。
6月に始まり、夏に文章にしてまとめ、夏の終わりから秋の始まりにかけて校正そのほかの整理をした。
それがようやく形になった。
思いのほか時間を要してしまったが、ようやくそれが“一冊の本”になった。
泉谷しげるさんと加奈崎芳太郎さん。
清志郎と同じ時代に生きた言わば戦友のようなふたりのミュージシャンが、清志郎との40年間の想い出を綴った本。
「ぼくの好きなキヨシロー」。
この本の構成を担当した。
そして、今日、この本が書店に並んだ……はず(今日は本屋さんに行く時間がなかったので確かめてないんだけど)。
ようやくできました。
ようやくでました。
いよいよみんなに読んでもらえるんだ。
嬉しい!!
自分で言うのもなんだが、いい本になったと思う。
泉谷さんと加奈崎さんの、キヨシローへの愛情が溢れた本になっていると思う。
泉谷しげる・加奈崎芳太郎 共著
「ぼくの好きなキヨシロー」。
本日発売です。
読んでください。
で、よければこのブログのコメントのところに感想などいただけたりすると嬉しいです。
http://www.wave-publishers.co.jp/np/isbn/9784872904369/
