加藤和彦さんが亡くなった。
よりによって首つり自殺だという。
言葉が出ない。
そういうことをする人にはまったく思えないだけに…。
安井かずみさんが亡くなられ、さほど間をあけずに中丸三千繪さんと再々婚されたとき、人生の選択ということについて僕は深く考えさせられた。
そのように悲観に暮れるのではなくポジティヴに自身の幸福を捉えようとする強くてスマートな大人だっただけに、自殺を選択する意味がわからない。
加藤さんの全作品の中で、とりわけ僕がはまったのは、79年から81年にかけての3部作『パパ・ヘミングウェイ』『うたかたのオペラ』『ベル・エキセントリック』だった(…という人は多いはずだ)。
わけても『パパ・ヘミングウェイ』は、高校時代、本当にレコードが擦り切れるくらい聴いた。
何百回と聴いた。
ジャケも部屋に飾っていた。
あの歌い方が大好きだった。
- プロデューサーとしては、なんといっても泉谷しげる作品……とりわけ大傑作『80のバラッド』の仕事を後世に伝えたいところ。
加藤さんと泉谷さんのマッチングは最強だった。
加藤さんと安井さんの共著による生き方のスタイル本みたいなものも買って、気持ちの上だけで少しばかり影響も受けたっけなぁ……テニスはやらなかったけど。
六本木のホーム・スタジオにお邪魔してインタビューしたときのあの優しさが思い出される。
しかし、なんで死を選ぶかなぁ。
先週、たまたま僕はある雑誌で、「この時期のおススメ」として加藤さんの87年作品『マルタの鷹』を紹介し、その中の「DECEMBER SONG」について書いたところだった。
「今も君がいる」と歌いながら、その君の不在を歌っていたこの曲を改めて聴いてジンときていたのは、予兆のようなものだったのか。
「悲~しくて~悲しくて~、とて~もや~り~きれ~ない~」。
