4月6日(月)
大塚・萬劇場で、演劇ユニット トナドゥ公演『ブライトライトダーティアンダーグラウンドシティ』。
シンガー・ソングライターで、このブログにもちょくちょく登場しているKUMAMIくんが初舞台を踏むというので、観に行く。
2日から始まった公演の、この日は千秋楽。
天気のいい日の2時からの公演。
会場となる萬劇場は、JR大塚駅から5分くらいのところにあった。
大塚駅で降りるのは実に25年ぶりだった。
25年前の夏、僕は大塚駅北口にあった大手貸レコード屋「友&愛」(ユー・アンド・アイと読みます、念のため)でアルバイトをしていた。
なぜ大塚だったのかといえば、単に本社で面接したらそこに回されたっていうだけのことだったと記憶しているが。
ではなんでそれが25年前だったと覚えているかというと、そこで一緒に働いていたマッチョくんが、スプリングスティーンが出したばかりの『ボーン・イン・ザ・USA』のレコードを店内にダーっと並べてディスプレイし、僕はそれが気にくわなくてプリンスの『パープル・レイン』に並べ変えたりして軽くぶつかりあったりしてたからだ。
84年。あの時、僕は若かった(←遠い目)。
因みに「友&愛」が入っていたビルのあった場所は、今はみずほ銀行になってました。
さておき、そういえば小劇場で演劇を観るという行為もずいぶんと久しぶりである。
20代の頃はけっこう観に行っていた。
20代の半ばから後半にかけては、音楽のほかに演劇公演の情報なども扱った情報誌の編集をしていたから。
遡って20代前半のときとなると、もっと近い気持ちで入り込んで観ていた。
その頃の数年間、僕自身、芝居をやっていたからだ。
萬劇場はいわゆる小劇場で、ああ僕もかつてはこのくらいのハコで芝居したりしてたんだよな……などと思い出したりもしつつ、本公演を観る。
トナドゥは、脚本家・南青緑氏(remix誌で映画評を書いたりもされているそうだ)の主催する演劇ユニット。
「社会的な問題意識を軸に、笑いや音楽、踊り等でコーティングし、エンターテイメトに仕上げている。」と、ウェブサイトにはある。
http://www.tonado.jp/tonado_Frameset.htm
なるほどこの「ブライトライトダーティアンダーグラウンドシティ」も、近未来社会を舞台にし、家族という単位についてや、管理と自由、個人と集団~社会、自覚と無自覚といったシリアスなテーマ~メッセージを打ち出してはいるが、笑いやミュージカル的要素、エロまでも盛り込んでいるので、楽しんで観ていられる。
わかりやすく、ポップであるとも言える伝え方だったと思う。
それはそれとして、KUMAMIくんである。
何しろ友人の初舞台ということで、僕は親心じゃないけど(笑)なんだかヘンに緊張しながら彼の出番を待っていた。
で、どうだったかというと。
うん。いい感じでしたよ。
いい意味で自然というか、バリバリ役者しぎてはいないけどしっかり声の通りもよくて、ある部分ではいつものKUMAMIくんの延長線上にありつつ違う面も見せている……といった感じ。
テンション上げ過ぎてもいなくて、自分らしい温度で参加しているように見えました。
昔はパンク(ビジュアル系?)をやってたミュージシャンが、別世界の現在はポップ・ミュージックをやっていて、その普遍的なポップ・ミュージックを広めるために云々といった彼のセリフも本人と微妙にシンクロするところがあり……。
南青緑さんはそのあたり、あて書きされたんじゃないかな。
そして何より、エンディングのKUMAMIくんの歌。
メッセージが明確になり、ダーンと盛り上がったところに舞台上で彼のキーボード弾き語りがなされるわけだが……はっきり言って、KUMAMIくん、こりゃおいしいわ(笑)
その曲がそこで映えすぎ。いいとこ持っていき過ぎっしょー。
いやね、そこで歌われたのは僕も初めて聴いた新曲だったんだが、実にKUMAMI節の感動的なスローだったのだな。
観た人全員、印象に残らないわけにはいかないっていう。
それにしても表現欲に満ち溢れ、表現欲に突き動かされて前に進んでいる彼である。
それはもう、表現してなくては死んでしまうんじゃないかというほどに。
そんなKUMAMIくんの次なるステージは、今週末(19日)から3ヵ月連続で行なわれるマンスリー・ライブで、題して「僕と三つの夜」。
ぜひ、行ってみてください。
という意味も込めて、フライヤー用に提供した僕の文章をここに載せておきます。
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声もまた楽器である……とはよく言われることだが、KUMAMIはその楽器をどんどんいい音で鳴らせるようになっている。
それは、彼が東京でも活動するようになった2007年から定期的にライヴを観てきた筆者の実感だ。
また、KUMAMIはこれまで様々な楽器編成でのライヴを行なってきているが、彼の声という楽器は、そのとき共に鳴る楽器によって異なる響きを表わす。
自身のピアノと歌、弦と歌、ギターやドラムと歌……。
合わさる楽器によってヴォーカルの艶や色彩、トーンが変化する。
当然それによって楽曲の世界観がまた違った広がり方を見せるわけで、KUMAMIはそれを楽しんでもいる。
楽しみながら曲の深度を探っている。
つくづくチャレンジ精神と好奇心の旺盛な音楽家であるなと思う。
4月、5月、6月と3ヵ月連続で、異なる楽器を迎えてのKUMAMIのライヴが行なわれる。
題して<僕と三つの夜>。
第一夜はチェロ、第二夜はギター、第三夜はドラムだそうだ。
それぞれの楽器との対話がどのように成され、そして三夜目が終わった時にいかなる世界観が立ち現れるのか。
やがて一つに繋がる三つの短編小説を読むような感覚で楽しみたい。
↓詳しくはこちら。