1月21日(水)


乃木坂・ビルボードライヴ東京で、吉田美奈子&渡辺香津美(2ndショー)。


雨降る寒い夜。
だが会場内は温かな空気が流れ、外の寒さを忘れて心地よい時間を過ごす。


昨年10月にリリースされたデュオ・アルバム『NOWADAYS』のライヴ版。


文句のつけどころのない技巧と深みを持ったベテラン・ギタリストと、文句のつけどころのない技巧と深みを持ったベテラン・ヴォーカリストの共演であるからして、そりゃもう文句のつけどころがない。
その上、選ばれた曲が文句のつけどころのない究極の名曲群なのだから、まったくもって文句のつけどころがない。


相当のテクが必要であろう曲をさらりと弾く香津美さんと、力を入れずに広がりのある歌を聴かせる美奈子さん。
安定しすぎていて、逆にもう少しスリルがあるぐらいでもいいんじゃないかと思ったりしてしまう僕は天の邪鬼なんだろうか。


デューク・エリントンにホレス・シルヴァー、ドアーズ「ハートに火をつけて」にビートルズ「エリナー・リグビー」にジョニ・ミッチェル「青春の光と影(BOTH SIDES NOW)」に……。


「BOTH SIDES NOW」がとりわけ沁みた。
美奈子さんはベトナム戦争の話から前日のオバマ新大統領就任の話へと繋ぎ(アレサの歌にも言及)、そこから入ったこの曲は意味深く聴こえた。


音響がとてもよく、演奏と共にアレンジの拘りにも自然と耳がいく。
難しいアレンジを難しく聴こえさせない余裕がふたりともにある。
中には多重録音曲をバックの音出しと合わせて演奏するなんていうユニークな場面も。


ところで、お二人は同い年なのだとか。
音楽家として理想的な大人のなり方だなと思う。
美奈子さんは喋りのゆったり感もいい。
そのステキさにカラダと心が十分に温まった……のだが、外に出たらやっぱり寒くて、ひとりでラーメン食べちゃって、さっきまでのムード、自分でぶち壊し、みたいな。


nowadays/吉田美奈子&渡辺香津美