1月18日(日)


さいたまスーパーアリーナで、スピッツ。


J-ポップの良心…なんてふうにも言いたくなるスピッツの音楽はずっと聴き続けていて、『ハチミツ』(95年)以降はアルバムを出す度に毎回インタビューもさせていただいている(…わりには未だになんか打ち解けてない感じもあるが。いやインタビュー自体はいつも和やかに楽しく進むんだけど)こともあって、やはりこういう大会場で彼らを観るというのはそれなりの感慨もあるなぁ……という気持ちで電車乗り継ぎ、さいたまスーパーアリーナへ。


結成22年目にしての、初のアリーナ公演。
この日は同会場2デイズの2日目。


3年ぐらい前(シングル「魔法のコトバ」を出すタイミング)に取材したとき、頑なに拒んできた大会場…例えば武道館みたいなところでのライヴも、そろそろやってもいいんじゃないか、難しく理由づけをしないでしれっと普通の感覚でやるのもありなんじゃないかと僕は彼らに言った(訊いた)。
返ってきた言葉をちゃんとは覚えてないが、とりあえずやっぱりそこに価値はおいてない、そこは変わらないみたいな感じでそのとき彼らは言ってたっけ。


けど、そこから時間がちょっと経って、ここにきて、まあ武道館ではないが、アリーナ公演が決定したと。
その経緯を僕は「JAPAN」誌のインタビューで読んだが、勝手に要約すると微妙にニュアンスが変わっちゃいそうなのでここでは流す……が、とにかく遂にメンバーが決断してのアリーナ公演だったわけだ。


席に着いて待ち、客電が消えたときには、「おおっ、遂にっ!!」といった感じでさすがに胸が躍った。
が。なんか始まり方はずいぶんあっさりしていた。

っていうのと、あと、ありゃっ?と思うほど出音が小さかった。
正直に書くと拍子抜けした。
わからないが、演奏の問題ではなく、恐らくPAのバランスの問題だったと思う。


けど、それはさほど時間が経たないうちに、ほとんど気にならなくなっていた。
会場のその音に耳が馴染んだのかなとも考えたが、たぶんそうではなくて数曲進んだところで改善されたということなのだろう。


特にロック・モードの曲が出始めてからは、ちゃんとダイナミックな音になっていった。
曲名は書かないでおくけど、まず7曲目がかなりいい演奏で迫ってきた。

10曲目、そして11曲目では、ロック・バンドとしての矜持みたいなものを感じた。
ハードで、スケール感もあった。ちゃんとドライヴしてもいた。
アリーナに見合ったどっしりした音をこうも悠々と堂々と出せるバンドなんだよなぁ、今のスピッツは。

とか思っていた。


アリーナってことでスクリーンが用意されてもいたのだが、効果的な映像だなと思ったのは16曲目。
それから19曲目。
その19曲目はアンターワールドみたいなエレクトロなサウンドがうまく混ざって新鮮でもあったし、音の広がりという意味で抜きんでてもいた。


最新作(今回の場合は『さざなみCD』)を中心にしつつも、今までの代表曲や懐かしい曲を巧く混ぜて進めていくのはまあいつもの通り。
3~4曲演奏して、ユルめのMCを入れて、また3~4曲演奏して、というふうに進めていくのもまあいつもの通り。

アリーナ公演だからって特別なことはせず&気負わず、いつも通りのスピッツを見せるんだという姿勢で取り組んでいるのがよくわかる。
そこはもう、なんとしてもいつもの通り!という意地が見えるほど。
「気負いのなさを見せつけてやるぜ」くらいの。


なのでもちろん演出めいたものもなく、メンバーもずっと定位置で演奏していた。
正直、もう少し動けばいいのにと僕は思ってもいた。
が、20曲目で田村くんのスイッチが入り、遂に21曲目で彼がステージの端まで疾走!
いいぞ、田村。
こうじゃなきゃ。
いや、いつも暴れん坊スイッチが突然入るのが田村くんだが、アリーナってことで走行距離が長い分、見え方も大きくて、それがいい。

それがライヴ自体のダイナミズムにも繋がっていく。
遂にはPAに飛び乗ってジャンプしたり、なんか蹴飛ばしたり。
えらいぞリーダー、と僕は思いましたね。
大きいとこなんだから、大きく使う。それは絶対そうするべきで、それを率先してやれるのが彼なのだ。


「やっぱりライヴは楽しいね!」
田村くんが最後のMCパートで言ったこの一言が、ああ、すごくいいな、と思えたな。


ということで、総じて気負わずいつものスピッツを見せようとしてたようでありながら、でも曲の広がり方は大会場ならではと言えるものがあり、バンドのスケール感もこういう形だからこそクッキリと伝わってきた。


数年に一度、またやってほしいもんですね、こんな感じで。


さざなみCD/スピッツ