1月15日(木)


渋谷・Oイーストで、ドノヴァン・フランケンレイター、ヘイリー・セールズ、マット・グランディ。


昼間にヘイリー・セールズの取材(前の記事参照)をし終えたあと、一度帰宅して原稿をちょっと書き、夜はドノヴァンとヘイリーを観にOイーストへ。


14日のサーフロックのショーケース同様、まずはドノヴァンのバンドのベーシスト、マット・グランディ。
ショーケースのときと同じように静かに淡々とフォーキーな曲を弾き語っていくが、観客の一部はいい曲に対してちゃんと拍手で応えていて、ショーケースのときよりもグッドなヴァイブレーション。


続いてヘイリー・セールズ。
昼の取材時と同じ服…Tシャツとジーンズで、その飾らなさがこのコらしくもある。
やはりショーケース時と同じくベースとドラムをサポートにしてのトリオ編成だが、こちらはマット・グランディ以上にハッキリといいヴァイブが生まれていた。
最初は“なんだか若いお姉ちゃんが出てきたぞ…”といった感じで観ていた人たちも、彼女の意外に男気のあるギター・プレイと、CDで聴くよりずっと強い歌声、そしてキュートな笑顔やMCにやられて、1曲ごとにどんどん前のめりな反応へと変わっていったのが手に取るようにわかった。
大きな拍手と、「イエーっ!」といった歓声。
で、それを受けて嬉しくてたまらないといった表情のヘイリーの歌もどんどんよくなっていくという理想的な相乗効果。
嬉しそうに歌ってたなぁ、ヘイリー。
14日のショーケース・ライヴのときの5倍くらいよかったぞ。
因みにライヴ終了後、CDも会場でけっこう売れたんだそうです。


そんな二人のオープニング・アクトによって会場があったまったところで、いよいよこの日のメイン・アクト、ドノヴァン・フランケンレイターの登場になったわけだが。
メンバーの登場にあわせていきなりかかった曲は、なぜかブルーハーツの「リンダリンダ」。
僕のそばにいたにいちゃんは、それでもうビョンピョン飛び跳ねている。
パンクのライヴですかい?!
あれですかね、「日本の曲で何か盛り上がるやつかけようぜ。なんかない?」とかなんとか、ドノヴァンがスタッフに訊いて選んだんですかね?


というふうに、つかみOKで始まったドノヴァンのステージ。
派手なサイケ柄のピチピチ・パンツはいて、ああいう帽子なんていうんだ? 極寒の地でかぶるような毛のフサフサしたあったかそうな帽子…をかぶったドノヴァンは、オーガニックと評されがちなそのあり方にむしろ反旗をひるがえしているようなアティチュードがそのカッコからちょい窺える。


で、バンドはリード・ギター、ベース(=オープニング・アクトを務めたマット・グランディ)、ドラム、そしてキーボード(兼トランペット)。
そのキーボーディストが弾くローズとハモンドの音がものすごぉくよかったですな。
この人が演奏のグルーヴ部分をガッツリ担ってるんだとハッキリわかる。
とりわけジャムっぽい曲におけるこの人のプレイは重要度が高かった。


ドノヴァンのライヴは、これまでフジロック含めて3~4回観てるが、ますますもってロックっぽくなっている(特にギター・プレイが)。
2ndアルバムの、例えば「ムーヴ・バイ・ユアセルフ」なんか、サイケなギターがギュインギュインのジャム演奏で、あれ、10分ぐらいやってたんじゃないか。
ソー・ファンキー!  で、僕的にはその「ムーヴ・バイ・ユアセルフ」がこの日のハイライト。


で、そういった濃厚なグルーヴでもってく曲がとにかく最高なんだが、だからこそさらっと聴かせるアコースティックのミディアム曲の味わいにもグッとくるっていう。
そのへんの緩急のつけ方がますます巧みになってんなぁと思いました。


アンコールでは、2~3歳くらいのお子ちゃまもステージに出てきて、場の雰囲気に戸惑いながらもハーモニカ吹いたりして、そりゃあもう可愛いったらありゃしない。
それで歌うのが「コール・ミー・パパ」なのだから、そりゃドノヴァン、反則でしょー。
心がホンワカしてグッときちゃうにきまってんじゃん。ずりーよ。


最後はヘイリー・セールズも呼び込み、ちゃんと彼女にも花を持たせるあたりがまた優しいところ。


いやぁ、いつ観てもいいね、ドノヴァンのライヴは。
ジャック・ジョンソンはCDで聴いてるほうがいいけど、ドノヴァンはライヴのほうがいい。
これ、僕の見解です。


パス・イット・アラウンド/ドノヴァン・フランケンレイター

ムーヴ・バイ・ユアセルフ/ドノヴァン・フランケンレイター