書きそびれていた今月初めのライヴ・レポ、これが最後です。
12月5日(金)
この日は、ストーンズの映画『シャイン・ア・ライト』の公開初日。
朝一の回のみ先着でポスターを配るというので、朝っぱらから新宿・武蔵野館に観に行く。
しっかりポスターをもらい、さらに販売されていたB全のポスター2種と、ジャーナル・スタンダードとのコラボによるTシャツを買い、上映を待った。
僕が『シャイン・ア・ライト』を観たのはこの日が6回目。
7月にダフィーの取材でロンドンに行ったときに飛行機の中でやっていたので、行きと帰りに2回ずつ、往復で4回観て。
そのあと試写会で1回観て。
そしてこの日、ちゃんと映画館でしっかり観れたことで、やっと自分の中で一区切りつけられた感じがしたものだった。
いえ、まだもう一回ぐらい観に行っとこうと思ってますけどね。
もちろんDVDも買いますけどね。
観た感想はず~っと書こう書こうと思いながら、気持ちが入りすぎてなかなか書けないままここまできちゃった。
書きたいことは山ほどあるんだけど……来年さらっと書くかもしれないし書かないかもしれないし。
ただ「Pen」誌でさらっと書いたのと、あと「グラマラス」誌でストーンズのコメント使って1ページ書いたりはしたんですがね。
ま、『シャイン・ア・ライト』のことはひとまずおいといて。
ローリング・ストーンズ×マーティン・スコセッシ「シャイン・ア・ライト」オリジナル・サウンドトラック/ザ・ローリング・ストーンズ
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夜。
鶯谷・東京キネマ倶楽部で、中山うり。
「ツール・ド・ケセラ 2008」と銘打ち、名古屋・神戸・福岡とまわってきたツアーの最終日。
元グランドキャバレーを改装したのが、この東京キネマ倶楽部。
ここでやるのは、うりさんのたっての希望だったのだとか。
なるほど、レトロモダンといった独特の作りと雰囲気が、彼女の音楽性にピッタリ合っている。
渋谷のduoなんかより30倍いい雰囲気だわ。
なんならここをホームグラウンドにするのもいいんじゃないかってぐらい。
先に書くと、そうした会場との相性も手伝い、僕がこれまで観てきた中山うりのライヴの中で、この日がベストと言えるものだった。
「楽しい」という感情が素直に前に出るライヴだった。
もちろん「しっとり」モードもあるにはあるが、そっちに傾けるよりもみんなで「楽しく」「明るく」いきましょうという方向性だったと思う。
選曲ももちろんのこと、バンドの編成の仕方からも、彼女の表情からも、そういうことが伝わってきた。
バンドは、ギター、パーカッション、ベース、ドラムス、バイオリン、4人のホーン隊、そしてアコーディオンとポケトラと歌のうりさん。
曲によってホーン隊が加わったり退いたり、チューバ抜きのホーン隊になったり、ヴァイオリンが加わったり退いたりと、いろんなスタイルで。
代表曲「月とラクダの夢を見た」でゆったりしっとりとスタートし、最初から特有の音楽世界に導く。
2曲目「カーニバルの午後」でムードを変え、この途中で早くもホーン隊がステージに登場。
うりさんもポケトラを吹き、ここで一気に華やかな状態に。
セカンドラインっぽいリズムに、さらに微妙な変化をつけ、マルディグラみたいに盛り上げる。
そのままの編成で、ホーンが昭和歌謡チックな「サーカスが来た」、そしてここでやっと新譜からの「雨晴れ曇り」と続き、次はホーン隊が退いて「マドロス横丁」(←この途中で歌詞を忘れたのもご愛敬)。
MCを挿み、続いては意外に早く歌われたシングル曲「夕焼け空に摩天楼」。
この曲の間奏部分で僕はちょっと泣きそうになる。いい曲やぁ……。
と、こんな具合にステージは進み、中盤はやや落ち着いた雰囲気にもなっていたのだが、11曲目の「ジャワの夜はふけて」からまた一気にテンションがあがっていく。
そこから「つぎの駅はパラダイス」「黒猫・白猫」と続いたあたりの畳みかけるような感じはなかなかすごいものがあった。
特にヴァイオリンが加わってのお馴染みの「黒猫・白猫」は、いい意味での妖しさも加味され、一層の進化を見せていた。
アンコールは「ばいばいどくおぶざべい」と「笑う月」、そして「青い夜」。
この最後の原マスミのカヴァー「青い夜」が息をのむほど素晴らしかった。
バンドの4人が下がり、ホーン隊とうりさんだけという特別な編成で演奏されたここでの歌唱表現はCDのそれを遥かに上回るもので、彼女の新たな一面を見たような気もした。
よくて、鳥肌がたった。
このラス曲がこの日のハイライトと言っていい。
で、歌い終わって「また来年!」の一言を残しステージを去る彼女。
しかし、それで終わらず、まださらに続きがあったのだ。
いや、本公演は確かにここで終了したのだが。
このあと、サックス&ブラス・マガジンの編集長がステージに現れ、誌上で募集していた中山うりとジョイントするブラスバンドが決まったので、ここで紹介して1曲彼女と演奏するとのこと。
選ばれたのはGENESISというマーチング・バンドだったのだが、これが凄かった。
ステージ上に6人(太鼓)、左の檀上に4人、そしてフロアの後方にも大勢のブラス隊(ざっと20人ほど)がいて、それが曲の途中でステージ前方にずらりと並ぶ。
全部で30~40人ほどいたのかな。
さすがにえらい迫力。
演奏されたのは本編でも歌われた「カーニバルの午後」だったんだが、ここではうりさんもいつもより大きな声を出して頑張ってる感じでしたね。
でも、楽しそうで、よかったよかった。
と、そんなサプライズも含め、とにかく楽しさいっぱいだったこのライヴ。
カメラがいっぱい入ってもいたから、たぶん映像作品化されるんじゃないかな。

