わぁー、もう08年が終わっちゃいます。
が、先月末から今月頭にかけてライヴ日記を書きはぐっていた一週間があったので、今さらですが振り返って簡単に書いておきます。
とりあえず今年は観たライヴ全ての感想を書くというのが目標だったので。
11月29日(土) (←ありゃもう1ヵ月も前だ)
さいたまスーパーアリーナで椎名林檎。
「椎名林檎(生)林檎博'08~10周年記念祭~」と題された通りのデビュー10周年記念公演。
3日間行なわれたうちの2日目を観る。
まずソロ・アーティストでこれだけの大バコを3日間満員にできる人気を持っているという事実に、たいしたもんだなぁと感心する。
初期に比べるとここ数年は所謂ヒット曲というようなものを放っていなかった印象があるが、ライヴをやればこれだけの人(延べ5万5千人だとか)が集まる。
ある種のカリスマ性みたいなものは今も保たれているということだろう。
既にいろんな雑誌にライヴ評が出ているはずだし、多くの人がブログに書いてもいるだろうから、内容の詳細は書かず、感想のみざっくりと。
多彩な趣向で見せて楽しませるライヴだった。
衣装、セット、演出、構成と、どれも観客の意表を突く。
視覚的なギミック、満載。
シリアスとユーモアのバランスも絶妙だった。
包丁でまな板の上のりんごを切り刻みながら歌ったり。
大人数の阿波踊り隊が登場したり。
そこに意味があるのかないのか、それを観る者に考えさせるという仕掛けも多数用意する。
ほかの誰もやらない&ほかの誰も考えないようなショーを確かに彼女はやっていた。
それは間違いない。
あとでDVDになったらまたしっかり観直したいと思わせる、絵的に刺激のあるライヴだったと思う。
が、それが音楽的なカタルシスに結びついていたかと言えば、それは別。
正直、音楽的な部分でグッとくるところは、僕にはほとんどなかった。
ラス前の「御祭騒ぎ」という曲でブラジリアンっぽいリズムになったときには祝祭的なグルーヴとも言える感じでやや高揚したものだったけど。
ステージ上にいたギター、ベース、ドラムの3人のミュージシャンの演奏は引き締まったものだったと思う。
またオーケストラ・ピットには大人数の管弦楽団が入り、指揮していたのは斉藤ネコさん。
それ自体の演奏もなかなか壮大かつ映像的な美しさを持つものだった。
が、そのふたつと椎名林檎のヴォーカルが合わさったその音はといえば、どういうわけか意外なほどに音楽的説得力を伴わない。
いや、「よかった」という人が圧倒的に多数なので「オマエの耳がおかしいんじゃい」とも言われかねないんだけど、とにかく僕の胸にはまったくエモーショナルなものとして響いてこなかったのだ。
演奏そのものはよくても、それと椎名林檎のヴォーカル表現が決して相性のいいものには僕には思えなかった。
もっと言うと、なぜこのような演奏形態でこういう歌い方(例えば時々がなるように歌ったり)をするのかが僕には疑問。
また、いろんな仕掛けを見せてはいるものの(ステージが回転したりもするものの)、椎名林檎自身が動くことはほとんどない。
つまり音楽が躍動しようとしても、それに対して彼女は自然な肉体表現をせず……というかあえて拒否しているようにも見えて、それがなんか観ていて生理的に気持ちよくない。
総じて、これは頭で作っているコンサートなんだなという印象を強く持った。
知性が肉体や心の先を行ってるコンサートというか。
だから知性的なアーティストであるということは再認識できた。
が、頭悪そうな言い方に思われるかもしれないけど……僕はもっと心で音楽を聴きたい。
因みに、このライヴが終わったあと、乃木坂のビルボードライヴ東京に移ってプリシラ・アーンのライヴを観た。
ステージにいたのはプリシラとサポート・ミュージシャンのふたりだけで、演出めいたことも一切なし。
が、その音楽が心の深くにびんびんきた。
音楽は贅を尽くせばいいというものじゃないし、そういうシンプルなもののほうが僕にはグッとくるのだ…ということを改めて思った。
