10月25日(土)
丸の内・東京国際フォーラム ホールAで、甲斐バンド。
今年はサザンオールスターズに柳ジョージ&レイニーウッド。
去年はチューリップも観た。
サザンのみちょっと意味合いが違うけど、ざっくり言うなら自分にとっての「青春プレイバック」シリーズ。
僕が中学生~高校生だった時代(ざっと30年近く前っす)にどっぷりハマって聴いていたバンドを、今のこの目で(耳で)もう一度観てみよう(聴いてみよう)という自分内シリーズみたいなもんだ。
そして甲斐バンド。
チューリップのラスト・ツアーの東京公演も国際フォーラム ホールAだったが、甲斐バンドも今回のツアーを最後にするそうで、その東京公演の舞台は同じく国際フォーラム ホールA。
前に何度か書いたように、この会場は臨場感が伝わりにくく基本的にロック・バンドには不向きだと僕は思っていて、今回のライヴも例えば武道館とかだったら感じ方もだいぶ違っていただろうな……とは思ったけど、でもまあ、それはそれ。
2度のアンコール含めて(インタールード的な曲を除き)全23曲。
約2時間半。
それだけタップリやったのに、あっという間に終わってしまったように感じられたのは、それだけ熱が入って観たということなんだろう。
甲斐バンド。チューリップ。
2007年・2008年にラスト・ツアーを行なったこのふたつの長い歴史を有したグループの名を続けて書いてみて思い出すのは、僕が中1か中2だったときにテレビで見た、土曜の午後にやってたある番組。
タイトルは、記憶に間違いなければ、「ニューミュージック・スペシャル」。
その日の出演は、バンバン、アリス、甲斐バンド、チューリップの4組だった。
このあたりのニューミュージックという呼び方で括られてた(当時にしては)モダンなバンドがテレビに出るなんてことはまずなかったので(確か公開リレー・ライヴ的な形式だった)、この番組はかなり画期的で記憶に残っている。
この4つとも、僕は大好きでした。
因みに僕が生まれて初めて観に行ったコンサートは、アリス、バンバン ジョイントコンサート(神田共立講堂)というものであり、所謂ロック・バンドという認識で初めて観に行ったコンサートは、甲斐バンド(確か中野サンプラザだったと思う)だった。
当時(76、77年ぐらい)から甲斐バンドのライヴ動員力は相当のもので、チケットはなかなか入手しにくく、まだチケットぴあのようなものもない時代だったので、僕は徹夜でプレイガイドに並んだもんです。
高1のとき、銀座のソニプラの(確か)赤木屋プレイガイドに徹夜で並んでたら、学校の同じクラスの女のコがやはり並んでて、「甲斐バンド、好きなの?」なんつって勇気出して初めて話をしたなんてこともあったっけな。
甲斐バンドを聴きだすようになったきっかけは、たぶん、甲斐さんがパーソナリティを務めてたセイヤングを聴いていてだったと思う。
「テレフォン・ノイローゼ」のレコーディングを終えて初めて番組でオンエアしたときあたりから聴き始めたんだったな。
で、初めて買ったLPが3rdの『ガラスの動物園』(76年)。
これでグワッとハマった。
なので、今回の国際フォーラムのライヴでまず「おおっ」と興奮したのは、2曲目の「感触(タッチ)」のあと。
「らせん階段」に入る前に、アルバムのイントロダクション的に収められていたあのインストゥルメンタルがちゃんと鳴らされ、そこから「らせん階段」に入るというその場面でだった。
その瞬間、当時の自分のいろんなことがブワっとよみがえってきたもの。
その『ガラスの動物園』が出た76年から4~5年は、本当にずっぱまりで甲斐バンドを聴いていた。
遡って聴いた2ndの『英雄と悪漢』から『ガラスの動物園』『この夜にさよなら』『誘惑』『マイ・ジェネレーション』までは本当に擦り切れるほど聴いたし、部屋で聴きながらいつも大声で歌っていたものだ。
思い入れはありすぎるほどある。
最初のライヴ盤『サーカス&サーカス』(78年)などは、発売日に池袋パルコでサイン会も催されて、僕、ジャケに4人のサインをもらいましたから。
(ちょうどLPの四隅にそれぞれのメンバーのサインがいい具合に入っていて、これ、けっこうなお宝ですよね?)
で、オリジナル・アルバムで最後に買ったのは、『地下室のメロディ』(80年)。
僕的にはこれがそれまでのアルバムに比べていまいちピリッとこなかったのと、あと、この頃にはもうRCサクセションの快進撃が始まっていたし、ルースターズがデビューするなどめんたいロック・シーンも盛り上がりだしてたし、東京ロッカーズを始めパンクのヒリヒリする感じにもやられだしてたし……って時期で、このアルバムを最後に甲斐バンドを熱心に聴くことはなくなったのだった。
が、そういう、今でもロック・リスナーから確固たる評価をされ続けているRCとかルースターズのようなバンドが出てくる前に、甲斐バンドは確かに「日本のメジャーのロックバンドとして」唯一無二の存在感を誇っていた。
そのことは忘れてないし、忘れちゃいけないという意識もあったので、今回のライヴにも足を運んだのだった。
そんな僕のような者にとって、今回のライヴの選曲はかなりグッとくるものがあった。
23曲中、5曲を除いてあとは全て僕がリアルタイムで聴きまくっていた80年までの(初期~中期の)曲。
とりわけ『誘惑』の中の妖しいナンバー「カーテン」(当時高校生の僕にはこれで十分「いやらしい曲やなぁ」と思えたもんです)とか、この日新たに追加で演奏されることになったらしい「シネマ・クラブ」(昔、部屋でよく歌ってたもんです)。
それに、必ずドーナツ盤を発売日に学校の帰りに買って、その日に何度も繰り返し聴いていた……「氷のくちびる」とか「LADY」といった大名曲が聴けたことにも胸が熱くなった。
アンコールの1発目は僕がよくライヴを観ていた時代の開幕曲「きんぽうげ」。
そうそう、こうやってあの頃の甲斐バンドのライヴは始まったんだよなと思いだしたりも。
また、続くは「漂泊者(アウトロー)」。
あれ、なんていうドラマだったっけ?
昔、NHKで土曜の8時頃にやってたあのドラマ。
この曲がすごく印象的に使われてたものだったけど、あの第1回目は名作でしたよね?!
信号は赤で渡らなくちゃダメなんだって男の子が言うあの回。覚えてる人、いるかな?
ところで、今回のバンドは9人編成の大所帯。
ツインドラムに加えパーカッションも。
ギターもツイン。
ただ、正直に書くと、バンドのグルーヴみたいなものはあんまり感じられなかったかな。
厚みは確かにあったが、厚いからいいってものでもなく、ツインドラム+パーカッションっていうのがやや音多すぎに感じられた曲があったりも。
甲斐さんの歌がそこにうまくのってるように思えない曲もありましたね。
テレビとかで観ることはたまにあっても、そもそも甲斐さんのライヴを観ること自体、僕には本当に久しぶりのことだったわけだけど(それこそ20数年ぶりか?)。
相変わらずパワフルで声もよく出ている……という書き方もあるが、やはり例えば「観覧車」のような曲での高い声は辛そうでもあったかな。
といった感じで、選曲にグッときつつも、演奏と歌そのものは、まあこのくらいはやれるでしょうといったふうに、椅子に深く座ったまま僕は観てたんだが。
最後の最後、23曲目で、遂にグワッと胸をつかまれた。
この日最後に歌われた「100万$ナイト」。
このパフォーマンスが突出していた。
演奏もだが、何より甲斐さんのヴォーカルの魂の込め方・集中力・テンションが、ほかの曲とはまったく異なるものだった。
いや、これは本当に圧倒的であり、ヴォーカリストとしての凄味を改めて感じてしまったな。
これだけでも、観に行った価値は十分にあったというもの。
いや、あれは凄かったぁ…。
あと、ラスト・ツアーであることをまったく感じさせない進行の仕方も、甲斐さんらしいなと思いました。
そういえば、僕、高校生のとき、文化祭で上映するために友達集めて自主映画を撮りまして。
脚本・監督・主演・編集、内本順一 っていうね。
その映画のタイトルは、『これっぽっちナイト』っていうもので。
そうです、白状しちゃうと、それ、甲斐バンドの『100万$ナイト』に激しくインスパイアされて、タイトルもちょっといただきつつ作ったものだったんです。ヌハハ。


