書けてなかった7~8月のライヴ記がしばらく続いてましたが、こっからまた通常更新に戻ります。
もう10月だもんね。はえーなぁ。




9月26日(金)


渋谷・NHKホールで、BONNIE PINK。


LIVE 2008“Pump It Up!”と題されたツアーの最終日。
Pump It UP! とくれば、思い浮かぶのはコステロですな。


鐘を鳴らして(通常盤)/BONNIE PINK

ツアー・タイトル曲「Pump It Up!」は、ここに収録。



今回は新作を引っ提げてのツアーではないので、新旧取り混ぜてのセットリスト。
珍しいところでは、1st『Blue Jam』収録の「背中」が歌われたり。
3rd『evil and flowers』から「Your Butterfly」「Quiet Life」「Forget Me Not」(←これはまあよく歌われていたほうだけど)と3曲も歌われたり。
そうした旧曲をいいアクセントとして最近の曲に混ぜながら……つまり新旧のファンを惹きつけながら展開していった今回のステージ。


evil and flowers/Bonnie Pink

キャリアが長く持ち曲数が多い分、やる側は選ぶ大変さと楽しさの両方があるだろうが(たぶん、楽しさが絶対的に勝っているだろうけど)、長くつきあっているファンとしては「次はなんの曲を歌ってくれるんだろう?」といったワクワク感もあり、こういってはなんだが、ぶっちゃけ、新作披露ツアーよりもライヴそのものを楽しめるというところはある。
恐らくそれはやる側にとっても…だろう。

その上、ツアー最終日ってこともあって、ボニー自身がリラックスしながら楽しんで歌っているように見えた。
10周年記念まわりのツアーのときもそうだったが、そういうときのボニーのライヴは、いい。


そんなわけで新旧取り混ぜてのライヴとあって、全23曲。2時間半くらいやったのかな。


「Tonight,the Night」始まりというのも意外だったが、最後の最後に(「Do You Crash?」がくると読んでいた人が多かったと思うが)「LOVE IS BUBBLE」を持ってきたのも意外で、それ、きっと純粋にみんなで楽しめるライヴにしようというような気持ちの表れだったんだろう。
いい盛り上がりの終わり方でしたね。


個人的に特にグッときたのが、今までライヴで歌ったことがなかったと言っていた「Under The Sun」。
渡辺善太郎のひとりユニット=atamiの2nd『doppler』の曲だが、これが非常に味わい深かった。
後ろにイメージ映像など流れているともっと効果的だったのに…なんて思ったりも。


Under The Sun/atami

軽快な「1,2,3」、ライヴでは初めて聴いた新曲「鐘を鳴らして」、それにやっぱりこの曲は大名曲だよなと思わされたドラマチックな「Last Kiss」(←僕が好きなボニー曲のベスト3に入る)あたりもよかったです。
Last Kiss/BONNIE PINK

それと、アンコールで初披露された新曲「CHAIN」。
これは、11月26日にリリースとなるクリスマス・ミニ・アルバムの表題曲で、ボニー曰くデビュー曲「オレンジ」以来のクリスマス・ソング。
これがね、まさにクリスマス・ソングらしいストリングス・アレンジの非常にロマンティックな(&ちょい切ない)バラードで。
ものすごーーーーーーくいい!!
こういう曲にボニーのソングライターとしての才を本当に強く感じてしまうのだな。
ここで初めて聴いて、一発で好きになりました。
(下の写真は、もちろんジャケではないけど…)

CHAIN/BONNIE PINK


因みにこの曲のアレンジとプロデュースは富田恵一(さすが!)。
また、このクリスマス・ミニ・アルバムにはポール・マッカートニーの「Wonderful Christmas Time」や、定番クリスマス曲「Let It Snow」(←アレンジとプロデュースは鈴木正人)といったカヴァーが入り、ラストの「The Christmas Song」では渡辺香津美がギター参加していたりも。

といったことからも窺えると思うが、クリスマスものなのでアレンジはスタンダードよりというか、要するにロック~ポップというよりジャジーなものなんですね、特に「Let it Snow」と「The Christmas Song」は。


で、そうしたジャジーなアレンジとボニーのスウィートな声の相性が素晴らしくよくて。
実は僕は前々から思っていたんだが、例えば今の英米のジャジー・ノット・ジャズ系……つまり本格ジャズとは違うけどジャズっぽさやソウルっぽさがいい塩梅で混ざった音楽性の女性アーティスト、例えばコリーヌ・ベイリー・レイとかノラ・ジョーンズとかメロディ・ガルドーとかまあ挙げたらキリがないんであれだけど、そういう種類のアプローチでアルバム1枚作ってみたりするのもいいんじゃないかっていう。年齢的なところもふまえてね。
そっち系のアレンジで、ボニーのあの特有のスウィート・ボイスはもっと映えると僕は思ってるんですよ。


ということを、このクリスマス・ミニ・アルバムはまさに実証しているものでもあるので、これはね、大人のリスナーにも聴いてもらいたいな、と。
40代男性洋楽ファンとかにもね。


それで、そうしたことを考えた上で、また改めてボニーのライヴというものを鑑みるに。
今の彼女のバンド。
あのメンバーはあのメンバーで固まって成熟してきてるし、その上でのグルーヴもあるし、ボニーも気心の知れたやりやすさが絶対あるだろうし、それはいいことだと思うのですが。
ハッキリ書いてしまうと、僕は決してあのバンドのあの音が今のボニーの音楽表現にもっとも向いている…とは思ってないんですよ。


いや、「Heaven's Kitchen」とか、今回ストーンズみたいなイントロだった「Forget Me Not」とか、そうしたロック曲はこのバンドの、特にアイゴンを柱としたギター・サウンドみたいなのがはまってると思うんだけど。
もうちょっとこう感情の機微を伝えるようなスロー曲とかのときなどには、僕はこれとはまた違うバンドのサウンドで聴いてみたいとどうしても思ってしまう。
なんとなくドタドタした感じのバンド・サウンドが、細やかな感情表現を必要とする曲に果たして合ってるのかどうかという疑問が、正直、ライヴを観るたびにわいてきてしまうんですね。


特にしっとりめのスロー曲とか、例えばベテランのいいピアニストと、ジャズ~フュージョン畑のギタリストとベーシストとドラマーと、そういうアダルトな編成でやってくれたら、どんなによくなることかと。

ヴォーカリストとしてのあの個性と魅力をより前に出すために、より広げるために、このあたりでそろそろ今のバンドとは別の編成にトライしてみるべきなのではないかと。
今のバンドは今のバンドでホーム・バンドとしてキープするならするとしても、とりあえず一時的でもいいから冒険して別のバンド編成でやってみてほしいと、僕にはそんな思いがかなり強くあるんです。
どうかしら…。



さておき、ライヴの中でも言っていたけど、クリスマス・ミニ・アルバムに続いて、現在は来年発売のオリジナル・フル・アルバムも制作中のボニー。
終演後、彼女とちょっと話したのだが、まだ誰とは書けないんだけど、洋楽ファンなら「おおっ、そうきたかぁ!」というプロデューサー(僕のかなりのお気に入りの人)を迎えてこれからレコーディングするそうな。
この人なら、とりあえずボニーとの指向~相性は絶対バッチリなはず。
めちゃめちゃ楽しみですわ。