もう1ヵ月半以上経ってるのに今頃書いてる間抜けなサマソニ記事。
前の記事でサクッと自己復習したけど、特に今回強く印象に残ったふたつのアクトについて、もうちょい書かせていただきますです。


まずサントゴールド (初日のダンスステージ)。


08年の新人女性といえば、アデルやダフィーやメロディ・ガルドーやプリシラ・アーンなど、じっくり聴けるジャジー・ノット・ジャズ系にいいのが集中してる感があるのだが、その中で唯一尖鋭的でアブなさもあってゾクゾクする感じになるのがサントゴールドで、彼女の盤は間違いなく今年のベストのひとつに数えられるもの。
なので、今回のサマソニで僕が一番楽しみにしていたアクトだった。


これまでのDJセットと異なり、どうやらバンド形態によるライヴは、このサマソニが初だったよう。
なので、途中、出だしが合わなくてやり直す場面などもあった。
そんなだからキモとなるグルーヴがそこに生まれることもなく、出音も小さめで、リハ不足さえ感じられるものではあった。
つまり、「バンドとしては」まだまだ全然。
だからか、ハッキリ言って集客もイマイチだったし(その前のイェールのほうが遥かに人が多かった)、終わってからも賛否両論あったようだ。


が、それでも僕は「賛」のほう。
彼女=サンティ・ホワイトの異才はビンビン伝わってきたし、しっかり声量もあって、ヴォーカリストとしても非常に力のある人なんだということがわかっただけでも収穫だった。
そして、そうやってヴォーカリストというところでも勝負できる人であるのに、彼女はそうせず、いろいろ演出的なところも計算~構築して絵的な面白さを含めたトータルなアプローチを志向しているようで、その志もよし。
特にブオッと踊ったかと思えばピタッと動かなくなるオモローな動きの女性ダンサーふたりの活かし方とか、うまかったよな。


曲もデジタルなビートものからダンスホールからメロディックなロックものからと多面的なんだが、それら全部をガブッと飲みこんで吐き出したその色と匂いは不思議と一貫性もあったりして。

やはり稀な才能ですよ、この人は。
このバンドでライヴで慣らしたあとにもう一回来たら、今度こそ大勢の人がぶっとぶはず。
すっかり気持ちがあがって、サントゴールドTシャツあったら買うぞと物販見に行ったら、売ってませんでした。

ふにゃ。


SANTOGOLD/サントゴールド


http://www.myspace.com/santogold





もひとつ書いておきたいのが、今回の僕的ベスト・アクト、パオロ・ヌティーニくんのこと (初日のビーチ・ステージ)。


デビュー作を出した頃の来日ショーケースは、ちょうどビヨンセの東京ドーム公演と重なっていて、僕は泣く泣く諦めビヨンセのほうを観に行ったので、パオロくんのライヴを観たのは今回初だったんだが。
彼、何をしたのか足を怪我したようで、なんと松葉杖で登場。
しかし、かばって座って歌うなんてことはせず。
片足でジャンプしたり、後半ではメンバーの肩につかまって松葉杖振り回しちゃったりと、終始ニコニコ・ノリノリの開かれモード。


で、もっと驚いたのが…。
この日歌われたうちの約8割が新曲だったのだ!!
(1stアルバムからは確か2曲か3曲のみ。それもだいぶアレンジ変えていたし)


しかもその新曲群が1stアルバムの世界観とはまったく異なるもので。
なんだろうな、陽気で男くさくて荒くれてもいて、僕が思ったのはけっこうポーグスの世界観に近い感じっていうか。
あるいは、ホーンの入り方とか、ちょっとEストリート・バンドっぽくなくもないっていう。
そんな感じで、つまりとにかく圧倒的に外に開かれたものなんですね。
歌ってるパオロくん自身、めっちゃ楽しそうだったし。
ああ、そうかそうか、今の彼はこういうモードなんだなぁ、と。


思えば1st『ジーズ・ストリーツ』は内省的なアルバムでしたよ。
で、彼にインタビューしたときに訊いたら、そこに入ってる曲はロンドンにひとりで出てきたばかりの頃に友達もいなくて孤独に押し潰されそうになって、それで曲を作っていたと。
そういう曲をまとめたのが1stだったと。
でも、あれだね、それからデビューしてツアーとかしていく中で認められて、分かり合える仲間もできて、楽しくなってって。
それで今回披露したような外向きの新曲がたくさんできていったってことなんだろうね。


いやもうホント、1stの内省的な彼はどこ行ったんだってくらい新曲群は劇的にモード・チェンジしてて、それがどれも最高で。
どうなんだろ、そろそろ2ndのリリース予定が見えてきてるのかどうか、僕は知らないけど、この感じで完成したら、それはもう傑作になること間違いなしですよ。
こうね、シーンに一石を投じるアルバムになりますよ、絶対に!


改めてそのソウルフルな歌唱(ってか、甘いマスクと対照的に、酒焼けしたおっさんみたいな声なんだが)にも唸らされたし、夕暮れのビーチっていうシチュエーションもよかったし、そんなわけで今年の僕のサマソニのベスト・アクトは、なんといってもパオロくん。

因みにデビュー作を聴いたことなくて知らなかったというウチのヨメも、今回のサマソニでパオロくんが一番よかったと言っておりました。


ああ、パオロくんの2ndアルバム、いつ出るのかわからないけど、今から楽しみでしょうがない~!



ジーズ・ストリーツ(初回限定盤)/パオロ・ヌティーニ


http://www.myspace.com/paolonutini