6月14日(土)
渋谷・C.C.Lemonホールで、キリンジ。
10th Anniversary Tourと銘打たれたうちの一日。
ではあるが、集大成的な選曲のライヴは去年やったし、新作の『7-seven-』を出したばかりということもあって、今回は完全にこの新作を中心にした構成。
「振り返る」のではなく、現在進行形のキリンジを見せながら、しかしその上でしっかり「これまで」と「今」との繋がりを見せるというあり方のライヴだった。
記憶に間違いがなければ、『7』に収録された12曲はすべて演奏されたはず。
これまでの曲としては、「悪玉」「エイリアンズ」「イカロスの末裔」など『3』からの曲が3~4曲あって比較的多めだったか。
因みに前作『DODECAGON』からは1曲のみ。
と、こう書いただけでも、なんとなく現在の彼らのモードというのが伝わりますよね?
それと、『7』というアルバムがどういう位置づけのもとにあるのかも。
初期の「雨を見くびるな」から新作曲の「朝焼けは雨のきざし」に繋げる感じとか、恐らくは「SHOOTIN'STAR」を核にして構成されていったのであろう後半のディスコなノリの連続技(ミラーボールがいい効果あげてましたね)とか、このあたりの繋げ方・まとめ方が実に絶妙。技あり。
このへん、きっと、これとこれをこう繋げると…「よし!、これだ!」みたいな、そんな感じで練って考えていったんじゃないかな。
「あれ」があったから「今のこれ」があるんだということもそこから伝わってきて、そのあたりで巧みに、そして実に彼ららしいやり方で、10th Anniversaryの意味を伝えてきたと言えると思う。
バンドのグルーヴもびしっと感じられたし、演奏者全員のとても開かれた意識が伝わってきたのも、なんか、すごくよかった。
とりわけ、主役の堀込兄弟。
こんなに楽しそうに演奏するんだぁ、って思ったな。
なんだか本当にのびのびと、嬉しそう&楽しそうにライヴやってるなと思いました。
10年やってきて、この境地に至ったんでしょうな。
あと、MCがまたいいんだね。
とにかく質の高い音楽、質の高い演奏をしっかり聴かせることを主目的としているのは当たり前のことで、その部分でまずしっかりと根っこを張りながら、しかし、ちゃんといいタイミングでMCを入れてくる。
弟・泰行さんの真面目な曲紹介を挿むだけのときもあるが、ここぞというところでは兄・高樹さんが絡んで笑いもとる(この日のふたりのやりとりは、僕の年代的にも相当面白かったです)。
資質としてはMCが得意で好きで喋るタイプではないだろうけど、それを挿むことでよりライヴに広がりが出て、お客さんが楽しい気持ちで音楽に向き合えるようになるということもわかっている。
だったらそれを厭わない。
そのへんが、大人だなと感じました。
それともうひとつ感じたのは、そういう彼らに対して、お客さんもすごく温かいんですよね。
「キャー」とか騒いだりヘンに大盛り上がりしたりすることはなく、なんというか音楽に対する節度をわきまえてる年代のお客さんたちなのだけど、本当に彼らの1曲1曲が好きでたまらないという気持ちがみんなに強くあって、それがホールに渦巻いているというか。
初期の曲とかやったときに、「おおおっ」と男性ファンの低い唸り声が聞こえたりするのも印象的でした。
2時間半、タップリ聴かせてくれたライヴ。
ライヴ…というか、いい“コンサート”を観たなという充実した気持ちを僕は持った。
恐らく、この日会場にいた全員も。
- 7-seven-(DVD付)/キリンジ
- これを聴きこんでいた人は大満足だっただろうし、聴いてなかった人も、早く聴きたい、買わなきゃって気持ちになったことと思います。