6月4日(水)


ラフォーレミュージアム原宿で、ヤエル・ナイム、アシャ(2ndステージ)。


フランスで人気の女性シンガー・ソングライター二組によるライヴ。
7時からの回は完売だったそうな。
僕は追加公演となった2ndステージ(9時半から)のほうを観る。


やはり女性客が多いが、男性客も少ないわけではない。
年齢層はやや高め(30代、40代ぐらいが多め)だが、20代の人も少ないわけではない。
まあ、ほどよいバランスってことで。


まずは、アシャ。
パリ生まれ・ナイジェリア育ちのフォーキー・ソウル・シンガー。
インパクトのあるジャケット写真のこのアルバムが、日本でも評判になった。


ASA[asha:アシャ]/アシャ


「アシャーーーっ!!!」と叫んでるような、ちょっとコミカルなジャケだが、決して叫んで歌うタイプではない。
アコギを弾いて穏やかに(でも意志の強さを滲ませながら)歌う彼女は、トレイシー・チャップマンあたりを思い出させなくもないフォーキーな音楽で包む。
ナイジェリア的な音楽の色もほのかに漂わせてはいるが、落としこみ方はわりと洒落た感触。


男性ギタリストと女性コーラスが、アコギを弾いて歌うアシャを柔らかにサポート。ジャネットという名のコーラスの女性は、アシャのマネージャーでもあるそうな。


グイッと引き込まれる感覚はなかったが、耳触りのいい彼女の歌は「良質」で、ほどよく懐かしさの成分もある。
MCでは観客とコミュニケーションとろうと努力もしてましたね。
ガツンとくるほどではないが、好印象でした。



続いて、とっても楽しみにしていたヤエル・ナイム。
ご存知、Mac Book AirのCMで使われて世界的なヒットとなった「ニュー・ソウル」を歌っていた女性ですね。
パリ生まれ・イスラエル育ちの彼女のアルバム、僕はゾッコン、惚れ込んでいた。
聴くほどにズブズブとはまっていって、ジワジワと毒がまわっていく感じ。
これほど深く何度でも楽しめるシンガー・ソングライターもののアルバムは、そうそうないなってくらい。


ヤエル・ナイム/ヤエル・ナイム


で、このCDから感じられた稀な個性がライヴでどう表出されるのかが見どころだったのだが。
結論から書くと。
いやー、素晴らしかったし、驚きましたね、本当に。
そのユニークすぎる個性はCDよりもライヴで、もっと伝わってきた。
なんて魅力的な女性なんでしょうか!!


まずステージ正面に座ってギターを弾いて歌う彼女、そのフワッとしたスカートからのぞくおみ足が少女的で可愛くもありセクシーでもあり。
長い髪もお似合いだし、柔らかな笑顔は、ああ、この女性とティーでも飲んでゆっくりお話したいと思わせる雰囲気があったりもして。やられたなー、僕。


ドラムとベースとキーボードがサポートし、ヤエルさんはギターを弾いて歌うほか、途中、グランドピアノに移って弾き語ったりも。
因みにドラムの人はDAVID DONATIENといい、入る前にいただいたセット・リストには「YAEL NAIM AND DAVID DONATIEN」と並列表記されていたので、音の面で重要人物であることは確か。


ヤエルの歌声は七色で、ケイト・ブッシュっぽく少女性を帯びたものにもなるし、柔らかなハミングっぽくもなるし、青空みたいに透きとおりもするし、深海を漂っているような心地にもなる。
夢想する感覚と楽観性と毒と曖昧さが、曲ごとにいろんな割合で混ざり合う感じというか。
(ブリトニーの「トキシック」のカヴァーなんかはかなりの毒の割合、ですよね)

女性の生理的な部分も声と音楽に含みつつ、でも冒険心もタップリあって、なんか、驚いちゃうようないたずらを仕掛けて騙してウフフフっと笑いだすような、そういうところもある人なんじゃないかな。
意外性と含みがまだまだいっぱいあるようで、アーティストになるべく生まれてきた人とも言えそうですね。


10曲目で「ニュー・ソウル」を歌い、♪ラララ~ラ~ラララララ~ラ~ララ と、会場は和みの合唱に。
そのあとはアシャが再登場して1曲共演。
アンコール含めて12曲、まだまだ観ていたい聴いていたいと思わせるライヴだったので、再来日を望みますです。