5月9日(金)
青山・ブルーノート東京で、カーキ・キング(2ndステージ)。
カーキ・キングといえば、なんといっても前作『アンティル・ウィー・フェルト・レッド』。
それまでの作品から著しく変化・進化を遂げたこのアルバムが僕は大好きだったし、ちょっとした衝撃を受けもした。
超絶技巧のギタリストとしては知られていたが、そこだけに収まらない音楽の創造性がいきなり開花し、味のあるヴォーカル含めて絵画的とも言える音世界を現出させていた。
今年出た最新作『ドリーミング・オブ・リヴェンジ』も素晴らしいと思う。
この人はどこまで行くのだろうという、さらなる進化を感じさせもする。
が、どっちが好きかと言われれば、やはり茫洋とした景色が立ち現れる前作のほうを選ぶかな。
- ドリーミング・オブ・リヴェンジ/カーキ・キング
ともあれ、最近の2作をかなり愛聴していたので、今回の久々の(3年ぶりの)来日公演はものすごくワクワクしながら観に行った。
とてもさりげなく、普通に自分の住む部屋ぐらいの感覚でひょこっとステージに出てきてそのままギターを弾き出す彼女。
カッコも飾りがないし、髪もぐしゃっとしてるし、エンターテイナー的なカッコつけ部分が実に皆無で、アーティスティックなオーラが出てるということもない。
観客のほうがよっぽどオシャレで、青山よりは荻窪あたり、ブルーノートよりはロフトとかまあそのあたりのほうが合いそうな、そんな感じ。
今回はフリューゲルホーン奏者の男性(=Dan Brantigan)がサポートでいて、大半はふたりで音を出していたのだが、「1,2,3」でジャーンと始めるような場面はなく、チューニングしてるのかな、なんか音を合わせだしたな…と思っていると、いつのまにか曲が始まっているみたいな、大体がそんなニュアンスで始められていって、まあなんにしても余計なところに力を使わないというか、飾りっけがないというか。
所謂サービス精神みたいなものはほとんどない人というか、そういうことには関心がいかないのだろう。
でもそういうのがどうでもいいことのように思えるくらいに、曲が始まればその演奏力に圧倒され、そして音楽の中にグググっと引き込まれる。
タッピングや変則チューニングなどなど、いろんな奏法を駆使して(それがいかにも“駆使してる”ように見えない、そのさりげなくも自然な感じがまたすごい)、いろんな音を鳴らす。
ええ~っ、こんな音も出ちゃうんだぁ~、みたいな驚きもあるが、でも曲芸としてそれがあるのではなく、あくまでも曲の景色を表現するための必然としてそれは成り立っている。
どこか“和”的な美しさに通じる音表現もあり、京都あたりで曲書いたりレコーディングしたりしてみたらいい作品ができそう…なんてチラと思ったりも。
僕は彼女のヴォーカルも好きなのだが、この回はヴォーカル曲少なめで、とにかくじっくり演奏を聴かせるといったあり方。
圧巻だったのは最後だ。
圧倒されててどういうことだったのかよく覚えてないんだが、気がつけば打ち込みのビートがそこに鳴ってて、おもいっきりエレクトロニカ。
表情ひとつ変えず、浮遊感ありのオルタナティヴ表現でその場を包んでしまった。
実にこう、新しい表現ということに意識的な人…というか、とりわけ近年は彼女の中でもそういうモードなんだなと思いましたね。
またフジロックとかにも出てほしいもんです。
下はカーキ・キングさんのマイスペースです。
ここで聴いてみてくださいな。
http://www.myspace.com/kakiking
