4月30日(水)
日本武道館で、チック・コリア&上原ひろみ。
この日はマウイ島帰りの翌日で、頭もカラダも休日モードのままだったのだが、このライヴでだいぶシャキッとなったのでした。
ブルーノート公演が先にライヴ盤にもなって好評を得ていたチック&上原の、なんと堂々武道館公演。
ステージにあるのは2台のグランドピアノのみ。
向きあって合わさるようにそれは置かれていて、始めはステージ向かって左がチック、右が上原(途中で交代する場面も)。
あの広い会場に、ただ2代のピアノだけという、その簡素さがなんだか粋ではないか。
スクリーンはあったが、それはふたりを映すだけで、演出的な何かを映したりもしない。
照明に凝ることもしない。
つまり、武道館だからといって何がしかの演出があるわけではなく、ただただ音楽のみがそこにある。
その潔さは、ひとつの美意識とも言える。
上原ひろみはいつものようにとても自由に、幸せそうに、とてつもない集中力で弾く。
チック・コリアはそれを余裕で受け止めつつ、時に大人の態度ながら挑みもする。
互いの敬意もそこにあり、その全てがただ“音楽”そのものになって鳴っている。
「武道館だから、どう」という気負いはないようだが、両者が音楽に魂を込めるその熱量というかなんというか……は武道館というハコの大きさに見合っていた。
それと、いい観客が集まったなとも感じた。
ヘンに騒ぐこともなく、集中すべきところはただただ集中して聴き入り、そして演奏のテンションがとりわけ高まったアンコールなどでは、立ち上がって大きな拍手を送っていた。
チックは何度かMCを入れたが、上原さんは結局最後まで何も話さなかった。
言葉はいらない。その思いは、演奏と表情とが示していた。
願わくば、次はやはりSonicbloomで武道館公演をやってほしい!!!
- デュエット/チック・コリア&上原ひろみ
- 昨年9月のブルーノート東京公演のライヴ盤。
↓こちらは、バンドの新作『ビヨンド・スタンダード』についての取材記。
http://ameblo.jp/junjunpa/entry-10080329552.html