1ヶ月ちょい前のライヴ日記が続いてますが……。



4月21日(月)


水道橋・JCBホールで、RIZE。


NHKホールでジェイムス・ブラントを最後まで観たあと、大急ぎで水道橋のJCBホールに移動。
数組出演のライヴ・イベントで、RIZEはそのトリ。


僕にとっては2日連チャンのJCBホール。
しかも、前日はチャーや金子マリのバンド=スモーキー・メディスンで、この日はその子供たちがやってるバンド=RIZE。
二世代に亘ってお世話になってますです、はい。


JESSEが顎の手術をし、しばらくライヴ活動を控えていたRIZEだったが、この日のステージで完全ライヴ復帰。
「休んでる間に髪が伸びたら天パーだってばれちゃったぜ」とかなんとかJESSEも言ってた通り、確かにずいぶん髪がのびてて、しかもクルクルしてる。だいぶイメージ変わるもんだな。


新作『KO』からの曲も含め、短い時間であってもいつものように100%の力を出しきるメンバーたち。

それでいて、イベントという性格上、リラックスして楽しむ余裕を感じさせるところもあり。


個人的になんだか妙に目に焼き付いている場面があり、それは(なんの曲だったかは忘れたが)ギターのナカとJESSEが頭と頭を合わせてグッと押し合い、笑いあっていたところだ。
ステージ上ではもっともクールで、ヒンヤリしてるけど、でもとても熱くもあるギターを弾くナカの、あのときの笑顔……。なんか、バンドっていいもんだねぇ、なんて思えたりもして。




さて。
このライヴを観た、その数週間後。
RIZEのマネージャー氏から電話をもらい、僕はその報せを聞いて驚くことになる。


先週(5月20日)、RIZEのウェブサイトで正式に発表された、その事実。
ナカこと中尾宣弘の、突然の脱退。


実は、僕は今回のRIZEのT.K.O.ツアーで販売されるツアー・メモリアル・パンフレット(ポスターとパンフが一体になった“ポスパン”形式)に、RIZEのライヴの魅力についての文を寄せている。
思えば日本のバンドのツアー・パンフに文章を寄せたのは初めてのことで、それが大好きなバンド=RIZEからの依頼だったことが僕としてはすごく嬉しかったりもしたのだが、その文を最初に入稿したのはナカ脱退に至る前。
それから数日経ってそういうことになったので、急遽その文の一部を書き換える作業をしたのだった。
えっと、とりあえずこのパンフ(まさにメモリアル・パンフ)、写真もふんだんに使われ、いい仕上がりになってるはずなので、ツアーに行かれた方は買って読んでみてください。



ウェブサイトの言葉からもわかる通り、今、3人はおもいっきりポジティヴな気持ちでツアーのリハに取り組んでいるところなので、こっちもヘンに感傷的になりたくはない。
が、それでもここでほんの少しだけ書いておくと。
僕はナカくんの弾くギターが大好きだったし、RIZEというバンドの個性の、それはとても大きな面を担っていた。

最初に入れた原稿に、僕はこう書いた。


「中尾宣弘は文学的とも言えるギターを弾く。
空間に鋭く切り込みを入れるそのギターはナイフのよう。
KenKenやJESSEが持つ西海岸的なノリに対し、中尾のギターにはUKロック的なクールさがあり、どこかヒンヤリした感触がある。
と同時に、静かにメラメラと内側から燃える炎のようでもある。
“RIZE音”のそのときどきの感情を左右するのは間違いなく彼のギターだ」


また、続けてこうも書いた。


「大人の態度で物事を判断でき、柔和さもある彼のスタンスは、バンド内の空気の巡りをよくしてもいる」


そう、メンバーの中で唯一父親であったりもするナカくんは、やんちゃなバンドの中にあってとてもニュートラルで大人な考え方ができる男だ。
インタビューの中でちょっと熱くなって緊張が走る場面にも、彼の柔和さがその場をとてもいい雰囲気にしてくれる、そういうこともあった。
僕は人間的にナカくんがとても好きだった。
前に金子くんとナカくんのふたりにインタビューをしたとき、金子くんが「オレたち全員、ナカのファンなんすよ」と言っていたこともよく覚えている。


そんなナカくんの脱退は、だからもちろん大人の男としての決断である。
ウェブサイト上の3人の言葉の通り、「音楽を創造していく上でのすれ違い」なのだろう。


“3人RIZE”の今回のツアー、そしてナカくんのこれからの“音楽の創造”に、僕はものすごく期待している。




K.O(初回限定盤)(DVD付)/RIZE

どんだけ怪物的なバンドなんだ…と思い知らされる、懐の深い最新作。




↓RIZEのオフィシャル・ウェブサイト

http://www.triberize.net/index2_ver8.html




↓こちらは前に書いたRIZEについての記事。

http://ameblo.jp/junjunpa/entry-10067661891.html