6月7日(木)
丸の内・コットンクラブで、ベイ・シュー(1stショー)。
ベイ・シューは、中国重慶出身、ニューヨークで活動する“美人”歌手。
去年の春に日本デビューし、僕はその際にインタビューもしたが、根っからのコスモポリタンで、のびのび生きよう、自分は自分らしくあろうといった姿勢に好感をもったものだった。
台湾のポップスをジャズ・アレンジにして中国語のまま歌ったものなど、そのデビュー作はなかなかいい雰囲気の味わえるもので気に入ってもいたのだ。
が、今年1月に早くも2ndアルバムが出て、かと思えば今月にはもう3rdアルバム。
ちょっと、リリースのペース、早すぎないか。
もう少し丁寧にやってったほうがよいのでは? という気がしないでもない。
さて、ライヴを観るのは、僕は初めて。
お客さんの中には中国系の人も多数いたようで、けっこうアイドル歌手におくるような声援がとんだりもしていた。
バンドは、ヴォーカルのベイ・シューに、ピアノ、ベース、ドラム。
ベースのノリ塩田氏は、彼女という才能を見つけ、プロデュースもしている人だ。
演奏者3人の行き方は、安定感のあるジャズ。
落ち着きがあり、危うさはない。
だが、主役のベイ・シューは、まだまだムード先行というか、厳しく書くなら歌に頼りなさが残る。
動きひとつとっても、どこか緊張しているところが感じられるのだ。
「ジャズに惹かれたのは、自由に感情表現することができる音楽だと思えたから。決められた通りに歌うのではなく、即興で表現の仕方を変えられるところが魅力的だったんです」。
インタビューしたとき、彼女はそう言っていたものだが、しかしまだまだ自由に感情表現を楽しんでいるといったふうには見えなく、正しくメロディを追っているという印象。
低い声は、やはりとても魅力的だと思った。
その低い声を活かせる曲は、だからなかなかいい。
が、その分、高音域が多くなる曲ほど凡庸。
ジェイムス・ブラントの「ユア・ビューティフル」などはこの人の声の特性に向いているとはまったく思えない。
作品ごとにポップス・アプローチへの傾きが増しているようだが、じっくり選曲して、より個性を際立たせながら、焦らずいいアルバムを作ってほしいものです。
ビートルズ「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」やロバータ・フラック「フィール・ライク・メイキン・ラヴ」、ドゥビッシーの「ムーンライト」に詞をつけたものなどを収めた3作目(ユニバーサル・ジャズ)
