「無我夢中人」だ。
「かなり気持ちいいぜぇっ。アオっ」だ。
気がつきゃ頭の中でオレンジレンジ「チャンピオーネ」が鳴り響いている、そんな日々も残りわずか。
3位決定戦含めて、残り4試合で終わっちゃう。
気分はフジロック3日目の夜。
この祝祭的な時間もあとちょっとで終わって、また日常が戻ってくるんだな~……みたいな。
W杯に“無我夢中人”で、ほかのことにまったく興味が行かなくなっている自分が、なんだか面白い。
呑みに行きたいとも思わない。人と会いたいとも思わない。映画もドラマもまったく見てないし、ニュースですらほとんど見てない。CDも、今やってる仕事に関するもの以外はたいして聴いてない。
毎日とりあえず23時頃までガツガツ原稿書いて、で、終えて、そっから朝までW杯見て……の繰り返しの日々。それもあと数日で終わるのだ。
壮大な人間ドラマが最終回に向かっていよいよとんでもない動きを見せている、そんなW杯準々決勝。
それにしても、ドイツvsアルゼンチンといい、イングランドvsポルトガルといい、PK戦までもつれ込むと、見ているこちら側もクタクタになるな。けど、あそこまで見続けてこそ、最後に決まった時の心の震えもひとしおってもんで。ハイライトだけ見てんじゃ、あの感動は絶対に味わえない。ってことがわかってるから、コーヒー、がぶがぶ飲みながら最後まで見るわけだ。
ドイツvsアルゼンチン。
あれだけ足を引きずり、あれだけ倒れても限界までやり尽くし、最後にはしっかりPKも決めたバラック。グッとくる。
クローゼ! ポドルスキ! そしてレーマンの集中。声かけるカーン。グッとくるグッとくる。
最後にPK外したカンビアッソの泣き顔。こっちも泣けてくる。
イタリアvsウクライナ。
堅守だけじゃなく、攻めの起点がハッキリしてたイタリア。リッピの采配。まさにクレッシェンド。グッとくる。
シェフチェンコの闘志。去り際の表情。男の哀愁。そっと近寄るインザーギ。そしてピルロ。グッとくる。
ポルトガルvsイングランド。
探りあいと、ここぞという時の、タイミングの勝負。
共に気迫が顔とプレイに出ていながら、レッドで一発退場になるルーニーと、PK戦の最後に決めたCロナルド。チーム・メイト同士の運命の分かれ道。複雑な思いになりつつグッとくる。
ブラジルvsフランス。
主役扱いされていたのにフタをあけたら最後まで見せ場のなかったロナウジーニョ。
逆にまたもやウットリさせてくれたジダン。アンリ。そして僕的には誰より、リベリ! その圧倒的な運動量とガッツ。ロベカルにも負けてないスピード。こいつがいたからの勝利だろう。
今大会でメンバー入りするまでフランス代表のユニホームを着たことがなかった23歳。学業怠慢でユースから追い出され、けんかしてトラブりまくってた若者の今の姿。グッとくるグッとくる。
ドラマがあるなぁ。
たくさんあるなぁ。
まだまだあるんだろなぁ。
とにもかくにもあと4試合……。
ちょんまげ結わったイタリアのカモラネージは侍のようだったな。ユニフォームは青。これこそサムライ・ブルー。
PK戦の前に一瞬映ったあのピンクのシャツの人。ミック・ジャガーだったよねぇ、あれ。斜め後ろ向きでハッキリ見えなかったけど、確かにそうだよねぇ、あれ。
この前も今回もヴィクトリア・ベッカムと一緒に観戦してたあの女性。あれって、ルーニーの恋人だって噂があるけど、そうなんですか? 知ってる人がいたら教えて。
ドイツvsアルゼンチンの時も、ポルトガルvsイングランドの時も、PK戦の前に「ケ・セラ・セラ」がかかってたでしょ? 選手が思いっきり集中力高めてる時に、「ケ・セラ・セラ~、なるようになれ~」って、そりゃねぇんじゃねえかって思ったんだけど、あれって昔からそうなんですか? だとしたら、どういう意味であの曲かけてるんですか? PKは運なんだから、なるようになるってことを伝えてるんですか? 知ってる人がいたら教えて。
もう一つ。
ブラジルが調子いい時は、見ていて、いつも音楽が聴こえてくる気がする。サンバのリズムが一人一人の体内にあって、調子いい時はそれがいいグルーヴになって伝わってくる。フランス戦は音楽が聴こえてこなかった。イメージが共有されてなかったからグルーヴにならなかった。
いいサッカーからは音楽が聴こえてくる。
このことについては、また今度書きます。