5月9日(火)・夜


渋谷AXで、アンジェラ・アキのライヴ。


デビュー後、初のワンマン・ピアノ・ライヴだが、いつもの通りTシャツにジーンズにスニーカーというラフなカッコで一人現れた彼女。

ステージの上にはピアノとアンジェラだけ。

歌とピアノ、その二つだけが、しかし装飾が一切ない分、ズドンと胸に響いてくる。

ピアノのタッチも歌も、力強く、伸びやか。

始まりの数曲はさすがに緊張してか、ややカタかったようにも感じられたが、次第に調子を取り戻し、その唯一無比の世界観を(アンコール含め全16曲!)表現しきっていた。


喋りはやや長いかなとも思ったが、それもこの日に対する思いの表れなのだろう。

伝えたいことを伝えておきたい。そういうところがそのままダイレクトに出る正直さが彼女のステキさでもある。

思いがけないカヴァー曲を含め、アップ、バラードと、曲調には変化があり、曲順も練られているので、弾き語りライヴとはいえ緩むところがない。

今まで何年間もライヴでならしてきただけのことはある。


「心の戦士」、そして「HOME」。

この2曲は、やはり始まった瞬間に、グッと気持ちを持っていかれるものがあった。

「HOME」のイントロを弾きだした時の、観客たちの「おおっ」といった感じの反応が忘れられない。

(僕の隣に座っていた50代くらいの紳士は、「HOME」を聴き終えた時、感動のあまりか「んんんん」と低く唸ってました)



この日のライヴのタイトルは、

アンジェラ・アキ Piano Live 「ONE」。

インディーでリリースされた弾き語りミニ・アルバムと同タイトルであり、MCで彼女も話していた通り、つまりこれを自分の原点にしたいという思いの表われである。


そこで僕は思う。

ONEは1なのであって、Oではない。

大学時代にサラ・マクラクランのライヴを観て音楽家として生きる決意をし、以来、アメリカではバーなどで弾き語り、日本でも活動をするようになり、そしてインディー盤を出して、去年デビューして、インストアやイベント出演などで徐々に自分の歌を広めていって……。

そうして、アンジェラはこの日を迎えたわけだ。

原点とは何も始まっていない日のことではなく、始まったそのことを自分の手応えとして感じた日。

(語義として矛盾してるかもしれないが)今までがあったからこそ、この原点となる“ONE”に彼女は辿り着けたのだ。

そういう思いがあったから、彼女はこの日、ちょっと泣きそうにもなったのだろう。

せっかく始めようと思ったことを、ONEと言えるところまでもっていけずに挫折する人だって、たくさんいる。

そのような意味で、ONEは尊い。


いい「ONE」をしっかり踏めて、よかったね、アンジェラ。






終演後、彼女に挨拶しようと残った関係者はすごい数だった。

これも彼女の人柄なんだろう。

僕も仲良しのライターS氏もAちゃんも、みんなアンジェラのことが好きなので、終わってからこっちはこっちで打ち上げみたいな気持ちになって……痛飲。4時近くに帰宅。





ミニアルバム『ONE』
(VIRGO MUSIC)