4月16日(日)


ZEPP東京で、クレイグ・デイヴィッド。


女性客ばかり。

それも、20代半ば~後半くらいの女性が多い。

また、普段ブラック聴いてますとかクラブで遊んでますといったB系のカッコの人は少なく、普通にお勤めしてる感じの女性客が多め。平井堅あたりの客層と、重なるところ、ありかも。

03年10月の来日公演は、もう少しブラック好きなノリの人たちが多かったものだが。

なるほど、最新作の『ザ・ストーリー・ゴーズ…』はこういう層に広がってヒットしたのだな。


そのことを裏付けるように、オープニング曲となった「オール・ザ・ウェイ」のイントロが流れた時の歓声の凄かったこと。

それに比べて、2曲目の「7days」は、ありゃ? 意外に反応が薄い。

これ、イギリス~ヨーロッパなら失心者が出てもおかしくないほどのキラー・チューンですよ。みんなで合唱しちゃう曲ですよ。


そんなふうにファン層が変化したことを承知してのことなのか、クレイグも新作からの曲ばかりを続けて歌う。

(確か)9曲までもが新作から。ということはどういうことかというと、ミディアム~バラードばかりが続くのだ。

僕はというと、新作はもちろん大好きなのだが、そこまでスローが続くと、もうそろそろ弾けてくれないかなという気にもなってくる。

何しろ日本でのブレイクのきっかけになった「ホワッツ・ユア・フレイヴァ」でさえ、クレイグがはけた時にバンド演奏だけで軽く流す程度だったのだから(どうせならちゃんと歌ってほしかったな、これ)。


コーラス2人を含んだバンドの演奏は、人数多いわりにキレイにまとまってるといった印象。

聴きやすいという言い方も出来るが、ちょっと物足りないような気もするっちゃする。

どことなくCDをなぞっているような感じもあって、もう少し粗くてもいいから、もっとガツンとくる音を鳴らしてほしいとも思っちゃった。なんかこう、音にガッツがないのだ。


クレイグの歌は、やっぱりうまいとも思ったし、温かみがあったし、聴いてて優しい気持ちにもなれた。

が、前々日にエモーションの塊のようなリーラ・ジェイムス(同じワーナーということで、UKではクレイグのオープニング・アクトを務めたりもしている)の濃厚な歌にやられてしまった直後なだけに、彼のバラード連続技が少々淡白に感じられてしまったのも事実。


とはいえ、終盤からアンコールにかけては、(ようやく)ノリのいいアップ・ナンバーで本来の持ち味を発揮。

アートフル・ドジャー時代の「Re-Rewind」や、デビュー・ヒット「フィル・ミー・イン」をパーカッションいらずの弾力性のある声で歌って会場に熱気をおくり、特に「フィル・ミー・イン」の、歌の途中にラップ(的な早口唱方)を柔軟に挿むあの見事なスキルには、多くの観客が驚きの声をあげていた。

そうそう、これですよ、これ。


僕はクレイグのことも彼の歌も本当に好きで、この日のライヴも「よくなかった」と言うつもりはない。

今はバラードをじっくり歌いたいモードなんだろうなぁ、というのも、まあわかる。

いじめられっコ時代の思いを反映させた「ジョニー」とか、やっぱりグッときたしね。

けど、せっかくのバンド・セットなんだから、もうちょっとノリのいい曲をバランスよく挿んで緩急つけて、楽しませてほしかったかなぁというのも、正直な思いとして残っちゃった。

去年9月のプロモ来日時に、クレイグはギタリストと2人だけのアコースティック・セットによるショーケースを恵比寿で行なったのだが(←アーカイブ 2005年9月24日参照)、むしろその時のほうが彼のバウンシーな声の色気がダイレクトに伝わってきてたように思うんだよな。

次はも少し、攻めの姿勢で。ね。


ところで、クレイグが一度はけた時、コーラス隊とバンドだけでNe-Yoの「ソー・シック」が演奏されたのだが、僕ったら最初、これも普通にクレイグの歌のつもりで聴いちゃってた。

途中で、あ、これ、Ne-Yoじゃんと気づいたのだ。

っていうところで思ったのだが、そういえばこの2人、どこか作風が似ている気がする。

クレイグも好きなんだろう、Ne-Yoの曲が。

クレイグ・デイヴィッドとNe-Yo。

僕が何度かインタビューした印象として、いろいろ共通点を感じてしまっているこの2人のことは、また今度ちゃんと書きますね。




 『ザ・ストーリー・ゴーズ…』

 (ワーナー)