3月16日(木)


渋谷クラブクアトロで、ケーク。


夜は大雨。

去年のフジロックといい、このバンド、日本ではつくづく天候に恵まれない。


けど、それがどーしたっ!ってなくらい、もう、最っ高のライヴだったな。

最高最高最高最高最高。

この2文字だけでここを埋め尽くしたいくらい。


苗場のグリーン・ステージで雨に打たれながら観た彼らもよかったけど。

やはり、クアトロくらいの空間でガッツリとその音を浴びるのは、至福だ。


まず、売り切れないうちにロゴ入りTシャツを買って(去年のフジでは、ケークTは売り切れちゃってたのだ)、会場入り。

わっ、ギュウ詰め。1月のクラップ・ユア・ハンズ・セイ・ヤーの大入り状態に勝るとも劣らない。

野郎が多いな。それもそんなに若くない(10代はほとんどいなかったと思う。まあ、この音のよさはある程度年齢重ねんと、わかりませんて)。かといって親父ばっかでもない。30代の男がもっとも多かったか。

で、この観客たちが、ある意味、この日のライヴを作っていたとも言えるのだ。

とにかく始まる前から、みんな、熱い。

この日を待ちに待っていたのだという思いの強さが、熱気となって、ぶおっと伝わってくる。

もちろん僕もそのひとり。ホントーにこの日を待ってたんだから。


メンバーがステージに現れただけで、「うお~~」とか「いえ~~」とか「あい・らぶ・け~~く」とか、野郎の太い声が飛びまくる。

で、1曲終わるごとに大きな拍手と大歓声。

好きな曲のイントロが聴こえると、「きたーっ!!」と言って、はしゃぐ男も多数(僕も)。

ヴォーカルのジョン・マックレアが指揮すれば、みんなとっても素直にそれに応えてコーラス部分を合唱。

もちろんフジに続いて今回もやりましたよ、「ノウ・フォーン、ノウ・フォーン」と、男女に分かれての合唱も。


それにしても、滋味に富んだ音。

不必要な音をどんどん除去した末に生まれた、いわば引き算による音の幅。

その、ルーズで、乾いてて、だけども揺るぎのない音の総体。かくも人間くさいグルーヴ。

親父がぼやいてるみたいなヴォーカルも、泣いてるみたいなトランペットも、中年の生きてく様が反映されていて、なんかもうグッときっぱなし。

そりゃ、男が「いいねっ!」と思えるわけだ。


こういうの聴いちゃうと、ほんともう、ギターとかグワングワン鳴らしてシャウトしてるような張り切ったバンドのロックなんか、どーでもよくなっちゃう。

疲れとか泣きとかやるせなさがわからんで、何がロックだ、なんてね。

ジョン・マックレアってのは、そのへんをよ~くわかってるというか体現してるというか。

だから100%信頼出来るわけなんですな。


1時間ちょっとで一度引っ込むが、それでお客さんが納得するわきゃない。

みんなが一体となってのケーク・コールに応えてアンコール。

それが終わって、引っ込んで、客電がついても、まだまだもっと聴きたい我ら観客。

誰も帰らず、さらに大きな声で「ケーク! ケーク!」。

このお客さんの熱に応えて、なんと再度登場。そしてさらに2曲。

ジョンさんもこの観客の熱には感動したようで、何度も感謝の意を言葉にしていた。


最高の演奏。

最高のオーディエンス。


やっぱり、いいライヴってのは、お客さんが作るものでもあるんだよな……なんて改めて感じて会場を出るとき、みんなの顔を見ると、誰もが幸せそうだった。


出たとこで、酒好きの先輩同業者Aさんと友達Yちゃんに「さあ、呑むぞ」とさらわれそうになるも、この日に入れないと激ヤバな原稿が残ってたので、ゴメンチャイして帰宅。いや、こんないいライヴを観た日は僕とて呑みたかったんすけどね。でもほら、こういう日は1杯のつもりが10杯くらいになりそうだからさ。