リンジー・ローハンの2ndアルバム『リトル・モア・パーソナル』が、明後日・11月30日に日本で発売される。
USは12月6日発売だそうなので、約1週間の先行発売ということになる(すごいぞ、ユニバーサル!)。
デビュー作や彼女関連のサントラ盤に引き続いて、今作もライナーノーツを書かせていただいた。
書かせていただいたのだが、しかし。
その時点(10月13日・脱稿)で手元に届いていた音は、ここからのリード曲になる「ブロークン・ハート」1曲のみ。
「ブロークン・ハート」以外の曲名も、関与しているプロデューサーやミュージシャンのクレジットも一切届かず、アルバム全体がどのようなものになっているのか、まったくわからない状態で書くしかなかった。アルバム・タイトルが正式に決まって知らされたのも、書き上げる前日だったくらいだ。
なので、そのライナーでは、リンジーが音楽に向かう動機に関してと、「ブロークン・ハート」について少し触れたのみ。
アルバム全体については書くことが出来ず、僕はもどかしい思いでいたのだった。
だから勢いで、そのライナーの最後にこう書いた。
このように予測を立てることしか出来ず、確固たる情報が何も伝えられないのが何とももどかしいのだが、こればかりは最近のCD制作工程上の都合なのでどうにもならない。どうにもならないけど、こんな中途半端な形で終えるのも、僕自身、なんか気持ちが悪い。なので、この解説の続きは僕の個人ブログのほうにアップすることを今、決めた。
ということで、今から書くのが、その解説の続きになる。
続きというか、“ブログなりの書き方で”ポイントをまとめたもの。
新作を聴く際の手引きになれば幸いです。
デビュー作『スピーク』からわずか11ヶ月という早さで登場となる2ndアルバム。
タイトルは『リトル・モア・パーソナル』で、原題は『A LITTLE MORE PERSONAL(RAW)』。
カッコしてRAWと入るのがポイント。
ジャケット写真のリンジーは裸で、背中に“生”という漢字が鮮やかに。
要するに、「生身の私を見て!」っていう主張を、表題とこの写真でわかりやすく伝えているのだ。
いや、このアートワークが送られてきた時には、「おおっ」と唸りましたね、僕は。
インパクトで、もう、勝ち。
メッセージを伝えるためなら、潔く脱いじゃう肝の座り方も大したもの。
ポップ・イコンとして、どう見せれば刺激的であるかをわかっているのだ。
『ハービー』観てファンになった子供たちの気持ちの持っていきようはどうするのか、と気にならないでもないが。
役は役。私は私。っていうところで、リンジー、本気入っているのだな。
その表題と写真が示すメッセージに嘘はなく。
中身もなるほど、裸になって、生身の自分を曝け出したもの。
曲順的にも幕開けにショッキングな「ブロークン・ハート」を持ってくるあたり、このアルバムで彼女が何を伝えたいのか、なぜこのアルバムを(女優仕事で十分、多忙であるにも関わらず)今このタイミングで作らなくてはならなかったのかが、いやおうなしにわからされる。
「娘から父へ/本当のことを言って。私を愛してると思ったことはあるの?」
そのように、いっぱいいっぱいの思いで歌うリンジー。
こう歌っているからには、ここであえて伏せなくてもいいものと判断して書くが、彼女の父親は別居中の妻に対して恐喝・暴力をはたらき、今も飲酒運転で服役中の身。
アメリカのゴシップ誌は、そのことについてあれこれしつこく書いてきたわけだが、この曲でリンジーは自らそんな父親への思いをつつみ隠さず歌ってみせたわけだ。
因みに、この「ブロークン・ハート」のPVは、なんとリンジー自ら監督しているらしい。
そして、そのメイキング・ビデオの中で、彼女はこんなふうに話しているのだった。
「この曲は……私の人生の一部で……誰かが誰かのもとを去っていく時に誰かの助けを呼びたい、誰かに気づいて欲しいっていう心の叫びなのね。誰かのことを大切に思ったことがある人だったら、わかると思うわ、この気持ちは。この気持ちを外に出せるようになるまでにはすごく時間がかかったけど、その分、父への気持ちや家族への感謝の気持ちを表せるようになった。父に向かって語りかけるには、この方法しかないのよ、私には。だって父とはもう何年も連絡を取っていないんだもの」
続く。
(ハワイ日記もまだ途中なのに、このブログ、「続く」ばかりで申し訳ないっ!!)