寝るのが…………
怖い…………んだ…………
夜、
俺は暗闇に潜むあいつを睨む。
いつ俺を連れて行くつもりだ?
俺の側で黙って立っているこいつは………
死神……………か?
俺が目を離したら
その鎌を振り落とすつもりか?
俺が…………寝たら………
明日が来ない気がして…………
怖い……………
『…………眠れ……ない?』
フッと聞こえてきた翔くんの声に
奴は狼狽えて後退りした。
『…翔くんも…起きて……たの?』
と、翔くんの方に目を向ける
そうすると、奴は静かに消えていった。
ホッとしていると
翔くんのベットの上の影が動いた。
『なんだかいろんな事を思い出してたら
眠れなくて
智の寝息も聞こえないし
もしかしてって思って声かけた。』
そう言って、起き上がってきた。
『ねえ、たまに………
そっちにいっていい?』
と、翔くん。
俺は一瞬躊躇って
それでも
『うん。
いいよ。』
と、答えた。
俺が再発してから
一緒のベットで眠るなんて久しぶりだね。
腕枕してくれて
俺は翔くんの心臓の鼓動を聞いていた。
規則正しく脈を打つ
それはなんだか俺を眠りへと誘って
睡眠剤なんかよりもよく効くみたい。
そっと俺の頭に翔くんがキスしてくれた。
俺が顔を上げると
唇にもキスをしてくれた
久しぶりのキス。
温かい……………
出来るなら
今、この幸せな瞬間死なせてくれないかな………
なんて思ってしまった。
そんなとき
『今、一緒に死ねたらいいのに………』
と、翔くんが呟いた。
俺の気持ちが伝わったのかと驚いて
『ダメだよ。
翔くんは、まだ神様から呼ばれてないんだから
生きなきゃダメ。』
と、身を起こした。
翔くんを見下ろすと
翔くんの目は俺を見ていない。
俺は翔くんの顔を両手で挟んで
『翔くん。
生きている人はね。
一生懸命に生きなきゃダメ。
生きれるんだもん。
いろんな事が出来るんだよ。
生きなきゃダメだよ。
俺だって………
俺だって…………
本当は死にたくない。
ずっと翔くんと一緒にいたい。
生きていたい。
生きたい。
…………でも………………』
そう言ってたら
俺の涙が翔くんの頬に落ちた。
泣くつもりなんてなかったのに………
翔くんが指が俺の頬に触れ
涙をすくいとって
『……智…………』
と、呼び掛ける。
俺は、翔くんの言葉を遮って
『だから……………
だから、生きてる間は………
一生懸命…………生きるつもりなんだから………
翔くんは、俺の分も元気で長生きしてよ。』
と、告げた。
すると、
『智がいないのに
智がいないのに生きていても………
意味がない。
俺の哀しみは…………
計り知れない………』
と、翔くんの目からも涙が溢れ枕が濡れる。
そんな翔くんの涙を今度は俺が手のひらで拭き取ると
にっこり笑って
『翔くんは………
お父さんなんだよ。
子どもたちを育てる責任があるんだからね。』
と言って、また翔くんの腕の中に戻った。
『お前…………
それ…………ばっかり………』
と、言いながら
翔くんは、俺をぎゅうと抱き締めてくれた。
俺は、翔くんの腕の中で
ゆっくりと眠りについた。