5年ぶりに帰ってきた日本。



久しぶりの日本。





もしかして………





運命の糸によって


再会したりして…………



なんて心配もしてた。




でも、

再会したのは、

さほど面識もない

話した事もない同窓生の多部さんだった。





多分、彼女から声を掛けられていなければ

気が付かずに去っていただろう。

彼女だってそうだ。

俺となんて接点もなかったんだから

知らんぷりもできたはず

なのに俺に声を掛けて引き留めた。



そして、話された言葉。


『櫻井くんが…………

心配してたのに………』







黙って、

彼らの前から姿を消した俺を

探してたと教えてくれた多部さん。





彼らの名前を聞いて




俺の胸が…………痛い……………






掌に力が入って膝の上で震えている。




『み、みんな…………

…………元気?』


やっと、絞り出した声は渇れていて

動揺を悟られないように

静かにコーヒーを一口啜った。



『元気だよ。

相葉くんは地元で頑張ってるけど

櫻井くんも二宮くんも上京していて

二人ともこっちで働いてる。』

『そ、そうなんだ。

詳しいね。』

『同郷だからね。

たまに連絡とりあてるし………』

と、彼らの名刺を俺に見せてくれた。



『大野くんは?

今、何してるの?』


俺は、直ぐにその名刺を返して

『うん。

ちゃんと働いてるよ。

心配しないで……』

って、笑ってみせた。



でも、彼女の目は笑ってなくて


『さっき、先生って…………

なんの先生?

大野くんが元気で

今、何をしてるのか

どこにいるのか

櫻井くんに教えてあげたいから

教えて。』


彼女の真剣な眼差しで食い下がる。



俺は

『ごめん。

出来ればここで会ったことは

内緒にして………』

「内緒にしてほしい。」って言う前に

彼女が言葉を遮って

『なんで?!

なんで?

なんでそんなこと言うの?

本当に心配してるのに…………』

と、彼女の瞳が揺れている。

『あ、

ごめん。』

と、俺は俯いて謝った。

そして、

『ありがとう。

俺たちのこと気にかけてくれて………

でも、もうちょっと待ってほしいんだ。

俺が自分から会いに行くから……』

と、顔を上げて彼女を見ると


『それじゃあ遅いよ。』

と、泣いていた。

『え?』


「なんで泣くの?

俺、泣かすようなこと言ったかな…………」

と、思い返し戸惑っていると

『…………私……………

結婚…………するんだ。』

と、言い出した。

幸せな報告のはずなのに

何故か辛そうな顔を見せて俺を見る。

『あっ………そ…そうなんだ。

おめでとう。

よかったね。』

と、微笑んだ俺に

『相手………

誰だと思う?』

彼女が尋ねるから

『さ、さあ…………

俺の知ってる人?』

と、答えた。

彼女は「うん。」頷いて

大きく深呼吸したと思ったら

『大野くんの大好きだった

さ、櫻井くんだよ。』

と、彼女は言う。

『え?

さ、櫻井………って………

もしかして………………翔くん……………』

「うん。」と、また頷いた。


翔くんが……………

多部さんと………………


結婚……………………


『そ、そっか。

そうか………おめでとう。

よ、よかったよ。

そうか。

おめでとう。』


俺は「そうか。」「そうか。」って

自分の心に納得させるように

頷いては

本当はショックで心がグチャグチャなことを

知らせないように

懸命に笑顔を作って

「よかった。」と、安堵したふりをする。