『3年後に、またここで会おう。』



って、翔くんが言った。


『絶対に会いに来いよ。

忘れるなよ。』

って、手紙にも何度も書いてあった。




銀杏の木の下に立って、俺は空を見上げる。

葉の隙間から見える空。

この景色をしっかりと目に焼き付けておこう。


翔くんと一緒に見た景色を………

覚えていよう。






中学生の翔くんは中学生の俺と

楽しそうにしゃべっている。



ここでよく翔くんを待っていた。


潤くんが、俺に

「櫻井と喋るな。」って言ったから

俺たちは内緒でここに来ては遊んでた。

そして、

初めてのキスも………ここだった。



ああ……………


色んな思い出が甦る。






バカ……………だなあ………



来なきゃよかった……………



なんで、来たんだろう…………



心の奥底に沈めて蓋をしてた思いが




じわじわと甦ってくる。




やっぱり…………




やっぱり…………俺は……………





翔くんが………………




翔くんが…………………好きだ。





こんな薄汚れた俺が…………………



恨めしい……………










先輩を急かして神社を後にした。


もしかしたら翔くんが来るかもしれない。


翔くんじゃなくとも

誰かに見られたら……………

そう思うと早くここを去りたかった。













『お前の家ってどこだったの?』

車に戻ると先輩が言い出して

『行ってみようぜ。』

と、車は走りだす。




家の近くに車を止めて

車の中から自分の家を眺めてた。

懐かしい…………

今にも母ちゃんが玄関から出てきて

「智、おかえり」

って、迎えてくれるんじゃないかって

錯覚しそう。




でも、

自分の部屋だった窓には

青い空と雲のカーテンが掛けてあり

庭に目を向けると

母ちゃんが大事に育てていた花水木が

綺麗な花を咲かせている。

その隣の物干し台には

「ここはもうお前の家じゃない。」

と言わんばかりに

小さい女の子のワンピースが風に揺れていた。


変わっていない部分と

変わってしまった部分

一つ一つ探し宛

自分の家じゃないと確かめる。











『もう………………行こう…………。』




段々、辛くなってきて

先輩に車を動かしてくれって頼んだ。


エンジンが掛かって俺は前を見る。




『…………ニ……ニノ……………』


前方に、自転車を漕いでこっちにやってくる

ニノの姿が見えた。



思わず顔を伏せて

車の脇を通りすぎるのを息を潜めて待っていた俺。






ニノ…………

変わらない…ね……

でも、ちょっと背が伸びた?

でも、顔はかわらないなあ…………

懐かしいな…………



車の中からずっとニノを目で追っていた。







『ねえ、君。』

突然、ニノが通りすぎた途端

先輩が声をかけた。