くちがう時はいつも彼が折れてくれた。
「どうせ最終的には許してしまうから、もういいよ、許すよ」
彼はいつでも、
笑顔で、
両手広げて、
あたしを、
待っていてくれた。
ところが、
先日、
あたしは彼との約束を破ってしまい、
魔法はとけた。
鳴らせど、鳴らせど、つながらない電話も、
送っても返信がないメールも、
一方通行のまま、
彼からの連絡が入るまで待つことしかできなかった。
どれだけけんかしても、
連絡がないなんてことは今までなかったから、
これだけ連絡がないということは、
永遠のお別れなんじゃないかってこと、
少し意識してきた夜。
別れを意識したら、
その夜は、
すごく暗くて、
眠れなくて、
夜って、こんなに長かったっけ?って思った。
朝がくれば、
辺りは明るくなり、
通勤すれば、
世間は動き出し、
人も動き出し、
出社すれば、
忙しくなり、
考える暇もなくなり、
普段疎ましく思う、
規則正しい生活を、
すごくありがたいとさえ、思った。
早く、
夜が明けることを願って、
ひたすら夜を耐えて、
それ以上に、
会えなくなる不安は、
押し寄せて、
電話がつながらないと、
すごく遠い存在なのだと思い知った。
来る日も来る日も
携帯を、
肌身離さず、
チェックしてるけど、
メールも着信も、
期待はため息に変わり、
メールを開くときは、
いつも、
ドキドキするよ、
これを開けたら、
最後の言葉が書いているかもしれないと思ったら、
怖くて、
メールは、
なかなかあけれないまま、
「新着メール」ありの表示が、
ずっと点滅してて、
あたしをあせらせる。
まだだよ、
まだ見る勇気はないんだ、
家に帰って、
ゆっくり見るから、
もうすこし待ってね、
心でつぶやいて、
携帯を閉じていた。
だけど、
そのメールも、
彼のものではなくって、
どこでも、いつも一緒だったときは過ぎ去って、
今じゃ遠くはなれた場所で、
二人をつなぐのは電波だけ、
だけど、それも、繋がらなくて、
ゲームはすでに終演ムードなのに電源オフれない。
言い争いができる距離を今じゃ愛しく思うよ、
今年ももうすぐ終わるよ、
ため息が白に変わるよ、
寒いよ、
悲しいよ、
涙が、
アツイ。
それから、
5日後くらいに、
やっと、
彼からの連絡がきて、
あたしは、その着信さえも、怖かった。
だって、
この電話が最後かもしれない、
そうだとしたら、
出たくない、
だけど、
やっと、
やっと、
連絡がきた。
もしもし?
電話にでると、
いつものやさしい声が聞こえた。
すごく安心した。
やさしい声に。
すごくうれしかった。
また、会えることに。
その夜は、
会えなかった時間を、
満たされなかった思いを、
埋めるように、
お互いがお互いに、
よじ登って求めるくらいの勢いで、
依存していた。
まだ、求められている、ということに、あたしは、幸せだと思った。
ありがとう。