5月1日、私と小学生の息子は実家でまったりしようと帰省した。

うちでは行けない回転寿し、モスバーガー、食べるのを楽しみにしていた。

・・・次の朝、私が母に起こされるまでは。

朝、8時過ぎ「○○、○○のおばちゃんが危ないんじゃと!お父さんと行ってくるけぇ!」と母。

おばちゃんとは、私の母の年の離れた姉のことだ。3週間前に脊椎狭窄で腰痛で歩けなくなり、
入院したばかりだった。

病名から言って、危なくなるって?と不思議には思った。

両親が出て行って一時間後位におばちゃんの息子さんから電話が、かかってきて、「あ、うちのお母さんねぇ、さっき亡くなったけぇ、おじちゃんらに、焦って来んでいいって連絡してくれる?」
「わかりました」事務的に答えて母に電話した。

私の姉は1週間前に、叔母の見舞いに行っていたので、泣いていた。

私は、その時、涙が出てこなかった。叔母にあったのは、10年位前だったっけ。

母に連絡がつき「あ~、間に合わんかったか~」
と、残念がっていた。とても会いたかったに違いない。

両親は、その日に行われる通夜の為に礼服を取りに家に再び帰ってきた。今から、せわしいのは亡くなった家族の方々だけど、両親も、できる限りのことはしたそうな感じだった。その前のひと休み。

私は迷った。おばちゃんの身体は明日までしか、この世にない。私の好きなアーティストの方も言っていたが、身体は魂の入れ物だ。だけど生きていた時、それが、おばちゃんを表すものだったもの。
それに会いたい。

姉がこの間買ったという礼服を着て、今から私も行く!と言ったら、母と姉、口をそろえて「サイズが入らんじゃろ!」といい、その時ばかりは自分の太さを呪った。

結局、その日に私と息子は自宅に帰り、自分の礼服で次の日の葬式に行くことにした。自宅の方が葬儀場に近かったのも幸いだった。

次の日、県北に向かう旦那の車に乗せてもらって葬儀場に向かった。

親族控室に入ると従兄弟夫妻と私の両親がいた。両親は昨夜、順番で線香の火の番をしていた割には元気そうだった。

祭壇の前に置かれていた叔母の棺の前に行き、少しドキドキしながら棺の中の叔母の顔を覗き込んだ。
確かに亡くなっているから青白く、しかし、肌つやは、生きてる時と変わらないような、そんな感じがした。
「おばちゃん」と呼びかけた。
父が、叔母の額を触ったので、私も額を触った。
私は初めて亡くなった人の身体を触ったかもしれない。

冷たいとまでいかないけど、人の肌の温かみはなかった。こういうものか。。少しショックだった。

親族が次々にやってきた。透析続けてるおばちゃんの旦那さん(私の父の兄)とも10年ぶり位で元から背が低かったけど、さらに小さく感じた。

そうだ、おじちゃんの弟が私の父で、亡くなったおばちゃんの妹が私の母だから、まあ、兄弟のグループ連れ添いになったから、普通の親戚よりも親密で特別。

だから従兄弟と私も従兄弟以上兄弟未満の血の濃さになる。

小さい頃、ひと夏、私と姉はおばちゃんの家に預けられた。裏の川で従兄弟と遊んだり、田んぼで、かえる釣りしたり、昼寝の後には、おばちゃんが夏の果物、スイカやブドウを食卓に出してくれ、みんなで食べた。

私は自分の家では、ユーモアがあり、優秀で人気者の姉とよく父に比べられた。でも、おじちゃんは、なぜか私を可愛がってくれた。だから今も忘れない。子供だからこそ、その時は父よりおじちゃんがその時は好きだったかもしれない。

おばちゃんは、ほんとに、よく動く人で、優しくて、穏やかで、物静かで、私の母に性格が似ていた。

私の娘が生まれた時、お祝いに来てくれ、娘を抱っこして「こんな、かわいいのは、ずっと見とりたいのぉ」と微笑んでいた顔も思い出す。

葬儀が始まった。母の横に座り、葬儀は初めてではないので、大体の段取りは分かる。おばちゃんの遺影は、おばちゃんが好きだったコスモスが背景だった。

花瓶にさしてしまえばか弱いコスモス。でも地に生えれば毎年力強く生きている。

喪主のおじちゃんに代わって、息子のせいじくんがあいさつした。原稿を持ってでの挨拶だったが、「母は優しくて、そんな母が大好きでした」の言葉のところで、むせかえっていた。そうだ、確かにおばちゃんをひとことで言うと「優しい」だ。今、これを書きながらも思い出すと涙ぐんでしまう。

おばちゃんが、人の悪口を言うのを聞いたことがない。そんな人もこの世の中にいるのだ。

そして、そんなとこが私の母に似ている。マザコンの私が言うのだから確かではないけど。
遺影のおばちゃんの顔が母と似過ぎていて、一瞬、母の時の事を考えてしまった。頬骨が張っていて、色が白くて。
すぐに、無い無い無い!と頭からその事を消した。

 最後におばちゃんの身体のそばに花を添えていった。おばちゃんの頬に手を当てて「おばちゃん、ゆっくりしてね」と言った。

出棺、車に棺か乗せられ、お決まりでクラクションの長押し。
おばちゃんの身体、ばいばい。私は焼き場までは行けないよ。ごめんね。

葬儀場を後にして、おばちゃんは今どんな場所にいるのかな?絶対、天国に行ってるに決まってる。

おばちゃんの、優しさは、今でも誰かを泣かせてるね。それだけ、溢れ出てたんだよ。