潤には家族がいる。
そうわかってるのに、ゆっくりと彼の背中に手をまわす。
どうしてこんなにあなたのことが好きなのに一緒にいられないんだろう。それが今とても辛い。
「...芽衣?」
「なに?潤。」
「携帯、すごい鳴ってるよ。」
気付いてる。潤と抱き合う私の携帯を鳴らし続けているのが、大野だってこと。
だって今日ずっとついてきてたもんね。
今だって、私たちのことをどこかで見てるはず。ちゃんと私が今日のうちに家に帰ってくるようにって。
「もしかして…彼氏から?」
「違うよ。だって...」
だって私が好きなのは
「ん?」
潤なんだもん...
「潤、私やっぱり潤のこと...」
「芽衣、携帯見たほうがいいよ?すげぇ鳴ってるし...」
「え、あ、うん...」
「そういえば早く帰らないといけないんだっけ?」
「...そのことだけどさ、やっぱ...」
「ごめんな?俺が さよならなんて嫌だ とか言っちゃったから...」
「いや、それは全然...!」
「今日 一緒にいたかったけど...やばいよね。」
「......。」
そうだよ。やばいんだよ。
だって潤には「家族」がいる。
私なんかといたらだめなんだよ。
でも、一緒にいたい。
この大野からの電話がなかったら...
一緒にいられたのかな...?
~~~
「おい芽衣、あれは駄目だぞ!なに駅前で抱き合っちゃってんだよ!」
「......。」
「だいたいなぁ、子持ちの元彼なんかと会うなんて...しかも夜に!食事だけとか言って後でなにされるかわかんねぇんだぞ!」
「......。」
「あっちには家庭があって、芽衣には取り返せるような相手じゃねぇんだから!」
私には...取り返せない相手...?
なによそれ。そんなの自分がよく知ってる、わかってるよ。
「なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないよ...」
「それは芽衣が...「私の気持ちなんて大野にはわかんないんだよ!!」
彼に家族ができてしまって、それでも彼が好きで好きで...。
こんな気持ち...あんたになんてわからない...!
そもそも今日私たちについてきたのだって、脈もない私を見て楽しんでたんじゃないの?
「大野がいなかったら、もしかしたら潤と一緒にいられたかもしれないのに...」
「ちょ、芽衣!よく考えてみろよ!!」
「もういい!出てって!ここは大野の家じゃない!!最初から私は大野を泊まらせたくなんかなかった!」
「......わかった。俺甘えてたわ。もう潤くんとでも誰でも会ってれば?半年間お世話になりました...!」
大野はポケットから私の家の鍵を取り出して、目も合わせずに家を出ていった。
そうだよ。
初めから大野が居候するのなんて反対だったし...。
これでいいんだ。
これでいいはずなのに...
心にぽっかりと穴があいたようなこの気持ちは、一体なんなんだろう。
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sue.