ミコとは同じ職場で働いている。入社した頃、任された仕事がなかなかうまくできなかったミコの面倒見てくれ と上司に言われて、よく一緒に仕事をしたものだ。
今思い出せば、あの時嫌ではなかったなぁ。
むしろ可愛いと思ってた後輩と一緒に仕事ができて正直言って嬉しかった。
...なんて残業中に思ってみる。
「あー、二宮さん、今彼女ちゃんのこと考えてました?」
いたずらっ子のような眼差しで、ニヤリと こっちを見てくる男。
後輩の相葉雅紀。彼も只今残業中。
「どんな想像してたんですか?」
「してないわ(笑)」
相葉はおっちょこちょいだけど、人なつこくて、バカみたいに素直な奴だ。
「なーんだ。ていうか聞いてくださいよ!僕、最近残業続きで寝不足なんですよぉ...」
「あー、俺も入りたての頃はそうだったよ。」
「ですよね!だからそういうことなんで、15分仮眠とっていいですか!?」
「え?今?ここで?」
するとどこに置いていたのか、携帯できる枕を取り出して、相葉... 仮眠タイム...。
「ちょ、おい。相葉?」
「Zzz...」
えー!?もう寝たの!?
寝不足にもほどがあんだろ!
...のび太もビックリだな、こりゃ。
ったく、しょうがない。15分後に起こすか。
「あれ...?ニノ?まだいたんだ。」
「...ミコ...!お前こそまだいたんだ。」
「ちょっと仕事が残っててね。...ん?マーくんもいる?」
「こいつ15分だけ仮眠とるって(笑)今寝たばっか(笑)」
「そーなんだ(笑)マーくん最近夜遅くまで頑張ってるもんね。...あ、私コーヒー淹れるよ。」
「ん、サンキュ。」
最初はコーヒーの淹れ方さえ分からなかったミコも、成長したなぁ。
...なんてパソコンに文字を打ち込みながら思ってみる。
「はい、ニノ。コーヒー...」
「そのへんコード多いから躓くなy「きゃっ!」
って!
言ったそばから躓いてるしー!
しかもそのせいで驚いたのか、耳と尻尾出ちゃってるしー!
「おまっ!バカ!誰かに見られたらどーすんだよッ...!」
「わーん;コーヒーちょっとこぼしちゃった...;」
「だからとにかく!耳と尻尾しまえってば!相葉が起きる前に!」
「ちょちょちょっと待って!焦っちゃってしまえない...!」
「落ち着け!今すぐ落ち着け!大丈夫だから落ち着け!」
残業中だったはずなのにどうしてこうなったんだろうか...。
暫くすると、耳と尻尾は消えた。
...床についたコーヒーの染みは消えないけど。
「ふぅ...。ミコもう少し周り見て気を付けろよ?今回は相葉が寝てたから良かったものの...」
そう言ってチラッと相葉の方を見ると
彼の目はパッチリ...開いていた。
「あ...ああ相葉...?」
「マーくん...もしかして今の...見て...た...?」
「.........みみと...しっぽ...」
見られた...。
『もしも化け猫だってことがバレたら、人間の前から姿を消さなくてはならない。』
前にミコのお母さんに言われた言葉が蘇る。
今、どうにかして相葉の記憶を吹っ飛ばせる方法はないか?
...そんなの無理だ。
「実は...その...これ付け耳で!」
「そっ、そうそう!職場でコスプレごっこしちゃったー☆みたいな!」
頼む!相葉!どうか騙されてくれ...!
「...............あひゃひゃっ(笑)」
ポカーンとしてた相葉が突然笑い出した。
驚きすぎておかしくなっちゃった...?
「二宮さん、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ~!
ミコちゃんも、化け猫なんですよね?」
「......え?ミコちゃん......も?」
「それってどういうこと...?」
も?
今確かに『ミコちゃん も』って言ったよな?
「あっ、すみません。実は僕も... 化け猫なんです☆」
...えっ?
「う、嘘だろ?」
「嘘じゃないですって!ほら!」
すると相葉は、慌てるように出した。
茶色の...猫耳と尻尾を...。
「マーくんも...、化け猫だったの...?」
「うん。実はね。」
「...うそーー!!!私嬉しい!マーくんも化け猫だったなんて感激だよ!」
「ほんと!?うわぁ~!僕も嬉しい!」
「ねっ!ニノ!マーくんも化け猫だったんだね!」
「あ、あれ?二宮さん?」
「ニノー?」
「......(´°д°`)」←完全にフリーズ
「だめだ。驚きすぎて動かなくなっちゃった...。まぁ、ニノは驚いても何も生えてこないけどねぇ~(笑)」
「あひゃひゃ!(笑) それなっ!」
いや、『それなっ』じゃねぇし!
ミコ以外の化け猫ってこんな近くにもいたんだ...。
ちょっとだけ感心してしまう二宮くんなのでした。