昨日、散歩ついでに寄った本屋で、大変エモい本を見つけました。私の好きなサンクチュアリ出版の「いとエモし。」日本の古典を超訳、すなわち現代人の風習や習慣に合わせて意訳を行った本。過去の文章を現代に訳して解説する本は多々ありますが、この本は訳の仕方がとても綺麗で、訳に沿った綺麗な絵が並んでおり、何度も読んでみたくなるような魅力に溢れています。
 

 ページの材質や、色の選択も素晴らしく、この本はデジタルで保有するのではなく、「紙の本」で本棚の片隅に置いておき、時々手に取ってパラパラめくったり、栞をつけた場所を何度も噛み締めて読みながら、エモい気持ちを何度も思うというのが、この本の有効な使い方かと思いました。

 

 私は、この本を手に取ってレジに並ぼうとしましたが、本屋にしては珍しく、レジに10人程度の行列ができていたので、本を買うの諦めてしまいました。ただ、おっさんがこの本を所有しているのは、少しキモいのかもしれませんので、何かの巡り合わせではなかったのかとも納得しました。この本は、私に読まれるのではなく、多感な中高生の学生さん、国語や古典があまり好きではない学生さんに、読んでもらうのが、良いのかもしれません。

 

 この本を読んで思い出したのは、歌人の俵万智さんが1987年に発表した歌集「サラダ記念日」。古典の歌をうたう感性を現代にタイムトリップさせて、みずみずしい文体で、当時存在していなかった「エモい」を体現したような歌を発表して、20世紀を生きる人々の度肝を抜かれました。ハードカバーの装丁に、質の良いページ。ページの上に適度な密度で乗っている活字のインク。俵万智さんの世界観は間違いなく、紙の本が持つ情報と合わせて、我々読者に伝わりました。本書は、ハードカバーは書店で手に入らないと思うのですが、是非ともハードカバーで読んでいただくのが良いと思います。

 

 

 

 1980年代後半の時代は、ハードカバーの装丁で本を売ることが流行っていたと記憶しており、村上春樹さんの「ノルウェイの森」は、その内容以前に、クリスマスのような緑と赤の2冊組が印象的で、その後の著作も西欧の有名な画家が書いたのではないかというような、綺麗な表紙が印象的で、21世紀になって発行されたジョージ・オーウェルの名作のような題名の著作でも、控えめでありながら、80年代の片鱗を漂わせていました。こちらも、再販されている文庫ではなく、ハードカバーを探していただくと、何かを感じ取れるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 本書を執筆したkotoさんは、普通の勤め人らしいのですが、仕事終わりにライターになっているようです。電車の中で、書店カバーにかかった本を読んでいそうな、本好きの方なのかもしれません。サンクチュアリ出版や、kotoさんの活躍を期待します。