じつは、以前からこの日を楽しみにしていたんです。
サピックス年間予定表をみると、この日読む作品は、
山川方夫「夏の葬列」
わたしにとっては忘れられない作品です。
(いろいろな意味で。理由はちょっとここでは書けません。)
おそらく、戦後日本文学において、最高峰の短編のひとつでしょう。
全編にみなぎる、緊張感と夏の暑さのバランスは、文学が描き出せる「空気感」を
最高のかたちで表現しているといってよいと思います。
私は文学を専攻していますから(ただし、日本文学専攻ではありません)、
この作品を読み解くのがいかに大変か、ということを痛感しています。
さて、わが子は、どのように、この珠玉の短篇小説を読んだのか、
大いなる関心をいだいて、今日を迎えました。
先に結論をいいますと、その「関心」は「感心」にはつながりませんでした

まず、昭和30年代に活躍した山川の言葉選択が
21世紀の子どもの理解を阻んでいるようでした。
「小父さん」
「小母さん」
「ことうさん、ってなんだか、よくわからなかった。」
「こかあさん?」
たしかにね。このあたりの用語は、昭和以前の小説を読み慣れていないと知らないでしょうね。
最近の入試問題は、その年に出版された最新作を使うケースが多いですからね。
私の入試のころは、あたらしい文学なんてまったく出ず、三島やら川端やら、
純文学作品が多かった。ずいぶんと、受験風景も様変わりしたものです。
「……この人、ビッコだった?」
彼は、群れながら列のあとにつづく子供たちの一人にたずねた。
あのとき、彼女は太腿をやられたのだ、と思いかえしながら。(原文ママ)
チーーーーン。「ビッコ」--使ってはいけない言葉になりました。
今の小学生が、その言葉の意味を知っているはずがありません。
艦載機の機銃掃射だって、知らないよね…
(いや、私も体験したことはありませんが
)表現の障壁からも理解がむつかしく、また原罪に近いような罪悪感という内容からも
小学生の理解を阻んでいるようでした。
「葬列の棺のなかのひとが、だれなのか、どうしてもわからないんだよね~。
ヒロ子じゃないってのは、わかるんだけど。だれなの?」
ふむ。たしかに事実確認の点で理解できなければ、それ以上を読み解くことは
できなくて当然です。
いったいぜんたい、この作品、どうして、児童文学にしわけされることがおおいんだろうか?
ただ、3年に一度程度、出会うんですよね。山川方夫が大好きだっていう、
女子学生(いつも、女子)。根強い人気のある作家です。
もちろん、私も山川の描く世界の静謐さと、みなぎる緊張感が大好きです。
妻に「山川いいよね~」と同意を求めたら、
「私、今度生まれてくるときは、理系の人と結婚する」
と、究極の不同意
を頂戴しました。長男は、やはり妻に似たようですwww
授業後に質問教室に行っていたこともあり、私が熱く語りすぎたせいか、
すっかりベッドへ行かせるのが遅くなってしまいました。
明日は、さすがに、いつもより30分遅れの、6時半ごろに
起こしたいと思います。夏の葬列 (集英社文庫)/集英社

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