新入社員だった頃、直接の上司にケンさんという人がいた。
まだ、イニシエーションを受けやすいウブな時期に、ケンさんから安居酒屋でこう言われた。
「お前は今、会社からお金をもらいながら勉強させてもらってる。
お前は将来、必ず会社を辞めるだろうから、ちゃんと会社に恩返ししてから辞めろ」
こんな時期にこんなことを言うケンさんもケンさんだが、
なぜか素直にエールとして受け止められた。
おそらくケンさんには、エールという気持ちはこれっぽちもなかったはずだが。
そして、そのエール?通りに私は会社を辞めたつもりである。
この言葉を人生の美学としてきたからだ。
47才のことである。
ケンさんは、私が直接関わった人の中で、最もヘンタイだ。
このヘンタイは性的なヘンタイではなく、個性的という意味である。
「個性的」に関しては、これまでBLOGに私なりの考えを書いてきたが、簡単に言えば、最もリスペクトする素養である。
長所は数知れず持っているが、それよりも短所が勝っている。
最高級のインテリなのだが、叡智がケンさんの口から出たとたん、下賤なものに変貌する(笑)
とても人間味溢れる短所の宝石箱。
それが私にとってのケンさんだ。
もう25年以上も音信不通だが、どこかで野垂れ死んでいても全く驚きはしない。
私にとって、一期一会たる存在だ。
P.S.1
私の結婚式のケンさんのスピーチで、私のことをヘンタイだと紹介してくれた。
さすがに後日、私の親戚が座する前でのこの紹介を反省してか、ごめんと謝ってくれた。
でも、私は心地よくその紹介を受け止めていた。
今でも、そうである。
ヘンタイにヘンタイと言われることほど、ありがたいことはない。
P.S.2
これを書いた後、SNSを通じてケンさんと連絡がとれた。
以外にも、野垂れ死んではいなかった。
憎まれっ子世に憚っていた(笑)
※写真は1992年4月25日、事件現場、私の結婚式でのスピーチ時のものです。

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