My name is Benny -27ページ目

My name is Benny

しがない暇潰し

日暮里に着いた。
駅前の喫茶店に入ると、まだ早い時間にも関わらず、結構バカみたいに人がいる
こんな時間から持て余してるんなら、家で寝てりゃ良いのに
注文したアイスコーヒーを片手に、奥の喫煙席へ進む。
肩身が狭くなったよな
先日北千住駅前でとぼけてタバコを吸っていたら、監視員のオッサンに見つかって罰金をとられた事を思い出した。
もう空気なんてどこ行っても汚れてるんだから、差し障りもねぇだろ
余計な事しやがって
灰皿を一緒に席に持っていくと、タバコに火をつけた。
まだ午前八時だった。
約束まで大分ある
探偵稼業なんて、やっぱりまともじゃないんだろうな
男は一睡も出来ずでここまで来ていた。
どうせろくな事情を聞けやしないだろう
いつだってそうだった
男は胸に溜めていた紫煙を思い切り吹き出した。

やれやれ
今日も始まっちまったな
いや、寝る前から始まってたか
スズキはインスタントコーヒーを入れた。
別にコーヒーが好きじゃなかった。
何となく起き抜けに飲んでたら、それが習慣になった。
煙草呑みなんてみんなそんな感じだった。
コーヒーが好きというより、いつの間にか煙草とセットになっている。
喫茶店やら、喫煙所の近くの自販機やらで、それが付け合わせとして成立していく。
こういうの嫌いなんだけどね
朝から下らねぇ事を考えちまった
スズキは少し野暮ったく思った。
テレビを点ける。
これは普段あまりやらないが、昨日の今日でニュースが気になった。
大事件だからな
スズキは思い返して笑った。
そりゃ笑っちまうぐらいのレベルだよ、ありゃ
チャンネルは据え置きで、どこの局でもこの時間はニュース番組だ。
病院からの中継映像が流れている。
病院もいい迷惑だろうな
残念ながらこれからこんなもんじゃ済まねぇけど
残念?
それはちょっと違うかな
スズキはまた笑う。
新しい情報もクソもねぇな
スズキはチャンネルを順繰りに回した。
なんだこりゃ
最後に辿ったチャンネルで、別のニュースが報じられていた。
板橋区の住宅地で住民が飼っている犬が謎の裂傷を負っているのが見つかった。
数件警察に連絡があったと、そんな内容だった。
ペットは生きてるのか
病院のニュースに較べりゃインパクトに欠けるけどな
またおかしな通り魔が出ちゃったか
スズキはその程度でそれを捉えた。
世もいよいよ末だな
そう思ってからコーヒーを飲んでタバコに火をつけた。
約束は十時だったな
厄介というより、正直めんどくさい
スズキはそう思っていた。
さっさとやっつけて、午後からは仕事にかかりてぇもんだ
スズキの仕事の基準は興味の度合いしかなかった。
食うに困っていない。
面白くないとやってられない。
それが今のスズキの何よりの仕事の基準だった。
というより仕事以外もそうあった。
ナカタの事もそれが作用した。
変わってるがまともそうな奴だとの直感があったから助けた。
自分の世界に引き込みたかった。
どっちにしろ先は長くないけど、どうせなら面白いものを見た方が良い
うまくすりゃ未曾有の自然災害より早く人為的な災害が先にたつ
昨日の事を経て、スズキはそれを更に強く思った。



※上記一切は創作につきフィクションです。