My name is Benny -20ページ目

My name is Benny

しがない暇潰し

午後からは薄着の連中が目立った。
今日は春先のような陽気だった。
なんて言ったらいいのか、とりあえず良い匂いがした。
嗅覚がフワッと、脳がツゥーンとする。
脳がツゥーンとするってのもどうかしてるけど、良いものが見られそうな期待からか、瞳孔が開くのを感じた。
何だかそんなので、良かった頃が思い出されそうだった。
その記憶を手繰るように歩いていた。
はて。
なかなか具体的に立ち上がってこねぇな。
さっき、一瞬それが脳裏に過ったつもりだったんだけどね。
結局見つからなかい。
こりゃまたいつもの幻か。
それからすぐに雨が降ってきた。
ちょうど水を差された格好になる。
あのさ、俺みたいなもんでも、たまには少し浮わつかせてくれても良いじゃねぇか。
群れからはぐれた蟻の一匹に、そういや昔水をかけたりしていたのを思い出した。
もしかしたらそんな奴が真上から俺を見下げてるのかも知れない。
するとこれは因果応報なのか。
とりあえず頭上の奴に、俺はお前だよって言ってやりたかった。

最近、結構な頻度で夢を見る。
質が悪いもんで、俺は起きてからもそれを結構覚えているし、本来は草臥れた情けない過去の場面がフワッとした仕上がりになって展開される。
あれ?
何だ、楽しいじゃねぇか。
そう思ったとこでバツッと目が醒める。
もうそりゃね、やっぱり夢だよな。
朝から無駄に浮き沈みさせられる。
心底ね。
煙草に火を点けて思うのよ。
哀しくなるだけだから、とりあえずもう何も見せないでくれねぇかな。
他には何も頼まねぇからって。
しつこいぐらいに廻ってきて、俺もい
い加減うんざりだ。
今となっちゃ誰とも知らねぇような奴がしゃしゃり出てきて、俺にこっちの水は甘いぞって面で笑いかけて来やがる。
いや、待てよ。
実際甘くねぇだろ。
どう見たってがんじ搦めじゃねぇか。
お前、これ以上自分を息苦しくしてどうすんだよ。

確かに。
急に展開した。
助かったよ。
俺、結構自由だよな。
俺って天才かも。

俺は自分を見るように雨上がりの空を見上げた。