普段は殆んどしないけど、仕事では人と電話で話す事が多い。
「お仕事は順調ですか?」
そんなもん、俺が言うのもおかしいんだけどな。
相手方は以前話した印象から凄い良い人で、優良な情報があれば出来る限り共有しながら、時たまこうして現状を伺っていた。
「はい、お陰様で。御連絡ありがとうございます」
お陰様も何も俺は何にもしてないのに。
普段すれてるてめぇとの対話がメインなもんだから、真っ当な人からの明るい返事に何だか嬉しくなる。
芯が真っ直ぐした人なんだってのが伝わってくる。
自分が真逆だからよく分かるよ。
俺にそんな言葉は勿体無いのに
。
順調なら何よりと思いながら、少しだけ寂しい気持ちになる。
「ほんと、いつも気にかけていただいてありがとうございます。何よりベニーさんが御元気そうで良かったです」
優しい拍子と少し訛りのある言葉が、またやけに耳に残った。
彼女の気遣いにフワッとなる。
何より良かったって、そんな事言われた事ねぇな。
胸に熱が通う。
あらら、なんだこの気持ちは。
会った事もない人の事を少し想っちまってねぇか。
ったく、俺もバカだねぇ。
「すみませんね、何にも出来ませんで。これからも頑張って下さい」
電話が終わった。
きっと会うことはないから、顔も分からないままだ。
思いを馳せるってのも面白い。
哀しい半面でね。
まぁ半分で済んでるのは、俺の心に少し余裕があるからだろうな。
何でも形にしないと気が済まない連中には、俺の情緒は多分理解出来ないと思う。
俺のこんなザマを見て、哀れだと呆れる連中はいくらでもいるだろう。
狙ってやってねぇから幸い不自然なドラマにならない。
俺はこんなのも掛け替えのない場面だと思ってるけどね。
こんな感じで、日替わりで誰かしらがどこかで主人公になってるんじゃねぇかな。
そんな気がするね。
ロマンチックだろ。
我ながらそう思ってる。