前回は岡山Perfumeナイトへ遊びに行って、DJとして演者を目指す決意をしたというお話。
今回はいかにしてDJデビューに至ったかを書いていこうと思う。
岡山から広島に戻った僕は、Perfume界隈で随一の有名DJ G君から、DJを始めるにはどんな機材を買ったらいいか教えてもらった。
「ノートパソコンとDJコントローラーがあれば始めることができますよ」
どっちも持っていないのである。
その頃の僕はというと、30代半ばにして勤めていた会社を退職。
「人生であれほど勉強したことはない」というほど猛勉強をして、大学を受験。
心機一転、人生の再起をかけて看護大学に入学したばかり。
4年制の大学だが3年間で卒業を目指す編入生コースだったため、日々勉強が大変すぎてバイトする時間はなく、とにかく金銭的に余裕がない時期であった。
コントローラーはそれなりのものを買ったが、ノートパソコンはとにかく高くて、どうしようかと悩んでいた。
そんな時、広島のオフ会で知り合ったVJ(ビデオジョッキー。DJの音楽に合わせてスクリーンに映像を写す)のTさんが「使ってないMacBookを安く売ってあげるよ」と申し出てくれたのだ。
破格の値段でノートパソコンを購入させてもらう。しかも憧れのMacBookだ
(背面の林檎マークが光るのがクラブで映えるので、DJが使うノートパソコンは基本Macbook一択。Windowsはダサいと言われていた)
<ちなみに現行のMacBookは林檎マークが光らない。涙>
無事、ノートパソコンとコントローラーを手に入れた僕は、曲のつなぎ方など何も分からないながらも、DJの本を買って独学でやり方を学んでいった。
(今ではYouTubeに初心者向けのDJ教則動画が上がっているが、当時はそのようなものはなく、また手取り足取り教えてくれる人などいなかった)
PerfumeのCDは全部持っていたが、それ以外の中田ヤスタカ楽曲(capsule、きゃりーぱみゅぱみゅ等)の音源が少なく、音楽的な引き出しの少なさが悩みだったが、ここでもまた救世主が現れる。
これまたオフ会で出会った「音楽の神」こと、M君である。
M君は中田ヤスタカ音源はもちろんのこと、クラブミュージック、ダンスミュージック全般に詳しく、洋楽邦楽問わずかっこいい音楽はなんでも聴くという、まさに音楽の神というべき知識の持ち主であった。
アイドルオタクというより、音楽オタクのM君と僕は非常にウマが合い、彼の家にしょっちゅう遊びに行くほど仲良くなっていった。
ジュースとお菓子をつまみに(二人とも酒弱い)音楽談議に花を咲かせ、
「気になる音源はなんでもあげますよ。この曲もかっこいいのでどうぞ」
という、海より心の広いM君の助けを得て、順調に音源も揃っていった。
思えば、VJのTさんと音楽の神M君のおかげでDJの下地ができたのだ。
二人には感謝してもしきれない。
そんなある日、岡山Perfumeナイトを主催したYさんからメールが届いた。
「Perfumeの聖地広島で、Perfumeナイトをやりませんか?
ジョンさんにはイベントの企画者として、ぜひ参加してほしいです!」
僕は即答した。
「もちろん参加します。ただしDJとして出演したいです🔥」
Yさんからの返答はこうだ。
「DJとして出演してもいいですが、未経験者がいきなりクラブデビューというのは難しいと思うので、ジョンさんにはテストを受けてもらいます」
<デスゲーム、、、ではない>
まさかのDJテストである。
その内容は
「30分のDJ MIXを作ってニコニコ動画にアップすること。そしてDJ経験者のG君とS君の二人がOKと判断したら出演できる」
という条件であった。
DJを始めたばかりの僕にとっては、かなりハードルが高い。
「了解しました。やらせてもらいます!」
そう答えた僕は、速攻で"音楽の神 M君"に相談した。
ジョン「ど、どないしよ~」
M君「僕に任せてください。絶対にいいDJ MIXを作らせます」
さすが音楽の神である。頼もしすぎる。
休みの日にはM君の家に機材を持ち込み、あーでもないこーでもないと言いながら、なんとか30分のDJ MIXを作り上げた。
Perfumeはもちろん、capsule、洋楽邦楽のハウスミュージック等、マニアックな曲も入れて、初心者ながらもつなぎには相当こだわったつもりだ。
音楽的素養のない僕にとって、自分の音楽作品を作る作業は本当に楽しかった。
M君が選曲やつなぎまで、多大なアドバイスをくれたのは言うまでもない。
音源は完成したが、ニコニコ動画にアップする作業がまた大変だった。
慣れない動画編集ソフトを使って、音に合わせて曲名や画像を差し込んでいく。
音が流れているだけでは退屈なので、曲のイメージに合わせて「ジョジョの奇妙な冒険」の印象的なシーンの画像をはめていった。
DJ MIXのタイトルは「ジョンの奇妙なMIX」にした。
<ジョジョ、昔から大好きです>
なんとかDJ MIX動画をアップすることができ、DJ経験者の二人に見てもらった。
ここでダメ出しをされれば、DJデビューのチャンスが潰えてしまう。
S君「いいんじゃないですか!初めてにしてはいいMIXだと思います」
G君「つなぎはまだ荒いですけど、あの曲を使うとはマニアックですね!」
とりあえず合格したのだ
広島Perfumeナイトとは
Perfumeの生まれた地元広島で、初のDJ&ダンスイベントが企画されようとしていた。
広島に住むPerfumeファンによる、Perfumeファンのためのイベントだ。
企画者として選ばれたのは広島在住の5名。
DJ経験者のS君が主催として任命され、有名DJのG君、VJのTさん、Perfumeファンの人脈豊富なKさん、そしてDJ志望(未経験)の僕であった。
DJ経験もなく、Perfumeファンの人脈も持っていない僕がなぜ選ばれたのか?
岡山のYさんが言うには
「コミュニケーション能力があって、Perfumeに対する想いが熱いから」とのこと。その点には自信があった。
また、学生時代はパーティーやスキーツアーを企画するインカレサークルで代表を務めていたこともあり、イベントを企画実行することは得意であった。
会場との交渉、フライヤー作り、フリコピダンサーへの出演交渉など、わからない事は、岡山Perfumeナイトの主催Yさんの知恵を借りながら、
「Perfumeの地元、広島でのイベントを絶対に大成功させるんだ」
という強い気持ちで必死に準備に取り組んでいた。
一方、クラブでのDJデビューに関しては全くの未経験、非常に不安なのだ。
人前に立つことは昔から得意だが、DJの腕はまだまだヘタクソであった。
そこで召喚されたのが、不安な兄にいつも付き合わされる弟だ。
弟は高校生のころからバンドを組んでギターを弾いており、ライブハウスでの出演経験も豊富。もちろんギターの腕はかなりのものである。
ジョン「弟よ、俺がDJする横でギターを弾かないか?Perfumeの曲は弾けるか?」
弟「もちろん、余裕だよ」
後に広島最強ブラザーズの異名を取る「ジョン&LOCK」
DJとギターを奏でる兄弟コンビの結成である。
つづく