前回までに、
「温度」「湿度」「光」と僕の経験からなる見解を述べてまいりました。
 
今回のテーマは、
「振動」「乾燥」「匂い」
この3点を述べていきたいとおもいます。
 
「温度」「湿度」「光」はわかり易いというか、見た目で、感覚で察知し易いとおもいます。
 
それに対し、
「振動」「乾燥」は見た目にはわかり難く見落とされがちかもです。
 
「匂い」は別としても、異臭と呼べるレベルになるまで放置しっぱなしで気づかないなんてことも......
 
 
今回もひも解いていきましょう。
 
先ずは「振動」
【振動がワインに与える影響】と【保管する際の注意点】について述べたいとおもいます。
 
ワインは流通の都合、輸送・移動は避けられず、
空輸・船・陸送の際は絶えず揺られ振動を受けてしまいます。
 
販売店で購入し自宅に持ち帰るにも揺れもしますし振動も起こります。
 
ほんの少し揺らしたり、振動を与える事で即座にワインが傷む訳ではありませんが、
長期間にわたり絶えず振動を受け続けると
(例えば、揺れの発生する機器の上に置いたままで長期間。スピーカーの上とか乗用車に積んだままとか...)
味や色調に変化を生じる事があります
 
悪い場合、
味わいのバランスを崩し(酸味が強くなったり、タンニンが刺々しくなったり.....)、旨みを失い、続けて飲みたい欲求がおこらない味に劣化する事があります。
 
色調は、くすんだり、褐色したりと輝きや艶のあるものから遠ざかったり。
 
といっても中々検証する機会などは.....
同じ銘柄ワイン(当然同一ヴィンテージ)で振動を受けた直後と配達等の後に一定期間休ませ落着きを取り戻したワインの飲み比べをしない限り違いは検証出来ないですね。
 
ご家庭でワインを飲まれる際は、
購入し持ち帰ったワインの場合、即座に栓を開けるよりは2~3日置いて落着いたところで飲みたいものです。
(モチロン今日買ったワインを帰宅後すぐに飲まれる事は否定しません!
        飲みたいタイミングで飲む事こそがベストコンディションだともおもいます)
高値や高級銘柄のワインならさらに1週間から10日、銘柄によっては1ヶ月位は落着かせたいところです。
 
配送されてくるワインに緩衝材が詰められたりプチプチが巻かれたりしているのは、
割れ防止はモチロン振動の吸収にも役立っているんです。
 
「ワイン 緩衝材」の画像検索結果
 
ご家庭で保管の際は(ワインセラー設置場所も同様に)、
なるべく振動の起こらない場所か普段の生活であまりたちいる事の少ない場所にしたいところです。
冷蔵庫保管の際、長期間にわたる保管が予想される場合は頻繁に開閉され振動の多い扉部分は避けたいところです。
 
~追記ですが(あまり参考にしないで下さい)~
揺れや振動でもワインに良い影響を与える場合もある様で....
 
船で海上輸送する場合、
穏やかな波での航海の末に陸揚げされたワインが秀逸な味わいに熟成されていたなんて事例もあります。
ゴットンゴットン運ばれた訳ではなく、微弱な揺れで心地良い振動がワインに適度な熟成を促したんでしょうか.......
 
 
次に「乾燥」ひも解きましょう。
前回の「湿度」の回と重複しますが、
乾燥した環境で影響を受けるのはコルクです。
 
最近は合成樹脂で出来た栓やスクリューキャップ、ガラス栓なども大分普及してきましたが、
スクリューキャップ以外はキャップシールを剥がしてみないとどの種類の栓が施されているかは外見上わかりません。
 
ので、乾燥防止の為ワイン保管時はボトルを横に寝かせて保管する事とオススメします。
 
横に寝かせることで瓶内のワインが差込まれたコルク底に浸り、コルクに充分な潤いをもたらし、膨張し気密性を高めることになり、
更に縦置きで乾燥したコルクよりも抜き易くなります。
 
尚且つ、横向きで長期保管したワインの方が、縦置きに長期保管したワインよりも味わいが優れた熟成をもたらす事例が検証されています。
 
ここまでは「湿度」の回と重複する解説ですが、
「乾燥」をもたらすもう一つの大きな原因があります。
 
それは【通気】です。
送風機からの風が直接ボトルに吹き付けられないようご注意ください。
「扇風機イラスト」の画像検索結果
【室内の湿度の低下からなる乾燥】と【通気による乾燥】
どちらもコルクの乾燥につながりワインの品質低下・劣化に繋がりかねません。
 
エアコンや扇風機、外気にさらされないよう保管ご注意を!
 
 
 
 
最後に「匂い」ひも解きましょう!
 
ワインが詰められるガラス瓶は、ワインをを流し込んだ後コルク栓を施されることで通気を遮断し衛生的に保管されます。
 
ガラス瓶は液体を保管するには衛生面にとても優れた容器なんです。
熱の影響は受けやすいものの、割れることが無い限り外部からの匂いを通す事は無く、ガラスに透明度があれば目視も出来、再利用も可能と、お酒の容器に広く利用される訳です。
 
さて、
コルクです。
天然コルク特性の一つに、
        「わずかながらコルク自体が呼吸するので、
ワインの近くに匂いを持つものは長期間にわたって置いてはいけませんね~。
 
ワインの場合匂いが移るというよりも、本来の芳醇な香りのバランスを崩すことになります。
ブショネの場合カビ臭くなったり、下水の臭いがしたり。
匂いの影響の場合、明らかにブドウ由来の香り以外の不快な香りがし、更には、ヤッパリと言うべきか、味も........
本来の旨みが遠く霞む結果に.......
 
 
チョットだけ言葉の定義ってやつを、
  【匂い】・・・・好ましいものが対象         【臭い】・・・・不快なものが対象
        例:「花の匂い」「香水の匂い」          例:「ゴミの臭い」「腐った臭い」
   ※【香り】は【匂い】と同義語
花の匂い画像
ワインは、
外部からの【匂い】【臭い】【香り】全て悪影響となります
 
振動同様に匂いが即座に劣化にはなりませんが、
やはり長期間にわたりワインの近くに別の匂いは好ましくありません。
 
ワインセラーの中にはワイン以外を同一に保管しないことです!!
 
冷蔵庫の野菜室でのワイン保管でも、ワイン以外に食品、調味料、醗酵品(納豆、チーズなど)は入れない事をオススメします。
 
 
僕が依然勤めていた現場でのエピソードですが、
ワインセラー(人が出入り出来る程の大きさで5~6畳程の広さ、湿度管理された定温室)に、お客様のお預かりの花束や、スタッフの手作りのお菓子(みんなに振舞いたかったんでしょうねぇ....)、あろう事かまかない食用のキムチ!!
こんな事を何度か眼にし、その都度........
 
些細な事は大事にしていいとおもいます。
 
ワインの保管は、
重要なのは温度だけではありません!!
 
 
もしご家庭で、
セラー内に他のお酒(例えば日本酒や紹興酒、その他の蒸留酒)を同一に保管する際は、
せめて未開封の状態にして下さい。
箱入りのお酒なら箱入りのままで。
 
栓を開けたその他のお酒は、セラーに戻さない事が良いでしょう。
匂い出ますからね。
 
もしセラー内で、
残念ながらワインの液漏れなどが発生した際は、もれたワインが臭いの原因なりかねます。
きれいに拭き掃除行ってください。
 
些細な事をお大事に!
 
 
 
ここまで「ワインの保管」をテーマに述べてまいりました。
①温度
②湿度
③光
④振動
⑤乾燥
⑥匂い
こうやって並べてみるとやっぱりワインは難しいお酒かもですね.....
 
なにかお役にたてれば幸いです。
 
今度は楽しみが増えるようなことテーマにした事をはなしましょう。
ではまた次回!